最終更新:2026年11月5日(2026年11月時点の法令・運用にもとづいています)
在日韓国人のご家族の相続は、「父の本籍が韓国のどこかわからない」「家の名義が通名のまま」「兄弟の一人は帰化している」「おじいさんの代から名義が変わっていない」など、ご家庭ごとに事情が大きく異なります。同じ「韓国籍の相続」でも、つまずくポイントがまったく違うのです。
このページでは、名古屋で韓国籍の方の相続登記を数多くお手伝いしてきたごとう司法書士事務所が、よくある7つの状況ごとに「何から始めればよいか」をご案内します。韓国民法の相続人・相続分のしくみなど制度の全体像は、韓国籍の方が亡くなった場合の相続(制度の解説)もあわせてご覧ください。

まず押さえておきたい3つのこと
- 亡くなった方が韓国籍なら、相続人と相続分は韓国民法で決まります(遺言で日本法を指定していた場合を除く)。配偶者の相続分は子の1.5倍、配偶者がいれば兄弟姉妹は相続人にならないなど、日本と違う点があります。
- 相続人の証明には、韓国の家族関係登録簿の証明書(基本・家族関係・婚姻関係など)と除籍謄本が必要です。取得の前に、韓国領事館への死亡申告が必要になるのが一般的です。
- 日本の「戸籍の広域交付」は使えません。韓国の証明書は領事館か韓国の役所に請求します。
目次
はじめに手元で確認したい5つのもの
ご相談の前に、次のものがあるかを確認しておくと、その後の手続きが大きく早まります。見つからなくても大丈夫です。ないものは当事務所で調べる方法があります。
- 特別永住者証明書・在留カード(国籍・地域欄が「韓国」か「朝鮮」か)
- 韓国の書類:家族関係証明書、基本証明書、除籍謄本、旅券(パスポート)など。過去に取ったことがあれば控えも
- 本籍(登録基準地)がわかるメモ:「慶尚南道○○郡…」など韓国の地名が書かれたもの
- 不動産の権利証・登記識別情報、固定資産税の納税通知書(名義が通名かどうかがわかります)
- 遺言書の有無(公正証書遺言なら公証役場で検索できます)
状況1:父(母)が亡くなった。配偶者と子は日本在住
もっとも多いご相談です。この場合の流れは次のとおりです。
- 韓国領事館へ死亡申告日本の死亡届記載事項証明書などに韓国語訳を付けて、駐名古屋大韓民国総領事館などに申告します。これをしないと、韓国の証明書上「生きている」ままになり相続に使えません。
- 韓国の証明書を取得亡くなった方の基本証明書・家族関係証明書・婚姻関係証明書(いずれも詳細)と除籍謄本、相続人の証明書を取得し、日本語訳を作ります。
- 日本側の書類をそろえる住民票の除票、配偶者・子が日本国籍なら戸籍謄本、不動産の評価証明書など。
- 遺産分割協議と相続登記韓国民法の相続分(例:妻3/7・子2/7ずつ)を前提に、誰が何を取得するか話し合い、協議書を作って登記します。
詳しくは 韓国籍の父が亡くなったときの相続登記|韓国情報が分からない妻・子のための手続き をご覧ください。
状況2:韓国の本籍(登録基準地)がわからない
韓国の証明書を請求するには、氏名・生年月日に加えて登録基準地(旧本籍)が必要です。わからない場合は次の順に調べます。
- 親族に聞く:兄弟姉妹・いとこ・帰化した親族が知っていることがあります。一人でも判明すれば前後の除籍をたどれます。
- 閉鎖外国人登録原票を請求する:法務省に「死亡した外国人に係る外国人登録原票の写し」を請求すると、「国籍の属する国における住所又は居所」欄に本籍地が記録されていることが多くあります。
- 日本の戸籍を確認する:日本人の配偶者や子の戸籍に、婚姻・出生の届出の際の記載が残っていることがあります。
関連記事:知らなかった父の過去―韓国籍・戸籍不明から始まる不動産相続と売却
状況3:家の名義が通名(日本名)のまま

昔は通名で不動産を購入・登記した方が多く、登記簿の名義と韓国の証明書の氏名が一致しないことがよくあります。この場合、登記名義人と亡くなった方が同一人物であることを、閉鎖外国人登録原票(通称名の記載)や住民票の除票などで証明して相続登記を行います。住所の移り変わりがつながらない場合も、外国人登録原票の居住地の履歴が役立ちます。
関連記事:登記簿の名義が「通名」のままの家、相続登記と売却はどう進める?
状況4:相続人に帰化した人がいる
帰化した方は日本人として日本の戸籍に載っていますが、亡くなった方が韓国籍のままなら、相続は韓国民法で判断し、亡くなった方の韓国の証明書が必要です。帰化した相続人の方は、帰化申請のときに韓国の除籍謄本や家族関係証明書を取得していることが多く、その控えがあると登録基準地の確認や書類集めが早く進みます。
関連記事:相続人に帰化した方がいる場合の相続登記と不動産売却
状況5:祖父母の代から名義が変わっていない(数次相続)
祖父母名義のまま何十年も放置された土地は、その間に相続が何度も起き、相続人が増え続けます。韓国民法は1960年・1977年・1990年と大きく改正されているため、亡くなった日ごとに当時の法律で相続人と相続分を確認していきます(1960年より前は慣習法)。相続人が韓国や海外にいることも多く、早めに全体像を把握することが大切です。
関連記事:祖父母名義のままの土地・家を放置すると相続人が増え続けます――「数次相続」の解きほぐし方
状況6:借金があり相続放棄を考えている
日本に住む相続人は、日本の家庭裁判所で相続放棄の申述ができる運用です。ただし、韓国民法では子全員が放棄すると孫や親が相続人になるなど、放棄後に誰が相続人になるかが日本と異なることがあります。家族全員の放棄が必要になることもあるため、期限(原則3か月)が来る前に全体の段取りを決めておきましょう。
関連記事:韓国籍の方の相続放棄|「3か月の壁」が日本より厳しい理由と手続きの流れ
状況7:元気なうちに備えたい(遺言・生前対策)
韓国籍の方は、遺言で相続の準拠法を日本法に指定することができます(遺言の時から亡くなるまで日本に常居所があることが条件)。日本法を選ぶと、相続分・遺留分などが日本のルールになります。どちらがご家族にとってよいかは家族構成によって変わるため、公正証書遺言の作成とあわせて検討するのがおすすめです。また、親が元気なうちに本籍や家族のことを聞いておくだけでも、残されたご家族の負担は大きく減ります。
- 韓国籍の親に元気なうちに聞いておきたい5つのこと
- 韓国の遺留分大改正|在日の相続と遺言はどう変わる?
- おひとりさまの韓国籍の方の相続と生前準備
- 韓国籍の相続で配偶者居住権は使える?妻の住まいを守る方法
費用と期間のめやす
| 項目 | めやす |
|---|---|
| 相続登記の報酬 | 15万円(税別)〜(韓国の証明書の取得代行・翻訳・準拠法の説明書作成を含む基本的なケース) |
| 別途かかる実費 | 登録免許税(固定資産評価額の0.4%)、証明書の手数料、郵送費など |
| 期間 | 本籍がわかっている場合で2〜3か月程度。本籍不明・数次相続・海外在住の相続人がいる場合は4〜6か月程度かかることもあります |
相続人の人数や不動産の数、必要な証明書の範囲によって変わりますので、ご相談時に事前のお見積りをお出しします。相続した不動産の売却をお考えの場合は、宅地建物取引士でもある司法書士が登記から売却まで一貫してサポートします。

外国籍の方の相続・海外在住の相続人がいる相続のご相談は初回無料です。
「本国の書類の取り方がわからない」「相続人が海外にいる」など、まずはお気軽にお話をお聞かせください。
受付時間 9:00〜19:00(土日祝は事前予約で相談可能)/名古屋市中区丸の内三丁目15番3号 TCF丸の内ビル6階
お問い合わせフォーム 無料面談のWEB予約韓国籍の方の相続についてよくあるご質問
韓国の証明書はどこで取れますか?名古屋でも取れますか?
日本では韓国大使館や各地の総領事館で請求できます。名古屋市中村区に駐名古屋大韓民国総領事館があります。申請書は韓国語で記入し、登録基準地(本籍)の記載が必要です。当事務所で取得を代行することもできます。
死亡申告をしないで相続登記はできますか?
韓国の証明書に死亡の記載がないと、相続を証明する書類として使えないのが一般的です。まず死亡申告を行い、記載が反映されてから証明書を取得します。
国籍欄が「朝鮮」の場合はどうなりますか?
本国法を韓国法・北朝鮮法のどちらとみるかを、出身地や親族関係などから判断します。北朝鮮法とされる場合、日本に住み日本に財産を残した方の相続は日本民法で処理されるのが通例です。証明書類は閉鎖外国人登録原票や日本の届出記録が中心になります。
韓国に住む相続人がいます。遺産分割協議書の署名はどうしますか?
韓国には印鑑証明制度があるため、韓国の印鑑証明書を添付する方法や、現地の公証人で署名認証を受ける方法などがあります。協議書には韓国語の対訳を付けます。詳しくは「海外在住の相続人がいる相続」のページをご覧ください。
預貯金の解約にも韓国の書類が必要ですか?
はい。銀行も相続人の確認のために、韓国の証明書と訳文、準拠法の説明を求めるのが一般的です。相続登記と同じ書類一式で手続きできるよう、まとめて準備します。
費用はいくらかかりますか?
韓国籍の方の相続登記の報酬は15万円(税別)〜です。別途、登録免許税や証明書の実費がかかります。初回相談は無料で、事前にお見積りをお出しします。
※本ページは一般的な情報提供を目的としたものです。韓国法の内容や法務局・金融機関の運用は事案によって異なる場合があります。具体的なご事情については、お気軽にご相談ください。