名古屋で韓国籍のご家族の相続|登記簿に載っているのが「通名」だったとき、あわてないでください

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名古屋で韓国籍の方の相続|登記簿の名義が「通名」のままの家、相続登記と売却はどう進める?司法書士が解説

2026/07/16

権利証を開いたら、そこにあったのは「日本風の名前」――実は、よくあることなのです

ご家族が亡くなられて、ご実家の権利証や登記簿(登記事項証明書)を確認したとき、「あれ?」と手が止まることがあります。そこに書かれている所有者の名前が、韓国のお名前ではなく、日本風の名前――いわゆる「通名(通称名)」だった、というケースです。

「父の本当の名前と違う名前で登記されている。この家は、本当に父のものとして相続できるのだろうか」「名前が違うのに、売ることなんてできるのだろうか」。そんなご不安を抱えて相談に見えられる方は、在日韓国人の方が多く暮らしてこられた名古屋では、決してめずらしくありません。

先に結論をお伝えしますと、通名のままの登記でも、きちんと手順を踏めば、相続登記も、その後の売却もできます。ただし、「登記簿上の名前の人」と「亡くなったお父さま・お母さま」が同じ人であることを、書類で証明するというひと手間が必要になります。この証明は、時間の経過とともに難しくなっていく性質のものですので、後回しにしないことが何より大切です。

このコラムでは、名古屋・中区で相続と不動産を専門にお手伝いしているごとう司法書士事務所が、「通名で登記された不動産の相続」について、なぜそんなことが起きるのか、どんな書類で乗り越えるのか、売却まで見据えて何に気をつけるべきかを、できるだけやさしい言葉でご案内します。難しいところはかみくだいてお話ししますので、どうぞ肩の力を抜いて読み進めてください。

1.どうして登記簿に「通名」が載っているのか――昭和・平成の登記実務をひもとく

―― かつては通名での登記が認められていた、という歴史があります

まず、「名前が違う登記なんて、何かの間違いではないか」というご心配から、ほどいていきましょう。結論からいえば、間違いではありません。かつての日本では、通名で不動産の登記をすることが、実務上きちんと認められていたのです。

在日韓国人の方の多くは、日常生活や仕事の場面で、本名(韓国名)とは別に、日本風の「通名」を使ってこられました。そして2012年7月まで存在した「外国人登録制度」では、外国人登録証明書に、本名とあわせて通名を併記することができました。当時の登記実務では、外国人登録証明書に通名が記載されていれば、その通名を登記名義人の氏名として登記しても差し支えない、という取扱いがされていたのです。ですから、昭和や平成の初めごろに名古屋で家や土地を買われた韓国籍の方の登記簿には、通名だけが記載されていることが、ごく普通にあります。

この外国人登録制度は2012年7月に廃止され、外国人の方も日本人と同じように「住民票」で管理される仕組みに変わりました。いまの住民票にも通称(通名)を載せることはできますが、在留カードや特別永住者証明書には通称は記載されず、社会全体として、公的な場面では本名を基本とする流れが強まっています。近年は、通名のあり方そのものについて、国や社会でさまざまな議論があることをご存じの方もいらっしゃるかもしれません。制度は今後も変わり得ますが、少なくともいま登記簿に残っている「通名名義」は、当時のルールに沿った正しい登記です。その点は、どうぞ安心してください。

ただ、正しい登記であっても、時間が経つと困りごとが生まれます。亡くなった方を証明する韓国側の書類(家族関係登録の各証明書や除籍謄本)には、当然ながら本名しか載っていません。日本の住民票の除票も、本名が基本です。つまり、「登記簿の山田太郎さん」と「証明書類の金〇〇さん」が同じ人だと示す橋渡しの書類がないと、相続登記が前に進まないのです。次の章で、その橋の架け方をお話しします。

2.「同じ人」であることを、どうやって証明するのか

―― カギを握るのは「閉鎖外国人登録原票」。住民票の通称記載と組み合わせて橋を架けます

通名名義の不動産の相続登記では、通常の相続書類(韓国の家族関係登録の証明書や除籍謄本、住民票の除票など)に加えて、「登記名義人=被相続人」という同一性を証明する書類を添えます。ここで大きな役割を果たすのが、「閉鎖外国人登録原票」です。

外国人登録原票とは、2012年7月に廃止された外国人登録制度のもとで、市区町村が管理していた外国人の方の記録です。ここには、本名と通名、生年月日、住所の移り変わり、さらに韓国の本籍地(いまの登録基準地)の手がかりまで、その方の歩みが細かく記録されています。制度の廃止後、この原票は「閉鎖外国人登録原票」として国(出入国在留管理庁)に引き継がれており、亡くなった方の原票は、配偶者やお子さまなどのご遺族が、写しの交付を請求できます。原票に「本名・金〇〇、通名・山田太郎」と記録されていて、登記簿上の住所と原票の住所がつながれば、「登記簿の山田太郎さんは、亡くなった金〇〇さんのことだ」という橋が架かる、というわけです。

あわせて、2012年7月以降の期間については、住民票(除票)が証明の材料になります。外国人の方の住民票には、通称の記載や削除の履歴(「通称の記載及び削除に関する事項」)を載せてもらうことができ、これも本名と通名を結びつける大切な証拠になります。事案によっては、これらの公的書類だけでは足りず、相続人全員の上申書(「登記名義人と被相続人は同一人に相違ありません」という書面)に印鑑証明書を添えて、法務局に説明を尽くすこともあります。どの組み合わせで証明するかは、登記簿上の住所がいつのものか、原票にどこまで記録が残っているかによって変わりますので、まさにオーダーメイドの組み立てが必要な場面です。

ひとつ、気をつけていただきたいのは時間のことです。閉鎖外国人登録原票の写しの交付は、東京の出入国在留管理庁へ郵送で請求し、決定までにおおむね1か月ほどかかるとされています。しかも近年は、相続手続きのための請求が全国的に増えており、実際にはさらに時間がかかることも少なくないようです(混み具合は時期によって変わりますので、確実とは言い切れません)。韓国側の書類集めと同じで、「思ったより時間がかかる」ことを前提に、早めに動き出すのが安心です。

3.名古屋での進め方と、「売る」ところまで見据えた段取り

―― 相続登記の期限、通名名義のままでは売れない理由、そして出口の考え方

最後に、名古屋で実際に手続きを進めるときの段取りを、売却の出口まで含めてお話しします。

ひとつめは、期限のことです。2024年4月から相続登記は義務化されており、不動産を相続したと知った日から原則3年以内に登記をしないと、正当な理由なく怠った場合、10万円以下の過料の対象になり得ます。そして見落とされがちなのですが、義務化より前に発生していた相続、つまり「何年も前に亡くなった親の名義がそのまま」という不動産にも、この義務は及びます。その申請期限が、2027年3月31日。この記事を書いている2026年7月から数えると、残りはすでに9か月を切っています。通名名義の相続登記は、ここまでお話ししたとおり書類集めに時間がかかりやすいので、「期限までまだある」とは考えず、いま動き始めていただきたいのです。

ふたつめは、売却との関係です。相続した家を売る場合、登記簿上の所有者と売主が一致していなければ取引はできませんから、通名名義のままでは売却できず、必ず先に相続登記を済ませる必要があります。そして、買主さんや仲介会社、金融機関が登場する売買の場面では、「名義の来歴がきちんと説明できること」が取引の安心感に直結します。当事務所は司法書士であると同時に宅地建物取引士でもありますので、同一性の証明から相続登記、そして売却のお手伝いまで、窓口をひとつにして進められます。名古屋の不動産市況についていえば、中区など都心部は底堅い一方、郊外や地方では、若い世代の人口減少と団塊世代の相続増による空き家の増加で、資産価値を保ちにくいエリアが広がっていくと見られています。世界的なインフレと建築資材の高騰で、投資家向けの価格と実際に住む方向けの価格が別々に動く傾向も続いています。「いつ・どう手放すか」は、登記とセットで考えたいテーマです。

みっつめは、世代交代という時代の流れです。特別永住者として日本で暮らしてこられた在日韓国人の方は年々少しずつ減っており、2025年末時点で韓国・朝鮮籍の特別永住者はおよそ26万人、日本国籍への帰化を選ばれる方も毎年数千人規模でいらっしゃいます(統計は年により変動しますので、正確な数字は公表資料でご確認ください)。名古屋でも、「親の世代は通名で暮らし、子の世代は帰化して日本国籍」というご家庭が増えています。親御さんの記録――通名と本名のつながりを知る人や書類――は、時間とともに確実に失われていきます。同一性の証明は、早く動くほど楽になる手続きだということを、ぜひ覚えておいてください。

―― ここで、よくあるご相談をひとつ、人物が分からない形にしてご紹介します。港区にお住まいの70代の女性から、「亡くなった夫名義の自宅を売って、息子の近くに引っ越したい」というご相談をいただきました。ところが登記簿を確認すると、名義は昭和50年代に購入されたときの通名のまま。ご本人は「夫の韓国のお名前の漢字も、本籍も、正直よく分からなくて」と、とても不安そうでした。そこで、閉鎖外国人登録原票の写しの交付請求から着手し、原票で通名と本名、住所の移り変わり、登録基準地の手がかりを確認。それをもとに韓国の除籍謄本と家族関係の各証明書を取り寄せて翻訳し、住民票の除票とあわせて同一性を証明して、相続登記を完了しました。その後は宅地建物取引士として売却の段取りまでお手伝いし、「名前が違う家なんて売れないと思い込んでいたので、順番に説明してもらえて本当に安心しました」と言っていただけました。書類が届くまでの待ち時間も含め、全体でおよそ半年。決して短くはありませんが、道筋さえ見えれば、確実にゴールへたどり着ける手続きです。

通名名義の家は「売れない家」ではありません。ただし、証明は早いほど楽になります

まとめ

登記簿の名義が通名のままでも、それはかつてのルールに沿った正しい登記であり、閉鎖外国人登録原票や住民票の通称記載などを組み合わせて「同じ人」であることを証明すれば、相続登記も売却もきちんとできます。ポイントは三つ。①通名での登記は昭和・平成の実務では普通のことだったので、あわてなくてよいこと。②同一性の証明は、原票の取り寄せに1か月以上かかることもあり、時間の経過とともに難しくなっていくこと。③義務化された相続登記には期限があり、過去の相続分は2027年3月31日が申請期限で、もう目前に迫っていること、です。

とはいえ、どの書類をどう組み合わせて法務局に説明するかは、ご家庭ごとに事情が異なり、教科書どおりにはいかないのが実際のところです。ごとう司法書士事務所では、お一人おひとりのお話を丁寧に伺い、その方の事案に合わせたオーダーメイドの進め方をご提案しています。費用はご依頼の前に分かりやすくお示しする明瞭会計。司法書士であり宅地建物取引士でもある専門家として、同一性の証明から相続登記、不動産の売却、その先の資産のご相談まで、プライベートな相談相手として一貫して寄り添います。

名古屋で、通名名義のままのご実家や、韓国籍のご家族の相続にお悩みでしたら、権利証と思い出話だけお持ちになって、どうぞお気軽にお越しください。ご相談は何度でも無料で承っております。

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