ベトナム籍の方の相続を実務目線で解説|家は日本法・預金はベトナム法

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ベトナム籍の方の相続

最終更新:2026年11月5日(2026年11月時点の法令・運用にもとづいています)

愛知県はベトナム籍の方が全国で最も多く暮らす地域のひとつです。技能実習や留学から定住し、日本で家を買い、ご家族を呼び寄せた方も増えています。一方で、ベトナム籍の方の相続はまだ事例が少なく、「誰に聞けばよいかわからない」という声を多くいただきます。

このページでは、ごとう司法書士事務所が、日本にある家や預金に適用される法律、ベトナム民法の相続ルール(配偶者・親・子が同順位)、ベトナムの証明書の取り方と認証、ベトナム在住のご家族の署名の集め方を、はじめての方にもわかるようにご説明します。

名古屋市内の住宅街
日本で買った家は、相続のときに日本の民法で引き継がれます

まず押さえておきたい3つのこと

  • ベトナムの国際私法(民法680条)は、相続は亡くなった方の本国法によるとしつつ、不動産の相続は不動産がある国の法律によると定めています。日本にある家・土地は日本の民法で相続人を決めます(反致)。預貯金などは原則ベトナム民法です。
  • ベトナム民法では、配偶者・父母・子が同じ第1順位で均等に相続します。日本の「子がいれば親は相続しない」という考え方と大きく違います。
  • ベトナムに戸籍はなく、出生証明書・婚姻証明書・死亡証明書と宣誓供述書で相続関係を証明します。ベトナムは2025年12月31日にアポスティーユ条約に加入し、2026年9月11日から同条約が発効して、認証の手間が軽くなりました。

日本の家と預金、それぞれどの法律になる?

日本の通則法36条は相続を亡くなった方の本国法(ベトナム法)に委ねますが、ベトナム民法680条は「相続は死亡直前の本国法による。ただし、不動産に対する相続権の行使は、不動産の所在地の法律による」と定めています。そのため、財産の種類によって次のように分かれます。

財産適用される相続法ポイント
日本にある家・土地・マンション日本の民法配偶者と子が相続人。親は子がいなければ相続人になります
日本の預貯金・株式などベトナム民法が原則配偶者・父母・子が同順位で均等。金融機関には準拠法の説明書を添えます
ベトナム国内の財産ベトナム民法・土地法など現地の公証役場での手続きが中心。現地専門家と連携します
ポイント

家は日本法、預金はベトナム法というように、同じ相続でも財産ごとに相続人が変わることがあります。たとえば日本の家は妻と子だけで相続しますが、預金についてはベトナムに住むご両親も相続人に加わる、という整理になります。最初に財産の一覧を作り、財産ごとの相続人を書面で整理するのが出発点です。

ベトナム民法の相続ルール

預貯金などベトナム民法(2015年民法、2017年施行)が適用される財産については、次のルールで相続人と相続分を決めます。

ご両親への説明が大切です

ベトナムの感覚では「親も当然に相続人」ですが、日本の家については子がいれば親は相続人になりません。ベトナムのご家族との行き違いを防ぐため、財産ごとにどの法律で誰が相続人になるかを、ベトナム語の対訳を付けた書面で共有することをおすすめします。

相続関係を証明する書類

相続手続きの書類
証明書は人民委員会(市区町村)や司法局が発行します

ベトナム語の書類には日本語訳を付けます。ベトナムでは2026年9月11日にアポスティーユ条約が発効したため、ベトナムの公文書はアポスティーユで日本に提出できる場面が広がっています。提出先によって求められる認証が異なることがあるため、取得前に確認します。

ベトナム在住の相続人がいるとき

ベトナムに住むご両親や兄弟が相続人になる場合、遺産分割協議書にベトナム語の対訳を付けて送り、現地の公証役場(Phòng công chứng)で署名の認証を受けてもらいます。認証にアポスティーユを付けて日本へ返送してもらう流れです。

詳しくは「海外在住の相続人がいる相続(サイン証明・公証)」をご覧ください。

手続きの流れと期間の目安

  1. 財産と相続人の整理(1〜2週間)財産の一覧を作り、財産ごとに日本法・ベトナム法のどちらで誰が相続人になるかを整理します。
  2. 日本側の書類収集(2〜4週間)除票、在留カードの写し、不動産の書類、金融機関の残高証明など。
  3. ベトナム側の証明書と翻訳(1〜2か月)出生・婚姻証明書の取得、アポスティーユ、日本語訳。宣誓供述書の文案は当事務所で作成します。
  4. 遺産分割協議・署名集め(2週間〜2か月)対訳付きの協議書を作り、国内外の相続人から署名と証明を集めます。
  5. 相続登記・預金の手続き(2〜4週間)法務局と金融機関に申請。売却する場合は並行して準備します。

全体で3〜5か月程度が目安です。相続登記の期限(相続を知った日から3年)と、相続放棄を検討する場合の期限(原則3か月)にご注意ください。

よくあるケースと進め方(例)

※以下は、よくあるご相談をもとにした進め方の例です(実際の事案を特定するものではありません)。

ケース1:ベトナム籍の夫が日本で死亡、妻と子は日本在住、両親はベトナム在住

名古屋の自宅は日本民法で妻と子が相続します。預貯金はベトナム民法で妻・子・両親が均等に相続人となるため、ベトナムの両親には預金の遺産分割について対訳付きの協議書に署名してもらいます。両親が預金の取り分を妻に譲る合意にする場合も、署名は必要です。

ケース2:日本人の妻が死亡、ベトナム籍の夫と子

亡くなった方が日本人なので日本民法・日本の戸籍で手続きします。夫が日本に住んで印鑑登録をしていれば、日本人同士の相続と同じ書類で進められます。

ケース3:ベトナム籍の方が帰国後に亡くなり、日本に預金が残った

預金はベトナム民法で相続人を判断します。ベトナムの死亡証明書と相続関係の証明書にアポスティーユと訳文を付け、金融機関に準拠法の説明書を添えて払戻しを請求します。代表相続人が受け取り、ベトナムで分配する方法が現実的です。

費用のめやすと生前の備え

ベトナム籍の方の相続登記は、必要な証明書の数、相続人の居住国、翻訳の量によって異なるため、ご相談時に事前のお見積りをお出しします。登録免許税や証明書の実費は別途です。

日本で家を買ったベトナム籍の方には、日本の公正証書遺言を作っておくことをおすすめしています。日本の財産について誰に引き継ぐかを明確にしておけば、ベトナムのご家族との調整や書類集めの負担を大きく減らせます。関連記事:日本で家を買った外国籍の方へ|万一のとき家はどうなる?、ベトナム籍の方の相続手続き|日本の家と預金はどうなる?

司法書士がご家族の相談に対応している様子
やさしい日本語で、ゆっくりご説明します

外国籍の方の相続・海外在住の相続人がいる相続のご相談は初回無料です。
「本国の書類の取り方がわからない」「相続人が海外にいる」など、まずはお気軽にお話をお聞かせください。

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受付時間 9:00〜19:00(土日祝は事前予約で相談可能)/名古屋市中区丸の内三丁目15番3号 TCF丸の内ビル6階

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ベトナム籍の方の相続についてよくあるご質問

ベトナム籍の夫が亡くなりました。日本の家は誰が相続しますか?

日本にある不動産は日本の民法で相続人が決まるため、配偶者と子が相続人です。ベトナムに住むご両親は、子がいる場合は家の相続人にはなりません。

預金もベトナムの両親が相続人になるのですか?

預貯金などの動産にはベトナム民法が適用されるのが原則で、配偶者・父母・子が同順位の相続人になります。ご両親が取り分を配偶者に譲ることもできますが、その場合も署名が必要です。

ベトナムの証明書に認証は必要ですか?

ベトナムは2025年12月31日にアポスティーユ条約に加入し、2026年9月11日の発効により、公文書はアポスティーユを付けて日本に提出できるようになりました。提出先によって取扱いが異なることがあるため、取得前に確認します。

ベトナム語しかできない家族がいます。大丈夫ですか?

遺産分割協議書や説明書にはベトナム語の対訳を付けてお送りします。必要に応じて通訳の方を交えてご説明することもできます。

技能実習や特定技能で日本にいる家族が相続人の場合は?

在留資格の種類は相続の可否に関係しません。日本に住民登録があれば印鑑登録をして印鑑証明書を使えます。帰国の予定がある場合は、帰国前に署名を済ませておくと手続きが楽になります。

費用はどのくらいですか?

証明書の数や相続人の居住国で変わるため、ご相談時に事前のお見積りをお出しします。初回相談は無料です。

※本ページは一般的な情報提供を目的としたものです。ベトナム法の内容や在外公館・法務局・金融機関の運用は、事案や時期によって異なる場合があります。具体的なご事情については、お気軽にご相談ください。

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