おひとりさまの韓国籍の方の相続~相続人は誰になる?遺言での生前準備まで名古屋の司法書士がやさしく解説

お問い合わせはこちら

ブログ

おひとりさまの韓国籍の方の相続と生前準備|名古屋の司法書士が解説

2026/10/07

はじめに|「わたしの財産は、だれのものになるの?」

子どもがいない韓国籍の方から、いちばん多くいただくご質問です。

日本で長く暮らしてきた韓国籍の方のなかには、結婚していない方、結婚したけれど子どもがいない方、配偶者に先立たれた方など、いわゆる「おひとりさま」の方がたくさんいらっしゃいます。

おひとりさまの相続は、「だれが相続人になるのか」が人によって大きく違います。しかも韓国籍の方の場合、相続のルールは原則として韓国の法律で決まるため、日本人のおひとりさまとは結論が変わることがあります。

この記事では、名古屋のごとう司法書士事務所が、おひとりさまの韓国籍の方の相続について、相続人の決まり方から、いま元気なうちにできる準備まで、やさしい日本語でご説明します。

おひとりさまの相続はなぜ準備が大切?|「だれが相続人か」が人によって大きく違う

子どもがいる家庭の相続より、結論のバリエーションがずっと多いのです。

子どもがいるご家庭の相続は、基本的に「配偶者と子ども」が相続人になるため、だれが相続するかで迷うことはあまりありません。

ところが、おひとりさまの相続は違います。配偶者がいるかいないか、ご両親が健在かどうか、兄弟姉妹がいるかどうか、その兄弟姉妹が先に亡くなっているかどうかによって、相続人の顔ぶれががらりと変わります。

たとえば、名古屋市内にマンションをお持ちの韓国籍の方が亡くなった場合、相続人がだれかによって、不動産の相続登記に必要な書類も、話し合いをする相手も、まったく違ってきます。なかには「会ったこともない親族」が相続人になるケースさえあります。

さらに、おひとりさまの場合は「自分の財産を、お世話になった人や応援したい団体に遺したい」というご希望をお持ちの方も多くいらっしゃいます。そのご希望は、準備をしなければ実現しません。何もしないまま亡くなると、法律が決めた順番どおりに財産が移ってしまうからです。

だからこそ、おひとりさまの相続は「元気なうちの準備」がとても大切なのです。

韓国籍の方の相続は韓国の法律で決まる|日本に住んでいても本国法が原則

日本生まれ・日本育ちでも、国籍が韓国なら出発点は韓国民法です。

日本の法律(法の適用に関する通則法36条)では、相続は亡くなった方の本国法によると定められています。つまり、韓国籍の方が日本で亡くなった場合、日本に住んでいた期間がどれだけ長くても、相続のルールは原則として韓国民法で判断されます。

「日本で生まれて、韓国に行ったこともないのに?」と驚かれる方が多いのですが、国籍が基準になるのが原則です。だれが相続人になるか、相続分がどれだけかは、韓国民法によって決まります。

一方で、韓国の国際私法には、遺言によって「常居所地法(日常生活の本拠地の法律)」などを相続の準拠法として指定できる制度があります。日本に住んでいる韓国籍の方であれば、遺言で日本法を指定することで、相続を日本の法律で進められるようにすることも可能です。

このように、韓国籍のおひとりさまの相続は「原則は韓国法、遺言で日本法も選べる」という二段構えになっています。この仕組みを知っているかどうかで、生前準備の選択肢が大きく広がります。

相続人はだれになる?|子→親→兄弟姉妹→いとこの順番と、配偶者の特別な地位

韓国法では、配偶者がいれば兄弟姉妹は相続人になりません。

韓国民法の法定相続人の順番は、次のとおりです。第1順位が子どもなどの直系卑属、第2順位が父母などの直系尊属、第3順位が兄弟姉妹、第4順位が4親等以内の傍系血族(おじ・おば・いとこなど)です。

配偶者は特別な地位にあり、第1順位・第2順位の相続人がいればその人たちと一緒に相続し、相続分は他の相続人の1.5倍です。そして重要なのは、子どもも親もいない場合、配偶者が一人で全部を相続するという点です。

ここが日本法との大きな違いです。日本の民法では、子も親もいなければ「配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1」で分け合うため、残された配偶者が義理の兄弟姉妹と話し合いをしなければなりません。韓国法では、このケースで兄弟姉妹は相続人にならないため、配偶者おひとりで手続きを進められます。

逆に、配偶者も子も親もいないおひとりさまの場合は、兄弟姉妹が相続人になります。兄弟姉妹も先に亡くなっていれば、その子(おい・めい)が代わりに相続し、それもいなければ、いとこなど4親等以内の親族まで相続人の範囲が広がります。「自分の財産がいとこにいく」という、ご本人も想像していなかった結論になることがあるのです。

兄弟姉妹やいとこが相続人になると大変な理由|韓国の書類収集が一気に重くなる

「相続人がだれか」を証明する書類の量が、何倍にもふくらみます。

相続登記や銀行の相続手続きでは、「相続人はこの人たちで全員です」ということを戸籍などの書類で証明する必要があります。

子どもが相続人であれば、亡くなった方の家族関係証明書や基本証明書などで親子関係を示せば足ります。ところが、兄弟姉妹が相続人になる場合は、「亡くなった方のご両親に、ほかに子どもがいないか」まで確認しなければなりません。そのため、ご両親それぞれの出生までさかのぼる除籍謄本や、古い韓国戸籍(2008年より前の戸籍簿)まで集めることになります。

韓国籍の方の場合、これらの書類は韓国の家族関係登録簿や除籍簿から取り寄せます。名古屋ですと駐名古屋大韓民国総領事館で請求できますが、古い書類は漢字とハングルが混ざっていたり、記載の読み取りが難しかったりするうえ、日本の法務局に提出する際には日本語訳も必要です。

いとこまで相続人が広がると、集める書類はさらに増え、相続人どうしが一度も会ったことがないことも珍しくありません。連絡先を探すところから始まり、手続きが1年以上かかるケースもあります。また、相続人全員の実印と印鑑証明書が必要になるため、韓国に住んでいる相続人がいれば、現地の公証手続きやサイン証明の準備も加わります。相続登記には義務化のルールもあり、相続を知ってから3年以内に登記をしないと過料の対象になる可能性もありますから、時間のかかる相続ほど早めに着手することが大切です。おひとりさまの相続で「残された親族がいちばん苦労するのは書類集め」と言われるのは、このためです。

2024年の大きな変化|兄弟姉妹の遺留分がなくなり、遺言で想いを実現しやすくなった

韓国憲法裁判所の決定で、おひとりさまの遺言の自由が大きく広がりました。

遺留分とは、相続人に最低限保障される取り分のことです。じつは韓国では長いあいだ、日本と違って兄弟姉妹にも遺留分が認められていました。そのため、「兄弟姉妹以外の人に全財産を遺す」という遺言を書いても、兄弟姉妹から遺留分を請求される可能性が残っていたのです。

この状況は、2024年4月25日の韓国憲法裁判所の決定で大きく変わりました。兄弟姉妹の遺留分を定めた韓国民法の規定が憲法に違反すると判断され、その日から効力を失ったのです。

これは、おひとりさまの韓国籍の方にとって、とても大きな追い風です。配偶者も子も親もいない方が「お世話になった友人に遺したい」「支援団体に寄付したい」という遺言を書けば、兄弟姉妹から遺留分を請求される心配なく、その想いを実現できるようになりました。

なお、韓国の遺留分制度はその後も国会で見直しの議論が続いています。制度は動いていますので、遺言をつくる時点での最新の状況は、専門家に確認することをおすすめします。

いまからできる生前準備|公正証書遺言と準拠法の指定、死後の手続きの備え

準備の柱は「遺言」「準拠法の指定」「死後の事務」の3つです。

おひとりさまの韓国籍の方の生前準備として、当事務所がまずおすすめするのは公正証書遺言です。日本の公証役場でつくる公正証書遺言は、韓国籍の方でも利用でき、原本が公証役場に保管されるため、紛失や偽造の心配がありません。

遺言をつくるときのポイントは、財産の行き先を決めるだけでなく、相続の準拠法として日本法を指定する条項を入れるかどうかを検討することです。日本法を指定しておけば、日本の不動産の相続登記や銀行手続きを日本のルールで進めやすくなり、残された方の負担がぐっと軽くなります。

あわせて、遺言を実行してくれる遺言執行者を決めておくと安心です。おひとりさまの場合、手続きを担う家族がいないことも多いため、司法書士などの専門家を遺言執行者に指定しておく方法がよく使われます。

さらに、亡くなった後の役所への届出、お部屋の片づけ、葬儀やお墓のことなど、財産以外の手続きについては、死後事務委任契約という契約で信頼できる人に頼んでおくことができます。遺言とセットで準備しておくと、「あとのことは全部決めてある」という安心につながります。

名古屋市中区の当事務所では、韓国の書類の確認から遺言の文案づくり、公証役場との調整まで、おひとりさまの生前準備をまとめてお手伝いしています。初回のご相談では、ご家族の状況をうかがいながら「いま亡くなったらだれが相続人になるか」を一緒に整理するところから始めますので、どうぞ手ぶらでお越しください。

まとめ|おひとりさまの準備は「元気なうち」がいちばんの近道

相続人の確認と遺言の準備、この2つから始めましょう。

おひとりさまの韓国籍の方の相続は、原則として韓国民法で決まり、相続人は子→親→兄弟姉妹→いとこの順に広がっていきます。配偶者がいれば兄弟姉妹は相続人にならないという、日本法とは違うルールもあります。

兄弟姉妹やいとこが相続人になると、韓国の除籍謄本までさかのぼる書類集めが必要になり、残された親族の負担はとても大きくなります。一方で、2024年に兄弟姉妹の遺留分が廃止されたことで、遺言によって自分の想いどおりに財産を遺せる範囲は大きく広がりました。

まずは「いま自分が亡くなったら、だれが相続人になるのか」を確認することが準備の第一歩です。そのうえで、公正証書遺言と準拠法の指定、必要に応じて死後事務委任契約を組み合わせれば、おひとりさまの不安の多くは解消できます。

当事務所は、韓国籍の方の相続手続きと生前対策を数多くお手伝いしてきた名古屋の司法書士事務所です。韓国の書類のことも含めて、おひとりさまお一人おひとりの事情に合わせたオーダーメイドのご提案をいたします。

▶おひとりさまの相続準備のご相談は、名古屋のごとう司法書士事務所へ。フリーダイヤル0120-290-939、またはごとう相続手続き相談センターからお気軽にお問い合わせください。


※本記事は2026年10月時点の法令・制度に基づいて作成しています。韓国の遺留分制度をはじめ関連する法律は改正されることがありますので、実際のお手続きの際は最新の情報をご確認ください。

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。