ベトナム籍の方の相続|日本の不動産と預貯金、手続きと備えのすべて【名古屋のごとう司法書士事務所】

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ベトナム籍の方の相続手続き|日本の家と預金はどうなる?名古屋の司法書士が解説

2026/10/05

ベトナムから日本へ。日本で築いた財産の、これからの話|ベトナム籍の方の相続の基本

愛知県は全国有数のベトナム人コミュニティの地。働き、家族を持ち、家を買う。その先にある「相続」の話を、今日はやさしくお届けします。

名古屋市中区にあるごとう司法書士事務所では、随時無料相談を実施しています。

愛知県で暮らすベトナム籍の方は、いまや全国でも有数の規模になりました。かつてボートピープルとして日本に渡り定住された第一世代のご家族から、技能実習やエンジニアとして来日し、結婚して名古屋で家を買った若い世代まで。その歩みはさまざまですが、共通するのは、日本に生活と財産の基盤があるということです。

そして、財産があるところには、いつか必ず相続があります。第一世代のご家族には、すでに現実の手続きとして。若い世代には、将来への備えとして。ところが、ベトナム籍の方の相続は、日本人の相続と同じようには進みません。適用される法律が財産の種類で分かれ、相続人の顔ぶれもベトナム民法では日本と大きく違い、書類は日本とベトナムの両方にまたがります。

この記事では、外国籍の方の相続を数多くお手伝いしてきた名古屋のごとう司法書士事務所が、ベトナム籍の方の相続について、法律の仕組みから書類の集め方、そして2026年9月に始まったばかりのアポスティーユという新しい制度まで、やさしい言葉で解説します。ご本人にも、日本人のご家族にも読んでいただきたい内容です。

どの国の法律で相続する?|不動産は日本法、預貯金はベトナム法という「二刀流」

同じ相続の中で、家と預金に別々の国の法律が適用される。これがベトナム籍の相続のいちばんの特徴です。

ベトナム籍の方が亡くなると、日本のルールでは、相続は亡くなった方の本国法、つまりベトナムの法律が出発点になります。そしてベトナム民法は、国際的な相続についてこう定めています。相続は死亡直前の国籍国の法律で決まる。ただし、不動産に対する相続権の行使は、その不動産がある国の法律による、と。

この結果、面白い現象が起こります。名古屋の自宅や土地といった不動産は、「不動産の所在地の法律で」というベトナム法の指定を受けて、日本の民法で処理されます。一方、預貯金などの動産は、原則どおりベトナム民法が適用されるのです。つまり、一つの相続の中で、家は日本法、預金はベトナム法という「二刀流」になる。これがベトナム籍の相続の最大の特徴で、韓国籍や中国籍の相続とも異なるポイントです。

なお、日本の不動産に日本法が適用されるということは、相続登記の義務化もそのまま適用されるということです。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記をしなければ、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になり得ます。ベトナムとの書類のやり取りに時間がかかる分、スタートは早いほど安全です。

「そんな複雑なこと、自分たちでできるのだろうか」と思われたかもしれません。ご安心ください。仕組みを知っている専門家にとっては、処理の道筋が決まっている話です。大切なのは、最初にこの全体像を踏まえて手続きの設計をすること。不動産だけのつもりで進めて、預金の段階でベトナム法の壁に突き当たる、という手戻りを防げます。

ベトナムの相続人は日本と大違い|配偶者と親と子が「みんな均等」

ベトナム民法では、配偶者・父母・子が同じ順位で、取り分も均等。日本の常識で考えると、驚く結果になります。

預貯金などにベトナム民法が適用されるとき、相続人の範囲と取り分は日本と大きく異なります。

ベトナム民法の第一順位の相続人は、配偶者、実父母、養父母、実子、養子。そして同順位の相続人は均等に分けます。日本法なら「妻2分の1、子4分の1ずつ」となる家族でも、ベトナム法では、妻も、子も、そして健在なら本国のご両親も、全員が同じ取り分になるのです。配偶者を特別に優遇しない設計は、日本の感覚からするとかなりの驚きではないでしょうか。お子さんがいても、ベトナムにいるご両親が相続人として登場する。この構造は、遺産分割の話し合いの相手が国をまたぐことを意味します。

数字で見てみましょう。奥様とお子さん2人、そしてベトナムに健在のご両親がいる方の預貯金1,000万円をベトナム法で分けると、相続人は5人で均等、一人200万円ずつです。同じ家族構成を日本法で考えれば、ご両親はそもそも相続人にならず、奥様500万円、お子さん250万円ずつ。どちらの法律で考えるかで、お金の行き先がまったく変わることがお分かりいただけると思います。

遺言の制度にも特色があります。ベトナム民法では、文書による遺言のほかに、危篤時の口頭による遺言も認められ、満15歳から親の同意を得て遺言ができるなど、日本とはルールが違います。また、遺言があっても、未成年の子・父母・配偶者・労働能力のない成年の子には、法定相続分の3分の2が保障される遺留分に似た仕組みがあります。どの国の方式で、どちらの法律を意識して遺言を作るか。ここはまさに専門家と設計すべきポイントです。

なお、日本の不動産については日本法で処理されますから、相続登記の段取りや遺産分割協議書の作り方は、基本的に日本の実務に沿って進みます。「相続人が誰か」の証明にベトナムの書類が必要になる、という次の話を除いては。

書類はどう集める?|本国の証明書と、2026年9月から始まったアポスティーユ

出生証明書、家族本、大使館の宣誓供述書。そして今年9月、手続きを軽くする大きなニュースがありました。

ベトナムには、日本のように一通で家族の歴史をたどれる戸籍謄本の交付制度はありません。相続人を証明するには、出生証明書、婚姻証明書、死亡登録の証明、世帯関係を示す家族本など、ベトナムの身分登録制度の書類を組み合わせ、日本語訳を付けて立証していきます。日本側では、住民票や閉鎖された外国人登録原票の写しが活躍します。

難民として来日した第一世代のご家族では、「ベトナム側の書類が一切ない」というケースも珍しくありません。それでも相続は進められます。当事務所が参考にしている実例では、日本側の記録である閉鎖外国人登録原票で家族関係を立証し、在日ベトナム大使館の領事部で相続関係についての宣誓供述書の認証を受けて、相続登記を完了させています。書類がないことは、終わりではなく、立証方法を切り替える合図なのです。

実務の時間感覚もお伝えしておきます。ベトナム側の証明書の取り寄せと翻訳、家族への連絡と署名集めで、順調でも数週間から数か月。銀行や法務局へ出す際は、原本を返してもらう原本還付を申し出て、同じ書類を使い回すのが鉄則です。翻訳はご家族が行うこともできますが、人名や地名の表記ゆれは差し戻しの原因になりやすく、当事務所では翻訳の手配までセットでお受けしています。

そして、2026年の大きなニュースをお伝えします。ベトナムはこれまでアポスティーユ条約に加入しておらず、国をまたぐ書類には大使館の領事認証という手間のかかる手続きが必要でした。それが2026年9月11日、ついにベトナムでも同条約が発効し、原則として領事認証に代わってアポスティーユという簡素な証明で足りるようになったのです。日本の書類をベトナムへ、ベトナムの書類を日本へ。双方向の手続きが、まさにいま軽くなりつつあります。始まったばかりの制度で運用の確認は欠かせませんが、ベトナム籍の方の相続にとって、これは歴史的な追い風といえます。

若い世代にこそ伝えたい備え|マイホームと家族を守る遺言のすすめ

30代で家を買う時代。あなたに万一のことがあれば、ベトナムのご両親が相続人になります。備えは一枚の遺言から。

最後に、これから財産を築いていく若い世代のベトナム籍の方へお伝えしたいことがあります。

名古屋で家を買ったあなたに万一のことがあったら、その家の相続人は誰でしょうか。お子さんがまだいないご夫婦なら、配偶者に加えて、ベトナムにいるご両親が相続人になります。残された配偶者は、言葉の壁を越えて、ベトナムの義父母と遺産分割の話し合いをし、署名と認証を集めることになるのです。日本人の配偶者ならなおさら、その負担は計り知れません。

備えはシンプルです。公正証書遺言を一通作っておくこと。「家は妻に」と決めて遺言執行者を指定しておけば、国をまたぐ協議も署名集めも、丸ごと省略できます。あわせて、ベトナム側の婚姻・出生の登録が漏れていないかの確認、財産と書類の一覧づくり、生命保険の受取人の確認。この記事でご紹介した手続きの重さは、裏を返せば、生前の小さな準備がそのまま家族への大きな贈り物になるということです。

そしてもう一つ、ベトナム籍の方ならではの人生設計の視点があります。「いつか帰国するかもしれない」という選択肢です。帰国する場合、名古屋の家は売るのか、貸すのか。海外からの売却は在留中よりずっと手間がかかりますから、帰国の可能性があるなら、その出口まで含めて考えておくのが賢明です。永住や帰化を見据える方なら、その選択が相続の手続きをどう変えるかも、あわせて整理しておきましょう。

当事務所は司法書士と宅地建物取引士を兼ねており、マイホームの購入段階から、遺言、将来の相続登記、売却や住み替えまで、人生の節目ごとにご相談いただけます。ベトナム語の書類の翻訳手配も含めて、ワンストップでお手伝いします。

まとめ|二つの国をつなぐ相続を、名古屋でお手伝いします

不動産は日本法、預金はベトナム法。相続人は均等。書類は二つの国から。そして2026年、手続きは軽くなり始めました。

以上、ベトナム籍の方の相続について解説しました。

ポイントを振り返ります。日本の不動産は日本法、預貯金はベトナム法という財産ごとの二刀流になること。ベトナム民法では配偶者・父母・子が同順位で均等に相続し、本国のご両親が相続人になり得ること。書類は本国の証明書と日本側の記録を組み合わせ、書類がない場合も大使館の宣誓供述書などで道が開けること。そして2026年9月のアポスティーユ発効で、国をまたぐ書類のやり取りが大きく簡素化されつつあることです。

名古屋とその近郊には、工場で、建設現場で、ITの職場で、介護の現場で働くベトナムの方々の暮らしが根づいています。その一人ひとりの努力で築かれた財産が、国の違いという理由で宙に浮いてしまうことのないように。それが、この記事に込めた私たちの願いです。ベトナムと日本、二つの国に根を持つご家族の相続は、確かに手間がかかります。けれど、正しい順序と最新の制度を知っていれば、必ずゴールにたどり着けます。名古屋のごとう司法書士事務所は、ベトナム籍の方の相続登記・預貯金の手続き・遺言作成・不動産売却まで、親切丁寧にお手伝いする相続と不動産の専門事務所です。日本語の手続きに不安のある方も、どうぞ安心してご相談ください。

▶ベトナム籍の方の相続・遺言のご相談は、名古屋のごとう司法書士事務所(フリーダイヤル0120-290-939)へ。相続放棄、相続税、遺産分割など相続に役立つ情報満載の相続専門サイト「名古屋で相続相談・相続登記ならごとう相続手続き相談センター」もあわせてご覧ください。


※本記事は2026年10月時点の情報をもとに作成しています。ベトナムのアポスティーユは2026年9月11日に始まったばかりの制度で、運用は今後固まっていく部分があります。実際のお手続きの際は、司法書士など専門家に最新の情報をご確認ください。

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