亡くなった親の名義のままの家はどうする?外国籍の相続登記を名古屋で解説
2026/10/14
はじめに|「名義はそのうち変えればいい」と思っていませんか
その家、いまのままでは売ることも貸すこともできません。
「父が亡くなってもう10年。家はそのまま住んでいるから困っていない」「名義変更はお金もかかるし、いつかやればいいと思っていた」――亡くなった親御さんの名義のままの家に住んでいる、あるいは空き家のまま持っている。外国籍の方のご相談で、実はとても多いパターンです。
外国籍の方の相続登記は本国の書類集めが大変なため、「いつかやろう」と先送りされやすいのです。でも、2024年に相続登記が義務になり、昔の相続にも期限が設けられました。そして放置の本当の怖さは、時間が経つほど手続きがどんどん難しくなっていくことにあります。
この記事では、名古屋のごとう司法書士事務所が、親名義のままの家のリスクと、今からの進め方をやさしい日本語でご説明します。
「親名義のまま」は意外と多い|外国籍の方の相続で先送りが起きやすい理由
放置には理由があります。責める話ではなく、仕組みの問題です。
亡くなった方の名義のままの不動産は、全国的に大きな問題になっており、所有者が分からない土地は九州の面積を超えるともいわれてきました。名義変更(相続登記)は長らく義務ではなかったため、「住み続けるだけなら困らない」と先送りされてきたのです。
外国籍の方の場合、先送りの理由はさらにはっきりしています。相続登記には「だれが相続人か」を証明する書類が必要ですが、外国籍の方は日本の戸籍の代わりに本国の身分関係書類を取り寄せ、日本語訳を付ける必要があります。「韓国の除籍謄本を集めるのが大変そうだ」「中国の公証手続きがよく分からない」――この書類の壁の前で、多くのご家族が立ち止まってしまうのです。
また、相続人のあいだで「家は長男が住んでいるからそれでいい」と口約束のまま、書面も登記もしていないケースもよくあります。みんなが納得しているうちは問題が表に出ませんが、家は法律上、相続人全員の共有のまま宙に浮いている状態です。この状態が何を招くのか、次の章から具体的に見ていきます。
リスク①売れない・貸せない・担保にできない|いざというとき動けない家
名義が亡くなった方のままでは、不動産は1ミリも動かせません。
亡くなった方の名義のままの不動産は、売ることができません。買主への所有権移転は相続登記が終わっていることが前提だからです。まとまったお金が必要になって「家を売ろう」と思い立っても、そこから本国書類集めを始めると、売却できるのは半年以上先になります。
売却だけではありません。賃貸に出すときの大規模な修繕、建て替え、銀行から融資を受けるための担保設定(抵当権の設定)も、名義が整理されていなければ進められません。老人ホームへの入居資金のために実家を売りたい、相続した家を担保に事業資金を借りたい――人生の節目の選択肢が、名義ひとつでふさがってしまうのです。
さらに、固定資産税は実際の名義に関係なく相続人に課税され続けますし、空き家の場合は管理責任も負い続けます。つまり親名義のままの家は、「負担は今までどおり、権利だけ使えない」という、いちばん損な状態に置かれているといえます。
なお、家と一緒に放置されがちなのが、親御さん名義の預貯金です。口座は金融機関が死亡を知った時点で凍結され、名義のまま何年経っても自動的には動きません。相続登記のために集める本国の書類は、銀行の相続手続きでもほぼそのまま使えますので、家の名義変更とまとめて片づけてしまうのが、手間の面でもいちばん効率的です。眠っている口座に心当たりのある方は、あわせてご相談ください。
リスク②相続登記の義務化|昔の相続も2027年3月31日が期限
「ずっと前の相続だから関係ない」は通用しなくなりました。
2024年4月1日から、相続登記は法律上の義務になりました。不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記をしないと、10万円以下の過料の対象になる可能性があります。
ここで大切なのは、この義務が2024年より前に発生した昔の相続にも適用されることです。経過措置により、施行日より前の相続については施行日から3年、つまり2027年3月31日までに相続登記をする必要があります。「父が亡くなったのは20年前だから関係ない」ではなく、むしろ昔の相続ほど、この期限が迫っているのです。
外国籍の方の相続登記は本国書類の収集に数か月かかることを考えると、2027年3月の期限は決して遠くありません。どうしても間に合わない事情がある場合には、相続人申告登記という簡易な手続きで義務を果たしておく方法もありますが、これはあくまで「つなぎ」で、売却などには結局正式な相続登記が必要です。期限があるうちに、本登記まで進めておくことをおすすめします。
過料は、期限を過ぎたら即座に科されるものではなく、法務局からの催告を経て、正当な理由なく応じない場合に裁判所が判断する仕組みです。とはいえ、催告が届いてから慌てて本国書類を集め始めるのでは間に合いません。「通知が来る前に終わらせておく」のが、結局いちばん安心で安上がりです。
リスク③時間が経つほど難しくなる|相続人が増え、書類が消えていく
放置のいちばんの代償は、過料ではなく「難易度の雪だるま」です。
親名義のまま放置しているあいだに相続人のだれかが亡くなると、その方の持分はさらにその家族へ引き継がれます。最初は「母と子ども2人」の話し合いだったものが、10年後には甥や姪、その配偶者まで巻き込んだ10人がかりの協議になっていた――こうした相続人の雪だるま式の増加は、放置された相続登記の典型的な結末です。
外国籍の方の場合、増えた相続人が本国や第三国に住んでいることも多く、一人ひとりからサイン証明付きの書類をもらう手間は国内の比ではありません。
もうひとつの代償が書類です。古い本国の記録は、時間が経つほど取得が難しくなることがあります。また、相続の事情を知る年長のご家族が亡くなると、「本籍がどこか」「家族構成がどうだったか」という手がかり自体が失われます。当事務所の経験でも、相続登記の難易度は放置した年数にほぼ比例します。「今がいちばん簡単」――これは外国籍の方の相続登記の、まぎれもない真実です。
今からの進め方|書類集め→話し合い→登記の3ステップ
何十年前の相続でも、やることは3つに整理できます。
親名義のままの家を動かす手順は、どれだけ時間が経っていても基本は同じです。
ステップ1は、相続人の確定と書類集めです。亡くなった親御さんの本国の身分関係書類(韓国なら家族関係証明書や除籍謄本、中国なら公証書など)を取り寄せ、相続人全員を確定します。古い記録が見つからない場合も、日本に保管されている外国人登録原票などを手がかりにする方法があります。
ステップ2は、遺産分割の話し合いです。だれの名義にするのかを相続人全員で決め、遺産分割協議書にまとめます。長年の口約束があるご家族でも、この機会に書面にしておくことで、次の世代へのトラブルの持ち越しを防げます。将来売る予定があるなら、売却を見据えた名義の決め方(換価分割など)もこの段階で設計します。海外にいる相続人には、印鑑証明書の代わりにサイン証明で参加してもらう方法があり、来日してもらう必要はありません。
ステップ3が、法務局への相続登記の申請です。書類さえ揃えば、登記自体は数週間で完了します。
当事務所にご依頼いただく場合、ステップ1の書類集めからステップ3まで、まとめてお任せいただけます。何十年も前の相続、相続人が海外にいるケースも、数多くお手伝いしてきました。費用は、登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)と本国書類の実費、司法書士の報酬の合計で決まり、最初のご相談で総額の見通しをお示しします。放置して相続人が増えてからの費用と比べれば、今動くほうが確実に安くすみます。
登記が終わると選択肢が広がる|住む・貸す・売るを自由に選べる家に
名義の整理は、家の使い道を取り戻す手続きです。
相続登記が終わると、家はようやく「動かせる資産」に戻ります。住み続けるなら安心して修繕や建て替えができ、貸すなら堂々と賃貸契約を結べます。そして売ると決めたときには、すぐに売却活動を始められます。
当事務所は司法書士事務所であると同時に宅建士として不動産業も営んでいるため、登記が終わったあとの「この家、実際いくらで売れるのか」「貸すのと売るのとどちらが得か」というご相談まで、同じ窓口でお受けできます。登記のための書類集めと並行して査定を進めれば、名義変更が終わったその日から売り出す、というスケジュールも可能です。
名古屋とその近郊は、地下鉄沿線や学区によって相続した家にも根強い需要があるエリアです。「古いから売れないだろう」と思い込んでいた家に、思わぬ値段がつくことも珍しくありません。放置の理由が「どうせ価値がない」なら、まず査定で確かめてみる価値があります。
名義の整理は、過料を避けるための義務である以上に、ご家族の資産の選択肢を取り戻す前向きな手続きです。「いつかやろう」の「いつか」を、今日にしていただければと思います。
まとめ|「10年放置した家」も動かせます。まずは現状確認から
期限は2027年3月。書類集めの時間を考えると、動くのは今です。
亡くなった親御さんの名義のままの家は、売れない・貸せない・担保にできないうえ、相続登記の義務化によって昔の相続も2027年3月31日までに登記が必要になりました。そして放置すればするほど、相続人は増え、本国の書類は集めにくくなり、手続きの難易度と費用は上がっていきます。
逆にいえば、今日が残りの人生でいちばん手続きが簡単な日です。何十年前の相続でも、書類集め→話し合い→登記の3ステップで必ず出口にたどり着けます。登記が終われば、住む・貸す・売るの選択肢が戻り、親御さん名義のままの預貯金も同じ書類でまとめて片づけられます。
名古屋のごとう司法書士事務所は、韓国・中国をはじめ外国籍の方の相続登記を数多くお手伝いしてきました。「まず自分の家がどういう状態か知りたい」という現状確認だけのご相談も歓迎です。登記簿を調べて、何がどこまで必要かをその場でご説明します。固定資産税の納税通知書があればお持ちください。
▶親名義のままの家のご相談は、名古屋のごとう司法書士事務所へ。フリーダイヤル0120-290-939、またはごとう相続手続き相談センターからお気軽にお問い合わせください。
※本記事は2026年10月時点の法令・制度に基づいて作成しています。相続登記義務化の経過措置の期限など、制度の詳細は変更されることがありますので、実際のお手続きの際は最新の情報をご確認ください。