外国籍の方の相続放棄はどうする?3か月の期限・日本の家庭裁判所での手続き・本国法との違いを名古屋の司法書士がやさしく解説

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外国籍の方の相続放棄~期限3か月と日本との違いを名古屋の司法書士が解説

2026/10/13

はじめに|「借金まで相続したくない」と思ったら、時間との勝負です

相続放棄には3か月の期限があります。外国籍の方は確認すべきことがひとつ多くなります。

「亡くなった父に借金があったらしい」「疎遠だった親族の相続人になったと通知が来た。関わりたくない」――こんなとき、借金や面倒ごとを相続しないための制度が相続放棄です。

ただし相続放棄には、原則3か月という短い期限があります。そして外国籍の方の相続では、「どの国の法律で放棄するのか」「どこの裁判所で手続きするのか」という、日本人の相続にはない確認事項が加わります。実は韓国籍の方の場合、日本人の場合より期限の考え方が厳しい場面もあるのです。

この記事では、名古屋のごとう司法書士事務所が、外国籍の方の相続放棄について、期限・手続き・本国法との違いを、やさしい日本語で急所だけ絞ってご説明します。

相続放棄とは|借金ごと相続しないための制度と3か月の期限

放棄をすれば、はじめから相続人でなかったことになります。

相続では、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金や保証債務などのマイナスの財産も引き継ぎます。マイナスのほうが大きい場合や、事情があって相続に関わりたくない場合は、家庭裁判所に申述して相続放棄をすることで、はじめから相続人でなかったことになり、借金を引き継がずにすみます。

大切なのは期限です。日本の民法では、自分のために相続が開始したことを知ったときから3か月以内に申述しなければなりません。この3か月を熟慮期間といい、財産の調査が終わらない場合には、家庭裁判所に申し立てて期間を延ばしてもらうこともできます。

もうひとつの注意は、亡くなった方の預貯金を使ったり財産を処分したりすると、相続を承認したとみなされて放棄できなくなるおそれがあることです。「借金があるかもしれない」と思ったら、財産には手をつけず、まず調査と放棄の検討を先に行うのが鉄則です。よくご質問いただく葬儀費用については、常識的な範囲であれば問題ないとされることが多いものの、判断の分かれやすいところですので、支払う前に領収書を残し、迷ったらご相談ください。

なお、放棄をしても、亡くなった方の家に現に住んでいるなど財産を占有している場合には、次に管理する人へ引き継ぐまでの保存義務が残ることがあります。「放棄したから何もしなくていい」とは限らない点も、あわせて知っておくと安心です。

どの国の法律で放棄する?|本国法が原則、手続きは日本の家庭裁判所

「法律は本国のもの、手続きの場所は日本」という組み合わせが基本形です。

日本の国際私法(法の適用に関する通則法36条)では、相続は亡くなった方の本国法によります。つまり、韓国籍の方が亡くなれば韓国民法、中国籍の方が亡くなれば中国の法律を基準に、放棄ができるか、いつまでにどうやってするのかを考えることになります。

一方、手続きの場所については、亡くなった方が日本に住んでいた場合、日本の家庭裁判所(名古屋にお住まいだった方なら名古屋家庭裁判所)に相続放棄の申述をするのが実務の取り扱いです。「法律の中身は本国法、手続きの入れ物は日本の裁判所」という組み合わせになるのが、外国籍の方の相続放棄の基本形です。

このとき家庭裁判所には、通常の放棄の書類に加えて、本国の法律で放棄が認められていることや、相続関係を証明する本国の書類(と日本語訳)を求められることがあります。たとえば韓国籍の方なら、亡くなった方の基本証明書や家族関係証明書、放棄する方との関係が分かる証明書などを領事館で取得し、訳文を付けて提出するイメージです。日本人の放棄よりも書類の準備に時間がかかるため、3か月の期限から逆算すると、実際に使える時間は思ったより短いと考えてください。

借金がいくらあるのか分からない場合は、信用情報機関(銀行・貸金業者・クレジット会社の各機関)へ情報開示を請求すると、亡くなった方の借入れの状況を調べられます。この調査も放棄の判断材料として並行して進めます。

韓国籍の方の注意点|起算点が厳しい・放棄の連鎖は「いとこまで」

韓国法の放棄は、日本の感覚でいると落とし穴があります。

韓国民法にも相続放棄の制度があり、期限は「相続が開始したことを知ったときから3か月」と、数字だけ見ると日本と同じです。しかし、中身にはいくつか重要な違いがあります。

まず起算点です。日本では、借金の存在をあとから知った場合などに3か月の起算点を遅らせる余地が判例で認められていますが、韓国法では「相続開始と自分が相続人であることを知った日」から厳格に数えるのが原則とされ、あとから借金が見つかっても原則として救済されにくいといわれています。つまり、韓国籍の方の相続では「とりあえず様子を見る」が通用しにくいのです。

次に、放棄の連鎖の範囲です。韓国法の法定相続人は第4順位の4親等以内の傍系血族(いとこなど)まで広がるため、家族全員で借金を避けるには、日本(兄弟姉妹とその子まで)より広い範囲の親族の放棄が必要になり得ます。また、子ども全員が放棄すると孫が相続人になるという連鎖も見落としがちなポイントです。

このあたりの組み立ては専門的な判断が必要ですので、韓国籍の方の相続で借金の心配がある場合は、1日でも早くご相談ください。

中国籍など他の国籍の方は?|国によって放棄の方法が違う

裁判所に行く国もあれば、書面で意思表示する国もあります。

相続放棄の仕組みは国によってさまざまです。たとえば中国の法律では、相続の放棄は裁判所の手続きではなく、遺産の処理が始まる前に書面で放棄の意思を示す方法によるとされています。実務では、公証を受けた放棄の声明書を作成する形がよく使われます。

このように、「どこで」「いつまでに」「どんな形式で」放棄するかは本国法によって大きく違うため、外国籍の方の相続放棄は、まず本国法の内容を確認するところから始まります。日本にある財産や債権者との関係では、日本の家庭裁判所での放棄の申述を併用しておく対応が取られることもあります。

フィリピン、ベトナム、ブラジルなど、ほかの国籍の方も考え方は同じです。当事務所では、本国法の調査から必要書類の設計まで、国籍ごとの違いを踏まえてサポートしています。

放棄の連鎖に注意|あなたが放棄すると、次はだれが相続人になる?

自分が放棄して終わり、ではありません。次の人に順番が回ります。

相続放棄をすると、その人ははじめから相続人でなかったことになり、相続権は次の順位の人へ移ります。たとえば、亡くなった方の子ども全員が放棄すると、次はご両親(祖父母)、その次は兄弟姉妹へと、借金つきの相続権がリレーのように回っていくのです。

ここでよくあるトラブルが、「自分たちだけ放棄して、親戚に知らせていなかった」というケースです。次順位の親族は、ある日突然、債権者からの通知で自分が相続人になったことを知ることになります。関係がこじれる原因になりますし、その親族の3か月の期限もそこから動き出します。

逆に、あなた自身が「会ったこともない親族の相続人になった」という通知を受け取る側になることもあります。これは先順位の方々が放棄をした結果、順番が回ってきたサインです。心当たりのない通知だからといって放置せず、通知が届いた日をメモして、すぐに放棄を検討してください。放置しても相続人の地位は消えません。

外国籍の方の相続では、この連鎖が本国にいる親族まで及ぶことがあります。放棄を決めたら、次に相続人になる方へできるだけ早く知らせること、可能であれば家族・親族で足並みをそろえて放棄の計画を立てることが、円満に借金を断ち切るコツです。

海外からの放棄・間に合いそうにないとき|書類の準備と期間の伸長

海外在住でも放棄はできます。あきらめる前にできることがあります。

相続人が韓国や中国など海外に住んでいる場合でも、日本の家庭裁判所への放棄の申述はできます。申述書への署名や必要書類のやり取りを国際郵便で行い、身分を証明する書類は現地の公的な証明やサイン証明で補います。郵送の往復に時間がかかるため、海外の相続人がいる場合は最優先で着手しましょう。

「財産の全体像が分からず、放棄すべきか3か月では決められない」という場合は、家庭裁判所に熟慮期間の伸長を申し立てる方法があります。また、プラスの財産の範囲内でだけ借金を引き継ぐ限定承認という制度もあります(相続人全員で行う必要があるなど、使い方に注意が必要です)。

放棄が家庭裁判所に受理されると、相続放棄申述受理通知書が届きます。債権者から督促が来た場合は、この通知書(または受理証明書)のコピーを示せば、以後の請求は止まるのが通常です。債権者対応まで含めて、受理後の流れもご案内します。

すでに3か月を過ぎてしまった場合でも、事情によっては放棄が認められる可能性が残されていることがあります。「もう無理だ」と自分で判断して債権者に支払う前に、必ず専門家にご相談ください。

まとめ|迷っている時間がいちばん危険。すぐにご相談ください

期限の確認→財産に手をつけない→専門家に相談。この順番を守ってください。

外国籍の方の相続放棄は、本国法で放棄のルールを確認したうえで、日本の家庭裁判所で手続きするのが基本形です。韓国籍の方は起算点が厳しく、放棄の連鎖がいとこまで広がり得るなど、日本の感覚のままでは危ない違いもあります。本国書類の準備に時間がかかることを考えると、3か月の期限は実際にはもっと短いと考えて動く必要があります。

借金の通知が来た方、疎遠な親族の相続人になってしまった方、財産より借金が多そうだと感じている方――迷っているあいだにも期限は進んでいきます。亡くなった方の財産には手をつけず、通知や督促状などの資料をそのままお持ちのうえ、できるだけ早くご相談ください。「亡くなったのはいつか」「それを知ったのはいつか」「通知が届いたのはいつか」の3つの日付が分かるメモがあると、その場で期限の残りを計算し、間に合わせるための段取りをすぐにお示しできます。

名古屋のごとう司法書士事務所は、韓国・中国をはじめ外国籍の方の相続手続きと相続放棄の書類作成を数多くお手伝いしてきました。期限が迫っているご相談は、優先してお受けしています。

▶外国籍の方の相続放棄のご相談は、名古屋のごとう司法書士事務所へ。フリーダイヤル0120-290-939、またはごとう相続手続き相談センターからお気軽にお問い合わせください。


※本記事は2026年10月時点の法令・制度・実務の取り扱いに基づいて作成しています。相続放棄の期限や外国法の内容は個別の事情によって判断が変わりますので、必ず専門家にご確認ください。

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