外国籍の相続で「書類が集められない」と困ったら~戸籍が取れない・記録がない・相続人と連絡がつかないときの解決策を名古屋の司法書士が解説

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外国籍の相続で書類が集められないときの解決策を名古屋の司法書士が解説

2026/10/10

はじめに|「書類が揃わないから相続できない」とあきらめていませんか

行き詰まった相続にも、実務で使える突破口がいくつもあります。

外国籍の方の相続手続きでは、「本国の戸籍が取れない」「親子関係を証明する書類がない」「古い記録が外国語で読めない」「そもそも相続人のひとりと連絡がつかない」――こうした理由で手続きが止まってしまうことが珍しくありません。

なかには、何年も前に一度挑戦して、書類の壁にぶつかってそのままになっている、という方もいらっしゃいます。

でも、あきらめるのはまだ早いです。実務の世界には、書類が揃わないときのための代わりの手段や、日本に残された記録を使う方法がきちんと用意されています。この記事では、名古屋のごとう司法書士事務所が、行き詰まりのパターン別に解決策をやさしい日本語でご紹介します。

あきらめる前に知ってほしいこと|「書類がない相続」にも道はあります

法務局も銀行も、「完璧な書類」だけを求めているわけではありません。

相続手続きで書類を集める目的は、突き詰めれば2つだけです。「亡くなった方が亡くなったこと」と「相続人がだれで、全員そろっていること」を証明することです。

日本人の相続なら戸籍一式で証明できますが、外国籍の方の場合、国によって制度も記録の残り方も違うため、同じようにはいきません。戦争や制度の変更で記録が失われていたり、来日の経緯によっては本国に記録そのものがなかったりすることもあります。

大切なのは、「決まった書類が出せないなら、別の証拠の組み合わせで証明する」という発想です。法務局の登記実務でも、本国の制度上どうしても書類が出せない場合には、代わりの資料や関係者の申述で補う取り扱いが認められてきました。つまり、書類が足りないことは「終わり」ではなく、「別ルートの検討開始」の合図なのです。

どんなルートがあるのか、パターン別に見ていきましょう。

本国の証明書が取れないとき|制度がない国・記録が途切れた場合の代替手段

「戸籍」がある国のほうが、世界では少数派です。

日本や韓国、中国(公証制度)、台湾のように身分関係の記録制度が整っている国ばかりではありません。戸籍制度自体がない国では、出生証明書・婚姻証明書・死亡証明書といった個別の証明書を組み合わせて、親子関係や相続人の範囲を証明していきます。

それらの証明書すら取れない場合に実務でよく使われるのが、宣誓供述書です。相続人などの関係者が「相続人は私たちで全員です」といった事実を、本国の公証人や在日の大使館・領事館の面前で宣誓して作成する書面で、戸籍の代わりとして法務局や銀行に提出します。

また、韓国籍の方で「本国に記録はあるはずだが、どこにあるか分からない」という場合は、本籍(登録基準地)を探すところから始めます。日本の役所に残る過去の届出の記録や、後ほどご紹介する外国人登録原票が、本籍を突き止める手がかりになります。古い韓国戸籍は本籍地が分からないと請求できないため、この「探す工程」が全体の成否を分けることもあります。ご家族の記憶にある地名、古い手紙の住所、法事の案内状など、一見書類に見えないものが決め手になった例もあります。

どの国のどんな書類で証明するかの組み立ては、外国籍の相続のいちばん専門的な部分です。ここを自己流で進めて法務局で止まってしまう方が多いので、早めに専門家へご相談ください。

日本に残る記録を使う方法|外国人登録原票の写しの交付請求

本国に記録がなくても、日本に記録が残っていることがあります。

意外と知られていない強力な手段が、外国人登録原票です。2012年まで、日本に住む外国籍の方は市区町村で外国人登録をしており、その記録(原票)には氏名・生年月日・国籍・家族構成・住所の履歴などが記録されています。制度廃止後、この原票は国(出入国在留管理庁)に保管されています。

亡くなった方の原票は、配偶者やお子さんなどのご遺族が「死亡した外国人に係る外国人登録原票の写しの交付請求」によって取り寄せることができます。古い原票には家族の続柄が記録されていることが多く、本国の書類が取れない場合に親子関係を証明する大切な証拠になります。

実際、戦前・戦後に来日した一世の方の相続では、本国側の記録が乏しくても、この原票と日本の役所の記録を組み合わせることで相続人の証明ができたケースが数多くあります。

原票には、本人の写真や指紋だけでなく、世帯を構成する家族の氏名・続柄・生年月日が記録されている時期があり、「父と子が同じ世帯だった」という記録そのものが親子関係の有力な裏付けになります。また、住所の履歴から本籍地や渡航の経緯が分かることもあり、ほかの書類を探す出発点としても役立ちます。

請求には、亡くなった方との関係を証明する書類などが必要で、取り寄せまで一定の時間がかかります。「どうせ記録なんてない」と決めつけずに、まず日本側に残っている記録を確認する――これが行き詰まった相続の定石です。

古い書類が読めない・証明が足りないとき|解読と上申書という手段

読めない書類は専門家が解読し、埋まらない隙間は上申書で補います。

せっかく取り寄せた本国の書類が、古いハングルや旧字体の漢字、達筆な手書きで読めない、ということもよくあります。古い韓国の除籍簿は漢字とハングルが混在し、記載の慣習も今とは違うため、解読には経験が必要です。読めないまま放置せず、外国籍の相続に慣れた専門家に見せてください。「読めなかった1枚」に、必要な情報が全部書いてあったということもあります。

それでも書類と書類のあいだに証明の隙間が残る場合、実務では上申書という手段を使います。相続人全員が「相続人は私たちで全員であり、ほかに相続人はいません」といった事実を法務局に対して申述し、印鑑証明書を添えて提出する書面です。足りない書類の事情を説明し、揃えられた証拠と組み合わせることで、登記を通せる場合があります。

上申書はあくまで補助的な手段で、何でも省略できる魔法の書面ではありません。法務局によって取り扱いに幅があるため、事前に管轄の法務局へ相談し、「この証拠の組み合わせで足りるか」を確認しながら進めるのが実務の進め方です。どこまで書類を尽くしたうえでどの範囲を上申で補うか、という組み立てが腕の見せどころになります。銀行の相続手続きでも同じ発想が使えますが、求められる書類の水準は銀行ごとに違うため、提出前のすり合わせが大切です。

相続人と連絡がつかないとき|調査の進め方と不在者財産管理人

「連絡が取れない人がいるから進められない」にも、法律上の出口があります。

遺産分割の話し合いは相続人全員でする必要があるため、ひとりでも連絡がつかないと手続きが止まってしまいます。外国籍の方の相続では、相続人の一部が本国や第三国に住んでいて、住所が分からなくなっているケースが少なくありません。

まずは所在調査です。日本にいたことのある方なら、住民票の除票や外国人登録原票の住所履歴をたどります。本国にいる方なら、領事館を通じた確認や、本国の親族ネットワークへの照会を組み合わせます。韓国籍の方であれば、韓国側の家族関係登録簿の記録から手がかりが見つかることもあります。司法書士は、業務に必要な範囲でこうした調査のお手伝いができます。

調べても所在が分からない場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人を選んでもらい、その管理人が不在の相続人の代わりに遺産分割に加わる方法があります。長期間生死が分からない場合には、失踪宣告という制度もあります。

時間はかかりますが、「連絡がつかない人がいるから永遠に進まない」ということはありません。放置すると、連絡がつかないその方が亡くなったときに相続人の地位がそのお子さんたちへ引き継がれ、探すべき相手が2人、3人と増えていきます。国をまたぐ相続では、世代がひとつ進むだけで難易度が大きく上がりますから、今の世代で出口まで進めておくことを強くおすすめします。

海外にいる相続人の書類が揃わないとき|サイン証明と現地公証

印鑑証明がなくても、サインで進める方法が確立されています。

相続人が海外に住んでいると、日本の印鑑証明書が取れないため「協議書にハンコが押せない」という壁にぶつかります。この場合は、遺産分割協議書への署名を現地の日本大使館・領事館や公証人の面前で行い、サイン証明(署名証明)や公証を受ける方法で代用します。国によってはアポスティーユという認証を重ねる場合もあります。

書式の作り方にもコツがあります。協議書を日本語と現地語の対訳にする、署名欄を相続人ごとに分けて別々に署名できる形にする、郵送の往復を最小限にする段取りを組む――こうした工夫で、海外の相続人の負担はぐっと軽くなります。

なお、こうした代替手段を使う相続は、通常の相続より書類のやり取りが増えるぶん、期間も費用も余裕を見ておく必要があります。どの手段にどれくらいの時間とお金がかかりそうかは、状況をうかがえば最初のご相談でおおよその見通しをお伝えできます。

当事務所では、海外の相続人あての説明文書の準備から、どの機関でどの証明を受ければよいかのご案内まで、まとめてサポートしています。

まとめ|「うちは無理かも」と思ったら、その状態のままご相談ください

書類が揃っていない状態こそ、専門家の出番です。

外国籍の方の相続で書類が集められないときの解決策を、パターン別にご紹介しました。本国の証明書が取れなければ代わりの証明書や宣誓供述書で、日本側の記録は外国人登録原票で、証明の隙間は上申書で、所在不明の相続人には調査と不在者財産管理人で――行き詰まりのそれぞれに、実務上の出口が用意されています。

ご相談の際に、書類を揃えてから来ていただく必要はまったくありません。むしろ「何が取れて何が取れなかったか」という行き詰まりの状態そのものが、解決ルートを組み立てるための大切な情報です。手元にある書類や手紙、古いメモをそのままお持ちください。

名古屋のごとう司法書士事務所は、韓国・中国をはじめ外国籍の方の相続手続きを数多くお手伝いしてきました。何年も止まっていた相続を動かすお手伝いは、私たちがいちばん力を発揮できる仕事のひとつです。

▶書類が集められずに止まっている相続のご相談は、名古屋のごとう司法書士事務所へ。フリーダイヤル0120-290-939、またはごとう相続手続き相談センターからお気軽にお問い合わせください。


※本記事は2026年10月時点の法令・制度・実務の取り扱いに基づいて作成しています。外国人登録原票の交付請求の方法などは変更されることがありますので、実際のお手続きの際は最新の情報をご確認ください。

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