相続ことば辞典|外国籍の方へ、やさしい日本語で名古屋の司法書士が解説
2026/10/03
相続のことばが分からないのは、あなたのせいではありません|日本人も実は分かっていません
「ヒソウゾクニン?」「イサンブンカツキョウギ?」。役所や銀行で飛び交う漢字のことば。この辞典を開けば、もう会話で迷子になりません。
名古屋市中区にあるごとう司法書士事務所では、随時無料相談を実施しています。
日本語での会話は問題ないのに、相続の話になったとたん、分からないことばだらけになる。外国籍のお客様から、そんな声をたくさん聞いてきました。無理もありません。「被相続人」「遺産分割協議」「検認」。これらは日常会話ではまず使わない、法律の専門用語です。実は日本人のお客様も、最初はほとんど分かっていません。だから、分からないことは恥ずかしいことではないのです。
ただ、ことばが分からないまま手続きを進めると、損をしたり、期限に遅れたりする危険があります。銀行や法務局、役所の窓口では、これらのことばが説明なしで飛び交うからです。
この記事は、日本で暮らす外国籍の方のための「相続ことば辞典」です。相続の場面で必ず出てくることばを、人・書類・手続き・お金と期限の四つのグループに分けて、やさしい日本語で説明します。さらに各ことばには、外国籍の方だからこそ知っておきたいひとことメモを付けました。手続きの前に、窓口で分からないことばに出会ったときに、何度でも開いてください。
「人」のことば|だれが財産を受け取るのかを表す用語
まずは登場人物のことばから。「ヒ」が付くか付かないかで、意味が正反対になります。
被相続人(ひそうぞくにん)
亡くなった方のことです。財産を遺して亡くなった人を、法律ではこう呼びます。「被」が付くと「亡くなった側」です。 外国籍のあなたへ:被相続人が外国籍の場合、相続にはその方の母国の法律が関わります。日本に長く住んでいても同じです。
相続人(そうぞくにん)
財産を受け取る側の人です。配偶者(夫・妻)は常に相続人で、そのほかは子、親、きょうだいの順で決まります。 外国籍のあなたへ:だれが相続人になるかは、被相続人の国の法律で変わることがあります。たとえば韓国法では配偶者の取り分が子の1.5倍です。国籍が外国でも、日本人の相続で相続人になる権利はまったく同じです。
法定相続分(ほうていそうぞくぶん)
法律が決めている、相続人ごとの取り分の割合です。日本法では、妻と子2人なら、妻が2分の1、子が4分の1ずつです。ただし、全員が合意すれば違う分け方もできます。 外国籍のあなたへ:この割合も国によって違います。どの国の法律で計算するかを最初に確認することが、外国籍の相続の出発点です。
遺留分(いりゅうぶん)
遺言があっても奪えない、相続人に保障された最低限の取り分です。日本法では配偶者と子に認められ、きょうだいにはありません。 外国籍のあなたへ:韓国でも2024年の違憲決定できょうだいの遺留分が廃止されるなど、母国の制度も変わっていきます。遺言を書くときは、どちらの国の遺留分ルールが適用されるかの確認が必要です。
「書類」のことば|手続きで必ず出てくる紙の名前
窓口で「〇〇を持ってきてください」と言われる紙たち。名前と役割をつなげて覚えましょう。
戸籍謄本(こせきとうほん)
日本人の出生・結婚・死亡などを記録した、家族の公式な記録の写しです。相続では、亡くなった方の「生まれてから亡くなるまで」の戸籍をすべて集めて、相続人を証明します。 外国籍のあなたへ:外国籍の方には日本の戸籍がありません。代わりに、韓国なら家族関係登録簿の証明書、中国なら公証書など、母国の書類と日本語訳で証明します。日本人と結婚している方は、配偶者の戸籍にあなたとの婚姻が記録されています。
除籍謄本(じょせきとうほん)
全員がいなくなって閉じられた古い戸籍の写しです。昔の記録をたどるときに使います。韓国にも同じ名前の制度(除籍謄本)があり、2008年より前の記録はこれで確認します。 外国籍のあなたへ:古い除籍は手書きで、読み解くのが大変です。集め方が分からないときは、最初から専門家に任せるのが近道です。
印鑑証明書(いんかんしょうめいしょ)
役所に登録した「実印」が本物であることを証明する紙です。遺産分割協議書など、大事な書類には実印と印鑑証明書のセットが求められます。 外国籍のあなたへ:日本に住民登録があれば、外国籍の方も印鑑登録ができます。まだの方は、相続が始まる前に作っておくと手続きがぐっと楽になります。
サイン証明(署名証明)
海外に住んでいて印鑑証明書が取れない人のための、署名が本人のものだと証明する書類です。日本人なら現地の日本大使館・領事館で、外国籍の方は現地の公証人などで取得します。 外国籍のあなたへ:母国にいるあなたの家族が相続人になったとき、この書類が必要になります。詳しくは当事務所の「海外在住の相続人」の記事もご覧ください。
翻訳文(ほんやくぶん)
外国語の書類に付ける日本語訳のことです。法務局や銀行に母国の書類を出すときは、必ず日本語訳を添付します。訳した人の名前を書けば、専門の翻訳会社でなくてもかまいませんが、内容の正確さは手続きの合否に直結します。 外国籍のあなたへ:ご自身やご家族が訳すこともできますが、固有名詞や日付の食い違いは差し戻しのもと。当事務所では翻訳の手配までまとめてお手伝いしています。
「手続き」のことば|やること・やり方を表す用語
「何をするのか」が分かれば、手続きの全体の地図が見えてきます。
遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)
相続人全員で「だれが、どの財産を受け取るか」を話し合うことです。結果を書面にしたものが遺産分割協議書で、全員の実印(または署名証明)が必要です。一人でも欠けると無効です。 外国籍のあなたへ:相続人に海外在住の方や外国籍の方がいると、この書類の署名集めが最大の山場になります。遺言があれば、この協議そのものを省略できます。
相続登記(そうぞくとうき)
亡くなった方の名義になっている土地や建物を、相続人の名義に変える手続きです。法務局に申請します。2024年4月から義務になりました。 外国籍のあなたへ:外国籍の方が名義人になるときは、氏名にローマ字を併記します。母国の書類集めに時間がかかるため、早めのスタートが大切です。
検認(けんにん)
自筆の遺言書を、家庭裁判所で開封・確認する手続きです。封がされた遺言書を勝手に開けてはいけません。公正証書遺言なら検認は不要です。 外国籍のあなたへ:検認にも相続人を証明する書類一式が必要です。外国籍の方の相続では、ここでも母国の書類が登場します。遺言を作るなら、検認のいらない公正証書遺言がおすすめです。
遺言執行者(いごんしっこうしゃ・ゆいごんしっこうしゃ)
遺言の内容を実現する係の人です。遺言の中で指定しておくと、名義変更や預金の解約を、他の相続人の協力なしで進められます。司法書士などの専門家を指定することもできます。 外国籍のあなたへ:相続人が海外や母国にいるご家庭ほど、この係の価値は大きくなります。署名集めの国際郵便が、丸ごといらなくなるからです。
相続放棄(そうぞくほうき)
財産も借金も、すべて受け取らないと家庭裁判所に申し出る手続きです。相続を知った日から3か月以内という厳しい期限があります。 外国籍のあなたへ:被相続人の国籍によっては、母国の法律の放棄ルールが関わる場合があります。借金があるかもしれないときは、3か月の期限があるため、迷ったらすぐ専門家に相談してください。
準拠法(じゅんきょほう)
「どの国の法律を使うか」を決めるルールのことです。日本では、相続は亡くなった方の本国の法律によるのが原則です。 外国籍のあなたへ:この辞典で何度も出てきた、外国籍の相続のいちばん大事なことばです。国籍によっては、遺言で日本法を選んでおける場合もあります。あなたの場合どうなるかは、ぜひ一度ご相談ください。
「お金と期限」のことば|数字といっしょに覚えたい用語
相続には「いくら」と「いつまで」が付いて回ります。数字とセットで覚えると忘れません。
基礎控除(きそこうじょ)
相続税がかかるかどうかの境目になる金額です。「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。妻と子2人なら4,800万円。遺産がこれ以下なら、相続税は原則かかりません。 外国籍のあなたへ:相続税は国籍に関係なく、日本の財産には原則かかります。配偶者には税金を大きく減らす仕組みがあり、これも外国籍の方に使えます。
登録免許税(とうろくめんきょぜい)
相続登記のときに国に納める税金です。固定資産税評価額の0.4%で、評価額によっては数十万円になります。 外国籍のあなたへ:この税金は名義変更のたびにかかります。名義を放置して相続が重なると、手続きも税金も二重になります。
過料(かりょう)
義務を守らなかったときに科される金銭的なペナルティです。相続登記を正当な理由なく3年以内にしないと、10万円以下の過料の対象になり得ます。 外国籍のあなたへ:「母国の書類集めに時間がかかる」は分かってもらえる事情ですが、放置してよい理由にはなりません。書類が揃わないときは、相続人申告登記という簡単な手続きでひとまず義務を果たす方法もあります。
10か月(じゅっかげつ)
相続税の申告と納税の期限です。亡くなった日の翌日から数えます。3か月(相続放棄)、10か月(相続税)、3年(相続登記)。この三つの数字は、ぜひセットで覚えてください。 外国籍のあなたへ:母国の書類集めには数か月かかります。つまり外国籍の相続は、最初からこの期限との競争です。早く始めることが、何よりの対策です。
まとめ|ことばが分かれば、相続は怖くありません
分からないことばに出会ったら、この辞典に戻ってきてください。それでも分からなければ、私たちに聞いてください。
以上、日本の相続でよく出てくることばを、外国籍の方の視点でご紹介しました。
振り返ると、どのことばにも共通するメッセージがあります。外国籍の方の相続は、日本人の相続と権利は同じ、でも証明の書類と適用される法律が違う。そして、3か月・10か月・3年という期限は待ってくれない。だからこそ、ことばの意味を知り、早めに動くことが大切なのです。
名古屋のごとう司法書士事務所では、外国籍のお客様に、専門用語をかみくだいた分かりやすい説明を心がけています。窓口で言われたことばの意味が分からなかったら、その紙を持って、そのままご相談にいらしてください。ゆっくり、ていねいにご説明します。相続の書類集めから相続登記、遺言の作成、不動産の売却まで、司法書士兼宅地建物取引士がワンストップでお手伝いします。
▶外国籍の方の相続のご相談は、名古屋のごとう司法書士事務所(フリーダイヤル0120-290-939)へ。相続放棄、相続税、遺産分割など相続に役立つ情報満載の相続専門サイト「名古屋で相続相談・相続登記ならごとう相続手続き相談センター」もあわせてご覧ください。
※本記事は2026年10月時点の情報をもとに作成しています。法改正や運用の変更により取り扱いが変わる場合がありますので、実際のお手続きの際は、司法書士など専門家に最新の情報をご確認ください。