中国にいる家族の署名が必要になったら|相続の署名公証・声明書の集め方【名古屋のごとう司法書士事務所】

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中国にいる家族の署名はどう集める?相続の署名公証を名古屋の司法書士が解説

2026/10/04

「中国にいる兄の署名が、もらえない」|相続が止まる一番の理由と、その動かし方

日本の相続手続きは、相続人全員の署名がそろって初めて前に進みます。その相続人が中国にいるとき、何をどう頼めばいいのでしょうか。

名古屋市中区にあるごとう司法書士事務所では、随時無料相談を実施しています。

日本で暮らす中国籍の方やそのご家族から、こんなご相談をよく受けます。「父が名古屋で亡くなりました。相続人の中に、中国にいる兄がいます。銀行にも法務局にも『全員の実印と印鑑証明を』と言われましたが、中国に印鑑証明なんてありません。どうすればいいですか」。

そのとおりです。中国には、日本のような印鑑登録・印鑑証明の制度がありません。だからといって、中国にいる相続人を抜きにして手続きを進めることもできません。遺産分割協議は相続人全員の参加が絶対条件だからです。ここで多くのご家族の相続が、何か月も止まってしまいます。

でも、道はちゃんとあります。中国の公証処(日本の公証役場にあたる役所)で受ける「署名公証」と「声明書」という方法です。この記事では、中国がからむ相続を数多くお手伝いしてきた名古屋のごとう司法書士事務所が、中国在住の家族から署名を集める具体的な方法、書類の認証ルール、そして連絡が取れない親族がいる場合の対処まで、実務の経験をもとにやさしく解説します。

なぜ中国の家族の署名が必要なのか|遺産分割協議は「全員参加」が絶対ルール

一人でも欠けた遺産分割協議は無効。そして中国には印鑑証明がない。この二つが問題の正体です。

日本にある不動産や預金を相続人の名義にするには、相続人全員で遺産分割協議を行い、協議書に全員が署名・押印して、それぞれの印鑑証明書を付けるのが基本です。相続人が10人いれば10人全員。一人でも欠ければ、その協議は無効です。

中国籍の方が亡くなった場合、相続人には中国在住のご家族が含まれることがよくあります。亡くなった方の兄弟姉妹、前の婚姻のお子さん、高齢のご両親。日本側の家族が把握していなかった相続人が、戸籍ならぬ公証書の調査で判明することもあります。そして、その方々は日本に住民登録がないため、印鑑証明書が用意できません。

そもそも「相続人が誰か」を固める段階から、中国の書類が関わります。中国には日本式の戸籍謄本がないため、親族関係は公証処が発行する親族関係公証書などで証明します。この調査の過程で、日本側の家族が知らなかった前の婚姻のお子さんなどが判明し、署名を集める相手が増えることもあります。相続登記は2024年から義務化されており、3年の期限はこの調査と署名集めの間も進んでいきます。「誰の署名が必要か」の確定を急ぐことが、すべての出発点です。

ここで慌てて「署名だけもらえばいい」と自己流で進めると、ほぼ確実に差し戻されます。日本の法務局や銀行は、「その署名が本人のものだ」という公的な証明を求めるからです。その証明の役割を果たすのが、中国の公証制度です。

署名を証明する二つの方法|公証処の「署名公証」と「声明書」

方法は二つ。シンプルな「署名だけの公証」と、内容まで含めた「声明書」。ケースによって使い分けます。

中国在住の相続人の署名を証明する実務の方法は、大きく二つあります。

一つ目は、署名公証です。相続人本人が、居住地の公証処に出向き、公証員の面前で署名して、「この署名は本人のものに相違ない」という公証書を作ってもらう方法です。日本で作成した遺産分割協議書に署名してもらい、この公証書を印鑑証明書の代わりに添付します。手順がシンプルで、本人の負担も比較的軽いのが長所です。ただし、協議書の署名と公証書の署名の同一性を日本側で確認できることが前提になるため、書類の作り方に細かな配慮が必要です。

二つ目は、声明書(声明公証)です。遺産分割の内容そのもの、つまり「誰が何を相続することに同意する」という意思表示を、公証員の面前で宣明し、その内容ごと公証してもらう方法です。手間はかかりますが、署名の真正だけでなく意思の内容まで公証されるため、より確実です。相続人の数が多いケースや、後々の争いを避けたいケースでは、当事務所もこちらをおすすめしています。

なお、もし中国の相続人が日本へ来る機会があるなら、話は一気に簡単になります。来日中に日本の公証役場で署名認証を受ける方法が使えるからです。親族の結婚式や法事、観光での来日予定があるなら、そのタイミングに合わせて書類を準備しておく。こうした日程の工夫だけで、国際郵便の往復を丸ごと省けることがあります。

どちらの方法でも、公証書は中国語で作成されますから、日本語訳を付けて提出します。また、中国は2023年11月からアポスティーユ条約の締約国になり、公証書を日本の手続きで使う際の認証が以前より簡素になりました。もっとも、どの書類にどこまでの認証が必要かは提出先や事案によって異なります。ここは最新の運用を確認しながら進めるべきポイントです。

書類のやり取りでつまずかないために|認証・翻訳・国際郵便の実務

「もう一往復」が一か月の遅れになる世界。最初の設計で、往復は一回に抑えましょう。

方法が決まったら、次は段取りです。中国とのやり取りには、日本国内の相続にはない三つの壁があります。

第一に、逆方向の認証です。中国の公証処が声明書を作る際、日本側の書類、たとえば亡くなった方の死亡を証明する書類や財産の資料の提出を求めることがあります。この場合、日本の書類に日本側でアポスティーユを付けて中国へ送る、という逆方向の認証手続きが発生します。「日本の書類をそのまま送ったら、公証処で受け取ってもらえなかった」というつまずきは、実務で本当によくあります。

第二に、翻訳です。日本から送る協議書や案内文は、署名する本人が内容を正しく理解できるよう、中国語訳や説明文を添えるのが安全です。内容を理解しないままの署名は、公証の場で本人が戸惑って手続きが止まる原因になりますし、後日の紛争の種にもなります。

費用と時間の感覚もお伝えしておきます。公証処の手数料は公証の種類や地域によりますが、一通あたり数千円から一万円台が目安です。それより重いのは時間のコストで、方法の選定から書類の設計、公証の取得、返送までで、順調に進んでも一、二か月。協議の相手が複数の都市に分かれていれば、その分だけ延びます。相続全体のスケジュールは、この部分を軸に逆算して組むのが現実的です。

第三に、郵便です。国際郵便は片道数日から一週間、地方都市ならさらにかかります。書式の不備で作り直しになれば、一往復ごとに数週間から一か月が消えていきます。だからこそ、送る前の設計がすべてです。署名箇所に付せんを付け、手順書と返送用の宛先を同封し、必要書類を一覧にして一度で完結させる。地味な準備が、相続全体の期間を左右します。当事務所では、中国へ送る書類一式を「そのまま公証処に持ち込める形」に整えてお渡ししています。

連絡が取れない親族がいるとき|所在調査から不在者財産管理人まで

「兄とは30年、音信不通です」。それでも相続は進められます。段階を踏んだ打ち手があります。

さて、最大の難題が「中国の相続人と連絡が取れない」ケースです。住所が分からない、手紙を送っても返事がない、そもそも生きているのかも分からない。こうしたご相談も少なくありません。

ここで一つ、知っておいてほしい前提があります。「連絡が取れないから、いない人として進める」ことは絶対にできません。所在不明の相続人を除いた遺産分割協議は無効で、登記も預金の解約も通らないのです。面倒でも、順を追って「いる場所を探す」か「法律上の代理を立てる」かのどちらかを選ぶことになります。

まず試みるのは所在調査です。古い手紙や戸口簿(中国の住民登録簿)の写し、親族のネットワークを手掛かりに、現地の協力者や専門家を通じて調べていきます。中国には弁護士にあたる律師による調査の制度もありますが、実務の感覚では、調査の成否は現地の事情に通じた人の協力に負うところが大きく、時間も費用も読みにくいのが正直なところです。当事務所がお手伝いした例でも、現地の管理会社や近隣への聞き取りまで行って、ようやく所在が判明したケースがあります。

調査を尽くしても所在が分からない場合は、日本の家庭裁判所で不在者財産管理人を選んでもらい、その管理人が本人に代わって遺産分割に参加する方法があります。確実な最終手段ですが、申立てから遺産分割まで一年近くかかることもあり、費用の負担も生じます。

なお、協議がどうしてもまとまらない、あるいは相手が署名を拒むという場合には、日本の裁判所での調停・審判や判決による登記という道も残されています。ここまで来ると時間も費用も大きくなりますから、あくまで最後の選択肢です。大半のケースは、丁寧な説明と正しい書類の設計で、裁判の手前で解決できています。

だからこそ、最後にお伝えしたいのは予防です。日本で財産を築いた中国籍の方が公正証書遺言を一通作っておけば、中国の親族の署名集めも、所在調査も、そもそも必要なくなります。「自分の相続で、日本の家族に中国との橋渡しをさせない」。それが、この記事でご紹介したすべての苦労への、いちばんの答えです。

まとめ|中国との橋渡しまで含めて、相続のお手伝いをします

署名公証か、声明書か。認証と翻訳と郵便の設計。そして届かないときの次の一手。全部まとめて任せられます。

以上、中国にいるご家族の署名を集める方法を解説しました。

ポイントを振り返ります。中国に印鑑証明はなく、代わりに公証処の署名公証または声明書を使うこと。2023年からのアポスティーユで認証は簡素になったが、日本側書類の逆方向の認証や翻訳など、設計すべき点は多いこと。国際郵便の往復は一回で決める準備が期間を左右すること。連絡が取れない親族には、所在調査から不在者財産管理人までの段階的な打ち手があること。そして、遺言があればこのすべてを省略できることです。

国をまたぐ署名集めは、法律の知識だけでなく、相手のご家族への配慮と段取りの技術が問われる仕事です。遠く離れて暮らしてきた親族に、突然「署名してください」とだけ伝えれば、警戒されて当然です。なぜ必要なのか、何に署名するのか、誰が得をして誰も損をしないのか。それを相手の言葉で丁寧に伝えることまで含めて、私たちは「書類の設計」だと考えています。名古屋のごとう司法書士事務所は、中国がからむ相続について、相続人の調査から中国へ送る書類の設計、翻訳の手配、相続登記、不動産の売却まで、司法書士兼宅地建物取引士がワンストップでお手伝いしています。「中国の家族にどう切り出せばいいか」という相談の入口から、どうぞお気軽にお声がけください。

▶中国在住のご家族がいる相続のご相談は、名古屋のごとう司法書士事務所(フリーダイヤル0120-290-939)へ。相続放棄、相続税、遺産分割など相続に役立つ情報満載の相続専門サイト「名古屋で相続相談・相続登記ならごとう相続手続き相談センター」もあわせてご覧ください。


※本記事は2026年10月時点の情報をもとに作成しています。中国の公証実務や認証の取り扱いは地域・提出先によって異なる場合がありますので、実際のお手続きの際は、司法書士など専門家に最新の情報をご確認ください。

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