年内に相続登記を終えるには?外国籍の方が11月に始める逆算の手順を名古屋で解説
2026/11/06
はじめに|「来年でいいか」と思っている方へ。外国籍の相続登記は、11月が最後の始めどきです
年内に登記を終えるには、本国書類と海外の署名の往復日数を足すと、11月中旬までに動き出す必要があります。
韓国籍のお父様が今年の春に亡くなり、名古屋の実家はお父様の名義のまま。来年3月31日の期限までにやればいいと思っていたけれど、「固定資産税は1月1日の名義で決まる」と聞いて気になり始めた。兄はソウル、本国の書類は何をどこで取ればよいのか分からない――名古屋市中区のごとう司法書士事務所には、11月に入るとこうしたご相談が増えます。
結論から申し上げると、外国籍の方の相続登記を年内に終えるには、11月中旬までに動き出す必要があります。理由は三つあります。第一に、法務局は12月29日から1月3日まで休みで、年末は登記の完了に通常より日数がかかるため、申請は12月中旬までに出したいこと。第二に、外国籍の方の相続登記には本国の身分関係の書類とその翻訳、海外に住む相続人の認証付き署名が要り、取り寄せと国際郵便の往復だけで3〜6週間かかること。第三に、年明けに回すと、2027年2月6日の旧正月で中国・韓国・ベトナムの役所や公証処が一週間前後止まり、3月31日の相続登記の期限直前は法務局も司法書士も駆け込みで混み合うことです。つまり、外国籍のご家族にとって「年内」は、固定資産税の区切りであると同時に、期限前の最後の静かな時期でもあります。この記事では、名古屋市中区のごとう司法書士事務所が、なぜ年内が区切りになるのか、12月31日から逆算して何をいつまでにやるのか、今週できること、そして間に合わないときの応急処置を、順を追ってやさしくご説明します。
なぜ「年内」が区切りなのか|固定資産税の1月1日、法務局の年末休み、2月の旧正月、3月の駆け込み
固定資産税の負担者が1月1日に決まるうえ、年明けの手続きは本国の旧正月と期限前の混雑で、外国籍の方ほど進みにくくなります。
固定資産税は、毎年1月1日時点の登記簿上の所有者に1年分が課税されます(地方税法359条)。亡くなった方の名義のままなら、相続人全員が納税義務を負い、納税通知書は代表者に届きます。年内に相続登記が完了して新しい名義人になっていれば、翌年度(2027年4月から)の納税通知書はその人宛てに届き、「だれが払うのか」のあいまいさが消えます。これが日本人にも共通する「年内」の第一の理由です。
外国籍のご家族には、さらに三つの時間の壁があります。一つ目は法務局の年末年始です。法務局は12月29日から1月3日まで閉まり、12月後半は申請が集中して完了までの日数が通常より延びます。年内完了を目指すなら、申請は12月中旬までが目安です。二つ目は本国の旧正月です。2027年の旧正月は2月6日で、中国の春節、韓国の設(ソル)、ベトナムのテトが重なります。本国の役所、公証処、戸籍の担当部署はその前後一週間前後止まり、日本にある領事館も休館します。1月に「本国の書類を取り寄せよう」と動き出すと、ちょうど旧正月にぶつかり、書類が届くのは2月下旬になりがちです。三つ目は3月31日の期限です。2024年4月1日より前の相続についても、2027年3月31日までに相続登記を申請する義務があり、期限直前の2月と3月は法務局も司法書士事務所も駆け込みで混み合います。補正(書類の不備の直し)が一度入れば、期限内に終わらない可能性も出てきます。
まとめると、年内に終えれば、固定資産税の区切りを押さえられ、旧正月と駆け込みの時期を避けられ、万一書類に不備があっても年明けに直す余裕が残ります。外国籍の方の相続登記にとって、11月は「期限前の最後の静かな時期」なのです。
逆算カレンダー|12月中旬の申請から遡ると、本国書類の取り寄せは11月中旬が出発点です
12月31日の完了から逆算すると、申請12月中旬、協議書の署名12月上旬、海外への発送11月中旬、本国書類の請求11月上旬です。
12月31日に名義が変わっているためには、次の順番で逆算します。12月下旬に登記完了(名古屋法務局の完了までの目安はおおむね1〜2週間ですが、年末は長めに見ます)。そのためには12月中旬までに申請。申請には、相続人全員が署名した遺産分割協議書(法定相続分どおりの登記や遺言がある場合は不要)、本国の身分関係の書類と翻訳、相続人の住民票、固定資産評価証明書がそろっている必要があります。協議書の署名を12月上旬までに終えるには、海外にいる相続人へ協議書を11月中旬に発送し、現地で認証を受けて返送してもらいます(国際郵便の往復で2〜3週間、認証の予約待ちを含めるとさらに1週間)。協議書を作るには、その前に相続人が確定していなければならず、本国の書類と翻訳が11月中に手元に要ります。本国書類の請求は、早い国でも数日、遅い国では3〜4週間かかりますので、11月上旬から中旬が出発点です。
これを一枚にすると、11月上旬から中旬=本国書類の請求と登記簿・相続人の確認、11月中旬=協議書の案を作り海外へ発送、11月下旬から12月上旬=本国書類の翻訳と評価証明書・住民票の取得、12月上旬=協議書の署名が全員分そろう、12月中旬=名古屋法務局へ申請(国籍の申出を含む)、12月下旬=完了、となります。相続人が日本国内だけで、本国書類が領事館で早く取れるご家庭なら、12月に入ってからでも間に合うことがあります。逆に、相続人が複数の国に散らばり、本国書類に時間がかかる国の方は、11月中旬が実質の締切です。
本国書類と翻訳の日数|韓国は領事館で早く、中国・フィリピン・ベトナムは数週間。国ごとの時間の違い
本国書類の取り寄せにかかる日数は国で大きく違い、年内に間に合うかどうかは、この日数でほぼ決まります。
相続登記では、亡くなった方の出生から死亡までの身分関係と相続人の範囲を本国の書類で証明します。日本の戸籍に代わるこの書類が、外国籍の方の相続登記でいちばん時間のかかる部分です。
韓国籍の方は、家族関係証明書・基本証明書・婚姻関係証明書などを、日本にある韓国の領事館(名古屋には駐名古屋大韓民国総領事館があります)で請求でき、本人や家族が窓口に行けば比較的早く取れます。ただし、1990年代以前の記録は旧戸籍の除籍謄本が必要になることがあり、韓国本国から取り寄せると数週間かかります。中国籍の方は、親族関係を証明する公証書を中国の公証処で作成してもらい、必要に応じて認証を受けて日本へ送るため、本国の家族に頼んでも3〜4週間、年末や春節の前後はさらに延びます。フィリピン籍の方は、PSA(フィリピン統計庁)発行の出生・婚姻・死亡の証明書をオンラインや本国の家族経由で取り寄せ、2〜4週間が目安です。ベトナム籍の方は、戸籍に当たる書類の整備状況によって本国の役所での発行に時間がかかり、認証を含めると1か月を見ておきます(ベトナム籍の方の相続の記事もご覧ください)。
書類が届いたら日本語訳を付けます。翻訳は資格のある翻訳者でなくてもよく、翻訳者の氏名を記して添付しますが、氏名の表記(漢字・ローマ字・カタカナ)が登記簿や住民票と食い違うと補正の原因になるため、当事務所では登記簿の表記に合わせて確認します。「本国書類が取れない」「届出漏れがある」という場合は、代わりの書類や上申書で進める道もありますが、年内に間に合わせるなら、その判断も11月中に要ります(相続書類が集められないときの記事をご覧ください)。
海外にいる相続人の署名|協議書を先に作り、認証と国際郵便の往復を11月中に済ませる
海外の相続人には、協議書の案と本国語の参考訳を11月中旬までに送り、現地の公証人か日本の在外公館で認証した署名を12月上旬までに返送してもらいます。
相続人の一人が海外に住んでいる場合、その人は日本の印鑑証明書が取れません。遺産分割協議書への署名は、現地の公証人か、現地にある日本の大使館・領事館で署名証明(サイン証明)を受け、国際郵便で日本へ送ります(海外の相続人の署名の記事をご覧ください)。この往復が、年内の計画でいちばん読みにくい部分です。
流れは、①相続人が確定した段階で協議書の案と本国語の参考訳を作る、②PDFで内容を先に確認してもらい、質問に答える、③原本を国際郵便(EMSなど追跡できる方法)で送る、④本人が公証人か在外公館で認証を受ける、⑤認証付きの原本を日本へ返送する、の順です。③と⑤の郵便はそれぞれ1週間前後、④の在外公館は予約制のところが多く、年末年始(12月29日から1月3日)と現地の祝日は休館します。11月中旬に発送すれば12月上旬に戻る計算ですが、一度でも「内容に納得できない」「氏名の綴りが違う」で差し戻しになると、年内は難しくなります。だからこそ②の事前確認を丁寧に行い、参考訳を付け、署名の欄に本人の氏名を本国の綴りと日本語の両方で用意しておきます。
海外の相続人が家を取得しない場合は、その人が相続分を譲渡する、または相続放棄する方法で、署名を集める相手を減らすこともできます。いずれにしても、海外の相続人がいる相続登記は、11月中旬の発送が年内の分かれ目です。
今週できる五つのこと|登記簿の確認、相続人の一覧、評価証明書、住所のつながり、現所有者の申告
今週やるべきことは書類の請求より前にあります。登記簿、相続人の一覧、評価証明書、住所の確認、固定資産税の申告の五つです。
第一に、登記事項証明書を取って名義と住所を確認します。名義が亡くなった父ではなく祖父のままだった、抵当権が残っていた、登記簿の住所が最後の住所と違う、という発見は珍しくなく、どれも手続きが一つ増えます(住所がつながらないときの記事をご覧ください)。第二に、相続人の一覧表です。相続人それぞれの国籍、住んでいる国、連絡先、署名の方法(日本の印鑑証明か海外の認証か)を一枚にします。相続人がだれかは亡くなった方の本国法で決まりますので、本国法で相続人になる人を漏らさないよう、司法書士と確認します。第三に、固定資産評価証明書を市税事務所で取ります。登録免許税の計算に要り、年度内(2027年3月まで)のものが使えます。第四に、相続人の住民票(外国籍の方は国籍の記載のあるもの)です。2026年10月5日から始まった国籍の申出に使え、住所と国籍を一通で証明できます(国籍の申出の記事をご覧ください)。第五に、名古屋市の固定資産税の「現所有者の申告」です。相続登記をしていない間、家を現に所有することになったと知った日の翌日から3か月以内に市税事務所へ申告する制度で、しなかった場合は10万円以下の過料の対象になります。年内に相続登記を終えれば申告は不要ですが、間に合わない可能性があるなら、先に申告しておきます。
この五つは、本国書類が届くのを待たずに進められます。本国書類の請求と並行して今週中に済ませておけば、書類が届いた日から協議書と申請に一直線で進めます。
間に合わないときの応急処置|相続人申告登記、法定相続分の登記、現所有者の申告で義務と税金を整える
年内に協議がまとまらなくても、義務と固定資産税の整理は先に済ませられます。応急処置の三つと、それぞれの限界を知っておきます。
逆算してみて「年内は無理」と分かったら、あきらめるのではなく、義務と税金の整理だけを先に済ませます。方法は三つです。第一に、相続人申告登記です。自分が相続人であることを法務局に申し出る手続きで、相続登記の義務(3年以内、昔の相続は2027年3月31日まで)を果たしたことになります。本国書類は、亡くなった方との親子関係を示す最小限のもので足り、他の相続人の署名は要りません。ただし、名義は亡くなった方のままで、固定資産税の負担者は変わらず、売却もできません(期限の応急処置の記事をご覧ください)。第二に、法定相続分どおりの相続登記です。相続人の一人からでも申請でき、名義は相続人全員の共有になります。固定資産税は共有者全員の連帯責任になり、将来売るときは全員の署名が要りますが、1月1日の名義を「相続人」に変えることはできます。第三に、先ほどの現所有者の申告です。登記をしない間の固定資産税の納税者を市に届け出ておくことで、過料を避け、納税通知書の宛先を整えます。
三つの応急処置に共通するのは、「年明けに本来の相続登記(遺産分割協議にもとづく登記)をする」前提だということです。旧正月(2027年2月6日前後)と3月の駆け込みを考えると、年明けの本登記は1月中の申請を目標にし、本国書類の請求だけは年内に出しておきます。
当事務所は司法書士と宅地建物取引士を兼ねていますので、相続人の一覧表づくり、本国書類の請求先の案内と翻訳の確認、協議書と本国語の参考訳、海外の相続人の認証の段取り、相続登記と国籍の申出、間に合わない場合の応急処置、その後の売却まで、ひとつの窓口でお手伝いします。11月のご相談は、年内の見込みをその場で判定し、逆算カレンダーをお渡しするところから始めます。
よくある質問|年内の相続登記で多いご質問
年内に間に合う目安、固定資産税の扱い、海外の相続人がいる場合、間に合わないときについて短くお答えします。
Q. 今から始めて、年内に相続登記は終わりますか?
相続人が日本国内だけで、本国書類が領事館で早く取れる(韓国籍など)なら、12月初めまでの着手でも間に合うことが多いです。相続人が海外にいる、または中国・フィリピン・ベトナムなど本国書類に数週間かかる国の方は、11月中旬の着手が目安です。まず登記簿と相続人の一覧から見込みを判定します。
Q. 年内に登記が終わると、固定資産税はどう変わりますか?
固定資産税は1月1日の登記簿上の所有者に課税されます。年内に新しい名義人になっていれば、翌年度(2027年4月から)の納税通知書はその人に届きます。間に合わない場合は、名古屋市の現所有者の申告(3か月以内)で納税者を届け出ておきます。
Q. 兄が韓国にいます。来日しないと年内は無理ですか?
来日は不要です。協議書の案と参考訳を11月中旬までに送り、現地の公証人か日本の在外公館で認証を受けて返送してもらえば、12月上旬に戻ります。往復の郵便と認証の予約、在外公館の年末年始の休館を見込み、内容の確認はPDFで先に済ませておくのがコツです。
Q. 年内に間に合わなければ、来年3月31日までにやればよいですか?
期限はそのとおりですが、2027年2月6日前後の旧正月で本国の役所と領事館が止まり、3月は駆け込みで法務局が混みます。間に合わない場合は、年内に相続人申告登記か法定相続分の登記と現所有者の申告で義務と税金を整え、本国書類の請求だけは年内に出し、本登記は1月中の申請を目標にします。
まとめ|今週始めれば年内に終わります。始めなければ、2月と3月の壁が待っています
本国書類の請求は11月上旬、海外への発送は11月中旬、申請は12月中旬。今週の五つのことから始めます。
外国籍の方の相続登記を年内に終える意味は、固定資産税の1月1日の区切りだけではありません。法務局の年末休み、2027年2月6日の旧正月で止まる本国の役所と領事館、3月31日の期限前の駆け込みを避け、書類の不備を直す余裕を残すためでもあります。逆算すると、12月中旬の申請、12月上旬の協議書の署名完了、11月中旬の海外への発送、11月上旬から中旬の本国書類の請求が目安で、本国書類にかかる日数(韓国は領事館で早く、中国・フィリピン・ベトナムは数週間)が年内の可否をほぼ決めます。今週できるのは、登記簿の確認、相続人の一覧表、固定資産評価証明書、国籍記載の住民票、名古屋市の現所有者の申告の五つで、本国書類を待たずに進められます。間に合わないときは、相続人申告登記か法定相続分の登記と現所有者の申告で義務と税金を整え、本登記は1月中の申請を目標にします。
名古屋のごとう司法書士事務所は、外国籍の方の年内の相続登記について、見込みの判定と逆算カレンダーの作成、本国書類の請求先の案内と翻訳の確認、協議書と本国語の参考訳、海外の相続人の認証の段取り、相続登記と国籍の申出、間に合わない場合の応急処置、その後の売却まで、司法書士兼宅建士としてひとつの窓口でお手伝いしています。「来年でいいと思っていたが、年内にできるなら終わらせたい」という段階からのご相談で大丈夫です。固定資産税の納税通知書(または登記事項証明書)と、相続人それぞれの国籍・住まい・連絡の可否が分かるメモをお持ちいただければ、年内に間に合うかどうかと、今週やることをその場でお示しします。
ごとう司法書士事務所は、外国籍の方の相続手続きと相続した不動産の売却をひとつの窓口でお手伝いしている、名古屋市中区の司法書士・宅地建物取引士の事務所です(代表:後藤勝良)。所在地は名古屋市中区丸の内三丁目15番3号TCF丸の内ビル6階。地下鉄「久屋大通駅」(桜通線側1番出口)から徒歩5分、「丸の内駅」(桜通線側4番出口)から徒歩6分です。受付は平日9時から19時まで、土日祝日も事前のご予約でご相談いただけます。ご相談は基本無料です。
▶年内の相続登記のご相談は、名古屋のごとう司法書士事務所へ。フリーダイヤル0120-290-939、またはごとう相続手続き相談センターからお気軽にお問い合わせください。
※本記事は2026年11月時点の法令・制度に基づいて作成しています。登記の完了までの日数、本国書類の発行日数、在外公館や本国の役所の休業日、固定資産税の取扱いは法務局・各国の機関・市の運用や個別の事情によって異なりますので、実際のお手続きの際は専門家にご確認ください。

