名古屋で相続登記と資産運用を考える|相続した不動産を「次に活かす」ための第一歩
2026/06/04
まずはじめに
1 なぜ相続登記が「資産運用の第一歩」になるのですか?
結論からお伝えすると、相続登記は資産運用のスタートラインだからです。名義が亡くなった方(被相続人)のままでは、その不動産を貸すことも、売ることも、担保に入れることも原則としてできません。つまり、相続した不動産を「動かせる資産」にするための最初の手続きが、相続登記なのです。
ここで前提として押さえておきたいのが、相続登記の申請が2024年(令和6年)4月1日から義務になったことです。それ以前は「いつかやればよい」とされ、何十年も名義をそのままにしているご家庭も珍しくありませんでした。しかし現在は、不動産を相続したことを知った日から原則3年以内に登記を申請しなければなりません。注意したいのは、この義務が過去の相続にもさかのぼって適用される点です。2024年4月1日より前に発生した相続については、2027年(令和9年)3月31日までが一つの期限とされています。「祖父名義のまま残っている名古屋の土地」のようなケースも対象になります。
正当な理由なく期限内に申請しないと、10万円以下の過料の対象となることがあります。過料は前科のつく刑事罰(罰金)とは異なる行政上のペナルティです。期限を過ぎたら自動的に科されるわけではなく、登記官からの催告を受けてもなお申請しない場合に、裁判所の判断で科されるという流れになっています。
さらに、もう一つ新しい動きがあります。2026年(令和8年)4月1日からは、所有者の住所や氏名が変わったときの変更登記も義務になりました。住所や氏名が変わった日から2年以内に登記をする必要があり、こちらは5万円以下の過料が定められています。相続した不動産を長く持ち続ける場合は、登記の名義を正しく保ち続けることも、資産を守るうえで欠かせない時代になったといえます。
資産運用というと、株式や投資信託を思い浮かべる方が多いかもしれません。けれども、ご自宅や実家といった不動産も、立派なご資産です。そして、その資産をどう活かすかを考える前に、まず「自分の名義にして、いつでも動かせる状態にしておく」こと。これが相続登記であり、すべての出発点になります。
2 相続した不動産は「持つ・貸す・売る」のどれがよいのですか?
結論として、唯一の正解はありません。その不動産の立地や状態、ご家族の事情、そして「これから不動産の価値がどう変わっていくか」を重ね合わせて、ご家庭ごとに判断することになります。大きく分けると、選択肢は「持ち続ける(住む・空き家のまま保有する)」「貸す」「売る」の三つです。
まず「持ち続ける」場合です。ご自身やご家族が住むのであれば、住まいとしての価値がそのまま活きます。一方で、誰も住まない空き家のまま保有する場合は、固定資産税や管理の手間、傷みによる価値の低下といったコストが、静かに続いていく点に注意が必要です。
次に「貸す」場合です。賃貸に出せば家賃収入が見込めますが、借り手がつくかどうかは立地に大きく左右されます。修繕やリフォームの費用、入居者とのやり取りといった、貸主としての負担も生じます。
そして「売る」場合です。売却すれば、不動産を現金という分けやすく管理しやすい資産に変えられます。相続人が複数いて分け方に悩んでいるときや、遠方に住んでいて管理が難しいときには、現実的な選択肢になります。
この判断をするうえで、いまの不動産を取り巻く大きな流れも知っておいていただきたいところです。日本全体では、若い世代の人口が減り、住まいを必要とする人そのものが少しずつ減っていくと見られています。あわせて、団塊の世代の相続が増えることで空き家が増え、売りに出される不動産も増えていくという見方があります。需要が細り、供給が増えれば、価格が下がりやすくなる地域が出てくるのは自然な流れです。
ただし、価格の動きは一律ではありません。国内外の投資家が買う「投資用」の価格と、実際に住むために買う「実需用」の価格は、別の力で動いています。世界的なインフレや建築資材の高騰で新築の価格が上がり、ふつうの方が家を買いにくくなっている一方で、地方を中心に資産価値を保ちにくいエリアも今後増えていくと見られています。「不動産だから値上がりする」とも「人口が減るから値下がりする」とも、単純には言い切れないのが実際のところです。だからこそ、相続した不動産が「どちらのタイプの、どのエリアの資産なのか」を見極めることが、持つ・貸す・売るの判断につながります。
3 名古屋の不動産には、どんな特性がありますか?
結論として、名古屋は地域差を意識して考えるべきエリアです。同じ名古屋市内でも、都心に近く需要の高い場所と、郊外で空き家になりやすい場所とでは、不動産の置かれた状況がかなり異なります。
名古屋の中心部、とくに名駅エリアを抱える中村区や、中区・東区といった都心の区は、比較的堅調に推移してきました。リニア中央新幹線の開業を見据えた名古屋駅周辺の再開発が、地価を下支えしている面もあります。もっとも、リニアの開業時期そのものは工事の進み具合に左右される部分があり、現時点で確定的なスケジュールが示されているわけではありません。「リニアが来るから必ず上がる」という前提だけで判断するのは、慎重に考えたいところです。
一方で、名古屋市の外縁部や周辺の市町に目を向けると、上昇の勢いがゆるやかになっている地域や、空き家が増えている地域も見られます。名古屋の方には、住まいに対して堅実で、長く住み続けることを大切にされる気質があるとよく言われます。だからこそ、親世代が長く暮らした実家を相続したとき、「思い出のある家をどうするか」で立ち止まる方が多いのも、名古屋ならではかもしれません。
相続したご実家が、都心に近い需要のあるエリアなのか、それとも今後の見通しに注意が必要なエリアなのか。この見極めによって、急いで動いたほうがよい場合もあれば、じっくり考えてよい場合もあります。地域の事情を踏まえて判断することが、名古屋で相続した不動産を活かすうえでの第一歩になります。
4 登記のあとに知っておきたい、お金と税金の話
結論として、相続した不動産を「持つ・貸す・売る」のどれを選ぶにしても、お金と税金の見通しを早めに立てておくことが大切です。ここでは一般的な考え方をお伝えします。具体的な税額の計算は個別の事情で大きく変わりますので、実際のご判断にあたっては税理士など専門家にご確認ください。
まず、相続登記そのものにかかる費用です。中心となるのは登録免許税で、相続による名義変更では原則として不動産の固定資産評価額の0.4%です。このほかに戸籍の取得費用などがかかり、司法書士に依頼する場合はその報酬が加わります。
売却を考える場合に知っておきたいのが、相続した空き家を売るときの税金の特例です。一定の要件を満たす空き家を売却したときに、譲渡所得(売って得た利益)から最大3,000万円を差し引ける特別控除という制度があります。この特例は適用できる期間が定められており、現在は2027年(令和9年)12月31日までの売却が対象とされています。ただし、建物が建てられた時期や、被相続人が亡くなる直前まで住んでいたことなど、満たすべき条件が細かく決められています。ご自身のケースで使えるかどうかは、必ず事前に確認しておきたいところです。
生前の対策として贈与を考えている方も増えています。ここでも近年、制度が変わりました。亡くなる前の一定期間内に行われた贈与は相続財産に加えて相続税を計算しますが、この期間が、これまでの3年から段階的に7年へと延長されています。一方で、相続時精算課税という制度には、年110万円までの基礎控除が新たに設けられました。どちらが有利かはご家庭ごとに異なり、税理士の領域に関わる判断になりますので、断定はせず、一般的な傾向としてお伝えするにとどめます。
こうしてみると、相続した不動産は、登記・売買・税務という複数の分野がからみ合っていることが分かります。窓口がばらばらだと、「登記は終わったけれど売却で別の専門家を探すことになった」「税金の見通しが立たないまま手続きだけ進んでしまった」ということも起こりがちです。相続と資産の問題は、できるだけ一つの窓口で、全体を見渡しながら進めるのが安心です。
こんなケースもあります
たとえば、次のような場面を考えてみます。名古屋市内のご実家を相続された60代の女性が、当面は誰も住む予定がなく、「とりあえず空き家のまま持っておこう」と考えていたとします。ところが数年が過ぎるうちに、固定資産税や管理の負担が思いのほか重く、建物の傷みも進んでしまいました。いざ売ろうとした時には、空き家の特別控除が使える期間や建物の状態の面で、選べる選択肢が狭まっていた——。
このような場面では、相続登記を済ませた段階で「持ち続けた場合」「貸した場合」「売った場合」のそれぞれの見通しを並べて検討しておくと、後悔の少ない判断につながります。早い段階で全体像を整理しておくことが、結果的にご資産を守ることになるのです。
5 相続登記から資産の活かし方まで、一つの窓口で
相続した不動産を「次にどう活かすか」を考えるとき、登記・売買・税務がからみ合うからこそ、これらを一貫して相談できる相手がいると心強いものです。
ごとう司法書士事務所(名古屋市中区丸の内)は、司法書士と宅地建物取引士の両方の立場から、相続登記から相続した不動産の売却、その後の資産の活かし方までを一貫してご相談いただける事務所です。登記の専門家であると同時に、不動産取引の専門家でもあるため、「名義を変える」ところで終わらず、「その資産をどう活かすか」まで見据えたご提案ができます。相続や資産に関するプライベートなご相談として、お一人おひとりの状況をうかがいながら進めてまいります。
ご家族の事情やお住まいの状況は、一軒ごとに異なります。だからこそ当事務所では、画一的なご案内ではなく、お客様ごとにオーダーメイドのご提案を心がけています。ご依頼後は一人の司法書士が最後まで担当し、費用についても事前に明瞭にお伝えします。ご相談は無料です。
6 よくある質問
Q. 相続登記をしないまま、不動産を売ることはできますか? 原則としてできません。亡くなった方の名義のままでは、不動産を売却できないのが基本です。相続人へ名義を変更する相続登記を済ませてから、売却に進むことになります。売却を急ぐ場合は、登記と売買を一緒に相談できる専門家へ早めにご連絡いただくとスムーズです。
Q. 当面は売る予定がないのですが、それでも相続登記は必要ですか? はい。売る・貸すといった予定がなくても、相続登記の申請は義務です。不動産を相続したことを知った日から原則3年以内に申請する必要があり、2024年4月1日より前の相続は2027年3月31日までが一つの期限とされています。将来どう活かすにせよ、まず名義を整えておくことが大切です。
Q. 相続した空き家を売れば、必ず3,000万円の特別控除が使えますか? 必ず使えるわけではありません。建物が建てられた時期や、被相続人が亡くなる直前まで住んでいたことなど、満たすべき要件が細かく定められています。適用できる期間にも限りがあります。ご自身のケースで使えるかどうかは、売却を決める前に確認しておくことをおすすめします。
Q. 相続登記と不動産の売却を、別々の専門家に頼む必要がありますか? 必ずしも分ける必要はありません。司法書士と宅地建物取引士の両方を兼ねる専門家であれば、登記から売却までを一つの窓口で進められます。窓口がまとまることで、話の行き違いが減り、全体の見通しも立てやすくなります。
まとめ
相続した不動産は、相続登記を終えて完結するものではなく、「そこからどう活かすか」までを含めて考えることで、はじめてご資産として生きてきます。相続登記は、その出発点です。2024年の義務化、そして2026年4月から始まった住所変更登記の義務化により、名義を正しく整え、保ち続けることの大切さは、これまで以上に増しています。
そのうえで、相続した名古屋の不動産を「持つ・貸す・売る」のどれにするかは、立地や状態、ご家族の事情、そして不動産を取り巻く大きな流れを重ね合わせて判断することになります。登記・売買・税務がからみ合うテーマだからこそ、全体を見渡せる専門家とともに考えることが、後悔の少ない選択につながります。
ご自身のケースで迷われたときは、まずはお気軽にご相談ください。状況をうかがったうえで、登記からその先の資産の活かし方まで、最適な進め方を一緒に考えます。ご相談は無料です。
※本記事は2026年6月時点の情報に基づいています。法令や制度は改正される場合があり、税務の取り扱いは個別の事情によって異なります。具体的なご判断にあたっては、最新の情報をご確認のうえ、専門家にご相談ください。