名古屋で韓国籍の方の相続|2026年「外国人と不動産」のルール転換で相続登記・売却はどう変わる?司法書士が解説
2026/07/13
「外国人の不動産」のニュースが続く今――韓国籍のご家族の相続は、これからどうなるのでしょう
このところ、テレビや新聞で「外国人の土地取得」「不動産購入のルール見直し」といったニュースを目にする機会が、ぐっと増えたと感じませんか。2026年1月には、政府が「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」という大きな方針を打ち出し、不動産の登記のときに国籍の情報を提供してもらう仕組みづくりなどが、実際に動き始めています。
こうした報道を見て、「うちは父が韓国籍のまま亡くなっている。実家の登記や売却が、これからやりにくくなるのでは」「在日韓国人の家族は、何か不利になるのだろうか」と、漠然とした不安を抱えて相談に来られる方が、名古屋でも少しずつ増えてきました。先に結論をお伝えすると、韓国籍の方やそのご家族が、相続で不動産を受け継げなくなったり、売れなくなったりするわけではありません。ただ、手続きの場面で求められることが少し増え、そして何より「後回しにしたときのリスク」が、これまでより見えやすい時代になったのは確かです。
このコラムでは、名古屋・中区で相続と不動産を専門にお手伝いしているごとう司法書士事務所が、2026年のルール転換が韓国籍のご家族の相続にどう関わるのかを、できるだけやさしい言葉でご説明します。ニュースの言葉に振り回されず、落ち着いて全体を眺めていただけるよう、順を追ってお話ししますね。
1.2026年1月の「総合的対応策」で、何がどう変わるのですか
―― 登記のときの「国籍情報」、土地取得の届出、そして帰化・永住の審査
まず、ニュースの中身を整理しておきましょう。
2026年1月23日、政府の関係閣僚会議で「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」が決定されました。外国人の方の受け入れと共生をめぐる幅広い施策をまとめたもので、その中に、不動産に関わる項目がいくつか含まれています。
ひとつめは、不動産の登記に関するものです。個人が売買や相続などで不動産を取得して移転の登記をするとき、国籍の情報を提供してもらう仕組みが設けられる方向で、2026年度中の運用開始が予定されています。ここで安心していただきたいのは、この国籍情報は法務局の内部で管理されるもので、誰でも見られる登記簿そのものに国籍が書かれるわけではない、とされている点です。また、これは日本国籍の方も含めた「所有者の実態を正確に把握するため」の仕組みであって、外国籍の方の取得を禁止したり制限したりするものではありません。
ふたつめは、一定の規模以上の土地を取得したときの届出に、国籍の情報を加えていくという、国土利用計画法の枠組みを使った取り組みです。こちらも「把握」のための制度であり、取引そのものを止めるものではありません。なお、外国人の方によるマンションなどの取得を直接規制することについては、政府・与党は当面踏み込まない方針と報じられています。
みっつめは、不動産から少し離れますが、帰化や永住の審査です。総合的対応策には、帰化の審査について「永住許可との整合性も勘案した厳格化を検討する」という趣旨が盛り込まれ、実際に2026年に入ってから、申請の際に求められる書類が細かくなったといった実務の変化も伝えられています。これらの運用は今まさに動いている途中ですので、細部は今後変わる可能性があり、確実とは言い切れないことをご了承ください。ただ、大きな流れとして「外国人と不動産・国籍をめぐる制度が、把握と管理の方向へ動いている」ことは、押さえておいて損はないと思います。
2.韓国籍のご家族の相続登記は、実際のところ何が変わりますか
―― 手続きの中身は変わらず、「先延ばしのリスク」だけが大きくなっています
では、韓国籍のお父さま・お母さまが遺された名古屋の不動産の相続登記は、具体的にどう変わるのでしょうか。
実は、相続登記の中身そのものは、これまでと変わりません。亡くなった方が韓国籍であれば、相続の中身は原則として韓国の法律に従い、韓国の除籍謄本や家族関係登録の各証明書を取り寄せ、日本語の翻訳文を添えて、相続人を確定してから登記を申請する――この流れは同じです。今後は、登記の際に国籍情報の提供という手順がひとつ加わる見込みですが、これは書類を一枚多く出すイメージに近く、身構えるほどのものではありません。
むしろ、私が名古屋のご家族にお伝えしたいのは、「先延ばしのリスク」のほうです。2024年4月から相続登記は義務化されており、不動産を相続したと知った日から原則3年以内に登記をしないと、正当な理由なく怠った場合、10万円以下の過料の対象になり得ます。見落とされがちなのですが、義務化より前に発生した昔の相続も対象で、こちらの期限は原則2027年3月31日。この記事を書いている2026年7月から数えると、もう1年を切る目前です。「祖父の代から名義がそのまま」という土地をお持ちのご家庭は、名古屋でも本当に多くいらっしゃいます。
そして、韓国籍がからむ相続は、書類集めにどうしても時間がかかります。韓国名や登録基準地(日本でいう本籍地にあたるもの)が分からず、閉鎖された外国人登録原票の開示請求から手がかりを探す、というところから始まるケースも珍しくありません。取り寄せと翻訳で数か月かかることもありますから、期限から逆算すると、実は今年の夏から秋が、動き始めるのにちょうどよいタイミングなのです。どうしても遺産分割の話し合いがまとまらない場合には、ひとまず「相続人申告登記」という簡易な申出で義務を果たしておく方法もありますので、「間に合わないかもしれない」と一人で焦る必要はありません。
3.名古屋の不動産と、これからの世代交代――「把握される時代」の備え方
―― 名義をきれいにしておくことが、ご家族への何よりの贈り物になります
最後に、少し先を見据えたお話をさせてください。
日本で暮らす在日韓国人の方々は、いま大きな世代交代の時期を迎えています。特別永住者の方は年々減り続けて、いまはおおむね26万人台とされ、日本へ帰化される韓国・朝鮮籍の方も毎年おおよそ二千人台で続いています(統計は年により増減がありますので、正確な数字は法務省の公表資料でご確認いただくのが安心です)。「親の世代は韓国籍のまま、子の世代は帰化して日本国籍」というご家庭は、名古屋でもこれからますます一般的になっていくでしょう。帰化の審査が厳格化の方向にある今、「いずれ帰化するから、相続の名義もそのときまとめて」と考えていた方ほど、帰化と相続を切り分けて、登記は登記で先に済ませておくことをおすすめします。
不動産の側から見ても、名義をきれいにしておく意味は増しています。名古屋では中区や東区など都心部の物件には底堅い需要がある一方、全国的には若い世代の人口減少と、団塊の世代の高齢化にともなう空き家の増加で、これからはエリアによって資産価値の差がいっそう開いていくと見られています。世界的なインフレと建築資材の高騰で新築価格が上がり、投資家向けに動く価格と、実際にお住まいになる方の実需の価格が別々に動く傾向も強まりました。郊外や地方を中心に、資産価値を保ちにくいエリアが出てくることも予想されます。所有者の情報が正確に「把握される時代」に、名義が亡くなった方のまま何十年も残っている不動産は、売り時を逃しやすく、ご家族の負担のもとにもなりかねません。
ここで、最近のご相談をひとつ、人物が分からない形でご紹介します。昭和区にお住まいの50代の男性は、「外国人の不動産のニュースを見て、韓国籍のまま亡くなった父名義の実家が、売れなくなる前に手を打ちたい」と、少し思いつめた様子で来られました。お話を伺い、まず「規制で売れなくなるわけではない」ことをご説明して安心していただいたうえで、韓国の除籍謄本と家族関係の証明書を取り寄せて翻訳し、お母さまと妹さんとの遺産分割協議をととのえて相続登記を完了。そのまま宅地建物取引士として売却の段取りに入り、実家は住まいを探しておられた若いご夫婦へと引き継がれました。「ニュースで不安になっていたけれど、順番に片づければよいだけだと分かって、気持ちが軽くなった」とおっしゃっていただけたのが、印象に残っています。
当事務所は司法書士であると同時に宅地建物取引士でもありますので、韓国の書類集めから相続登記、そして売却まで、窓口をひとつにしてお手伝いできます。法律・登記・税務・売買取引をまたいで全体を見渡しながら、そのご家庭に合わせた進め方を一緒に考えるのが、私たちの仕事です。
ルールが変わる年は、「不安になる年」ではなく「動くのにいちばんよい年」です
まとめ
2026年の「外国人と不動産」をめぐる制度の動きは、韓国籍のご家族から相続の道を閉ざすものではありません。登記のときに国籍情報の提供が加わるなど「把握」の仕組みが整っていく一方で、相続登記の義務化の期限――昔の相続分は原則2027年3月31日――は、着実に近づいています。韓国の書類集めには時間がかかりますから、ニュースを見て不安になった今こそ、実は動き始めるのにいちばんよいタイミングです。
ごとう司法書士事務所では、ご家庭の事情をひとつひとつ丁寧にお伺いし、画一的な対応ではなく、その方に合わせたオーダーメイドの進め方をご提案しています。費用はご依頼の前に分かりやすくご説明する明瞭会計です。司法書士であり宅地建物取引士でもある専門家として、相続登記から不動産の売却、その先の資産のことまで、プライベートな相談相手として寄り添ってまいります。
名古屋・中区で、韓国籍のお父さま・お母さまの相続や、名義がそのままになっている不動産のことが気になったら、どうぞお一人で抱え込まずに、まずはお気軽にお声がけください。ご相談は何度でも無料で承っております。
※本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」に基づく不動産登記時の国籍情報の提供や土地取得の届出制度は、施行時期や運用の細部が今後変わる可能性があります。帰化・永住の審査運用、特別永住者数や帰化許可者数の統計、相続登記義務化・過料の取扱いについても、改正や運用の変更があり得ますので、手続きの際は専門家や各窓口で最新の情報をご確認ください。