【個人間の不動産売買で専門家が考えること】名古屋のごとう司法書士事務所

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【個人間の不動産売買で専門家が考えること】名古屋のごとう司法書士事務所

2025/02/02

まずはじめに

不動産の売買は、多くの方にとって一生に一度の大きな取引です。特に自宅や家族の資産として大切にしてきた不動産を売却する場合や、新たに生活の拠点を構えるために購入する場合、その重要性はさらに高まります。不動産取引は高額な資金が動くため、慎重な対応が求められますが、個人間での不動産売買は、不動産会社を介さないことで仲介手数料を抑えられる一方、契約内容や手続きに関する知識や経験が不足していると、思わぬトラブルに発展するリスクも少なくありません。

個人間取引では、売主と買主が直接交渉を行い、価格や条件を決定します。この過程で、法的な手続きや必要な書類の準備が不十分であったり、契約内容に曖昧な点が残ったまま取引を進めてしまうと、後々の紛争の原因となることがあります。たとえば、物件の権利関係が不明確であったり、隠れた瑕疵(かし)が発覚した場合、当事者間での責任の所在が問題となり、解決までに多大な時間と労力を要することもあります。

こうしたリスクを回避するためには、法律や不動産取引の専門知識を持つプロフェッショナルの助言を受けることが重要です。司法書士兼宅地建物取引士の立場から、個人間の不動産売買において押さえておくべきポイントを詳しくご紹介し、皆さまが安心して取引を進められるようお手伝いいたします。本記事では、契約前の確認事項から契約書の作成、登記手続きや税務対応まで、実務的な観点から具体的な注意点を解説します。

1. 契約前に確認すべき法的事項

1. 契約前に確認すべき法的事項

個人間売買では、物件の権利関係や法的な制約について事前にしっかり確認することが重要です。まず、登記簿謄本を取得して物件の所有者が確かであることを確認します。登記簿謄本には所有者の名前や住所、物件の面積、地目などが記載されており、これを確認することで売主が正当な所有者であることを確認できます。また、抵当権や差押え、仮登記などの担保権が設定されている場合、その解除や対応が必要となるため、事前に確認しておくことが大切です。

次に、法令上の制約についても慎重に調査する必要があります。例えば、都市計画法や建築基準法に基づく用途地域の制限や建ぺい率・容積率の制限、斜線制限などが物件に適用される場合があります。これにより、購入後に希望する用途で利用できないことが判明する可能性もあるため、事前に自治体の担当窓口で確認を行うことが望ましいです。また、文化財保護法や自然公園法などの特別な法律が適用される地域では、開発や改築に制約が課せられることもあります。

さらに、物件の現状と登記情報が一致しているかも確認が必要です。例えば、登記上の面積と実測面積に差異がある場合、後々の紛争の原因となることがあります。このため、必要に応じて測量士による現地調査を依頼し、正確な面積を確認することが推奨されます。また、隣接地との境界が曖昧な場合、境界確定の手続きを行うことも重要です。これにより、将来的な境界トラブルを未然に防ぐことができます。

最後に、建物の検査も重要なステップです。特に中古物件の場合、建物の構造的な問題やシロアリ被害、雨漏りなどの瑕疵が存在する可能性があります。専門の建築士やインスペクターに依頼して建物診断を行うことで、隠れた問題を早期に発見し、必要な修繕や価格交渉の材料とすることができます。

2. 売買契約書の作成と重要事項の説明

売買契約書は、取引の内容を明確にするための重要な書類です。個人間の取引でも、契約書には売買代金、支払方法、引渡し日、契約不適合責任の範囲などを詳細に記載することが求められます。

まず、売買代金については、総額だけでなく、支払い方法やスケジュールも明記する必要があります。たとえば、手付金として契約時に支払う金額、残金の支払日、支払い方法(銀行振込、現金など)を明確に定めることで、誤解やトラブルを避けることができます。また、手付解除に関する条項も重要で、契約解除の条件や違約金について具体的に記載することで、万が一の事態に備えることができます。

次に、引渡し日に関しては、物件の現況引渡しや空き家引渡しなど、具体的な状態を明示します。また、引渡し後のトラブルを防ぐために、引渡し前の最終確認(内覧や現況確認)の実施についても契約書に記載すると安心です。

契約不適合責任については、売主がどの範囲まで責任を負うのかを明確にします。中古物件の場合、引渡し後に隠れた不具合が発見されることがありますが、これに対する売主の責任期間や対応方法を契約書に記載することで、後のトラブルを未然に防ぐことができます。特に個人間売買では、売主が契約不適合責任を免除するケースもありますが、その場合でも買主が納得の上で署名することが重要です。

さらに、宅地建物取引士が関与する場合、重要事項説明書の作成が求められます。この説明書には、物件の権利関係や法的制約、設備の状態などが詳細に記載されており、買主に対してこれらの情報を正確に伝える義務があります。重要事項説明は対面で行うことが原則とされており、買主が内容を十分に理解した上で契約に進むことが求められます。

また、契約書には、契約違反が発生した場合の対応についても記載しておくことが望ましいです。たとえば、支払い遅延や引渡し遅延が発生した場合の違約金の額や、その支払い期限などを明記することで、トラブル発生時の対応がスムーズになります。さらに、不可抗力による契約解除(天災や法改正など)の条件についても明確にしておくことで、予期しない事態に備えることができます。

3. 登記手続きと税務の対応

不動産の売買が完了したら、まず所有権移転登記を行う必要があります。この登記手続きが完了しない限り、法的には新しい所有者として認められません。登記は法務局で行われ、登記簿に新しい所有者の情報が正式に記載されることで、物件の所有権が公的に証明されることになります。司法書士はこの登記手続きを専門的に扱う資格を持ち、必要書類の準備や提出、登記申請の代理を行うことができます。

所有権移転登記に必要な書類としては、売買契約書、登記識別情報(以前の登記済証)、固定資産評価証明書、住民票(買主)、印鑑証明書(売主)などがあります。これらの書類が不足していたり、不備があると登記手続きが遅れる原因となるため、事前に司法書士と確認し、万全の準備を整えることが重要です。また、売主が亡くなっている場合には、相続登記が完了している必要があり、この手続きが未了の場合は別途対応が必要となります。

次に、税務の対応についても忘れてはなりません。不動産の売買にはさまざまな税金が発生します。まず、売主には譲渡所得税が課される可能性があります。譲渡所得税は、不動産の売却益に対して課税されるもので、取得費用や譲渡費用、特別控除(3,000万円特別控除など)を考慮した上で計算されます。売却益が発生しない場合や、控除の適用によって税額がゼロになる場合もありますが、必ず確定申告を行う必要があります。

一方、買主には不動産取得税が課されます。不動産取得税は、物件の取得価格または固定資産評価額に基づいて計算され、取得後一定期間内に都道府県税事務所に申告・納付する義務があります。さらに、登記の際には登録免許税も発生します。登録免許税は、登記の種類や物件の評価額に応じて異なり、一般的には固定資産評価額の2%が課税されます。

また、消費税の取り扱いについても注意が必要です。個人間の不動産取引では土地の売買に消費税は課税されませんが、建物部分については売主が課税事業者である場合に限り消費税が課されます。特に事業用物件の取引や、法人が関与する場合は慎重な確認が必要です。

税務申告や納税に関しては、税理士などの専門家と相談することで、適切な処理が可能となります。税務の知識が不足していると、過少申告や申告漏れのリスクが高まり、後々の追徴課税や罰則の原因となるため、事前の準備と正確な申告が重要です。

まとめ

個人間の不動産売買は、費用を抑えるメリットがある一方で、法的なリスクや手続き上の複雑さも伴います。契約内容の曖昧さや書類不備によるトラブル、税務申告の漏れなど、注意すべきポイントは多岐にわたります。これらを適切に管理し、安心して取引を進めるためには、司法書士や宅地建物取引士といった専門家の助言を受けることが非常に重要です。専門家は、法律や登記、税務に関する知識を駆使して、取引の各段階でのリスクを最小限に抑えるサポートを提供します。

当事務所では、依頼者一人ひとりの状況に合わせた個別対応を行い、オーダーメイドのサポートを提供しています。これにより、煩雑な手続きもスムーズに進めることが可能です。また、費用についても明瞭会計を徹底しており、事前に詳細な見積もりをご提示することで、安心してご利用いただける体制を整えています。不動産取引に関するご不安やご質問がございましたら、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。皆さまの大切な不動産取引が安全かつ円滑に進むよう、全力でサポートいたします。

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