相続登記をAIに頼ることのリスク|2026年時点で本当に注意すべきポイントとは
2026/05/11
まずはじめに
近年、ChatGPTをはじめとする生成AIの急速な普及によって、「法律手続もAIで調べる時代」が現実になってきました。
以前であれば、相続登記について調べる際には、法務局のホームページを見たり、専門書を購入したり、司法書士へ直接相談したりする必要がありました。しかし現在では、スマートフォン一つで「相続登記に必要な書類」「費用」「遺産分割協議書の作り方」などを瞬時に調べられるようになっています。
特に2024年の相続登記義務化以降、「親が亡くなったが、何から始めればいいのか分からない」「まずは自分で調べたい」という方が全国的に増えています。
名古屋市内でも、実家の相続や空き家問題に直面したご家族が、まずAIに相談し、その後で専門家を探すという流れは珍しくなくなりました。
実際、AIは非常に便利です。
難しい法律用語を分かりやすく説明してくれたり、必要書類を整理してくれたり、相続登記の流れを簡単にまとめてくれたりします。
「司法書士へ相談する前に予備知識を得たい」という場面では、大きな助けになることも多いでしょう。
一方で、相続登記は単なる書類作成ではありません。
実際には、
- 戸籍の読み取り
- 相続人調査
- 不動産の権利関係
- 遺産分割の方法
- 税務への影響
- 将来的な売却可能性
- 空き家問題
- 家族間の関係性
など、さまざまな問題が複雑に絡み合っています。
特に不動産相続では、「とりあえず名義変更だけすれば終わり」というケースは意外と少ないものです。
例えば名古屋でも、
- 親が住んでいた実家を誰も使わない
- 郊外の土地が売れにくくなっている
- 古い建物の管理負担が重い
- 兄弟間で売却意見が分かれている
- 相続後に固定資産税だけが発生して困っている
といった相談が年々増えています。
現在の日本では、人口減少や高齢化の影響により、今後さらに空き家が増加すると予想されています。
また、建築費高騰や物価上昇の影響もあり、不動産市場は「どこでも値上がりする時代」ではなくなってきました。
名古屋市中心部のように需要が強いエリアと、人口減少が進む地域では、不動産価値の差が今後さらに広がる可能性もあります。
そのため、相続登記では単に法律上の手続を終わらせるだけでなく、
「この不動産を将来どうするのか」
という視点が非常に重要になっています。
こうした背景もあり、最近ではAIを利用しながら情報収集を進める方が増えている一方で、「AIの情報だけを信じて進めてしまい、後から問題が見つかった」というケースも少しずつ見られるようになっています。
AIは非常に優秀なツールですが、現時点では、すべての家庭事情や不動産事情、地域特有の問題まで完全に判断できるわけではありません。
特に相続は、一つとして同じケースが存在しない分野です。
この記事では、相続登記をAIに頼る場合のメリットとリスクを中立的な立場から整理しながら、実際にどのような場面で注意が必要になるのかを、司法書士兼宅地建物取引士の視点からわかりやすく解説します。
1 AIで相続登記を調べる人が急増している理由
ここ数年で、相続登記について「まずAIで調べる」という行動は急速に一般化しました。
以前は、相続が発生すると、
- 法務局へ電話する
- 市役所へ相談する
- 専門家を直接訪問する
- インターネット検索で複数サイトを比較する
という流れが一般的でした。
しかし現在では、ChatGPTなどの生成AIに対して、
「相続登記は何をすればいい?」
「名義変更に必要な書類は?」
「司法書士に頼まないとダメ?」
「相続した実家を売るべき?」
などと質問し、最初の情報収集を行う方が非常に増えています。
特に2024年の相続登記義務化以降、「放置していた不動産の名義変更をしなければならない」と考える人が一気に増加しました。
名古屋市でも、親世代が亡くなった後に、
- 昔から名義変更していなかった土地
- 郊外にある空き家
- 誰も住まなくなった実家
- 相続人が複数いる不動産
について相談が急増しています。
その中で、多くの方がまずAIを使う理由としては、「専門家へ相談する前に、自分で全体像を理解したい」という心理があります。
相続登記は一般の方にとって非常に分かりにくい手続です。
普段、戸籍や登記簿を見る機会はほとんどありませんし、「遺産分割協議」「法定相続分」「登録免許税」など、聞き慣れない専門用語も多く登場します。
その点、AIは、
- 難しい言葉をやさしく説明してくれる
- 24時間いつでも質問できる
- 無料で使えることが多い
- 会話形式で聞ける
- 何度質問しても気を遣わなくてよい
という大きなメリットがあります。
特に高齢の親を亡くした直後は、精神的にも負担が大きく、「いきなり専門家に相談する気力が出ない」という方も少なくありません。
そのため、自宅で落ち着いて情報整理ができるAIは、心理的ハードルを下げる存在になっています。
また最近では、YouTubeやSNSなどでも、
- 「AIで遺産分割協議書を作る方法」
- 「相続登記を自分でやる方法」
- 「司法書士費用を節約するコツ」
といった情報が数多く発信されています。
こうした流れもあり、「相続登記はAIやネットで調べれば自分でもできそう」と感じる方が増えているのです。
実際、比較的シンプルなケースであれば、AIが役立つ場面は確かにあります。
例えば、
- 相続登記の大まかな流れを知る
- 必要書類を整理する
- 法務局へ行く前の準備をする
- 遺産分割協議書の一般的な形式を知る
- 相続登記義務化の概要を理解する
などについては、AIは非常に便利です。
特に若い世代では、「まずAIで調べてから専門家へ相談する」という流れが、今後さらに一般化していく可能性があります。
一方で、ここで重要なのは、AIが提供する情報は“平均的な一般論”であることが多いという点です。
相続は、一件ごとに事情が大きく異なります。
例えば同じ名古屋市内でも、
- 都心部マンションの相続
- 郊外の空き家相続
- 農地を含む相続
- 古い借地権付き建物
- 共有名義不動産
- 収益物件の相続
では、注意点がまったく違います。
さらに近年は、日本全体の人口減少や高齢化の影響により、「相続した不動産をどう維持するか」が大きな社会問題になっています。
特に地方だけでなく、名古屋近郊でも、
- 空き家の増加
- 不動産需要の地域格差
- 老朽化建物の増加
- 固定資産税負担
- 相続人の県外居住
などの問題が目立つようになっています。
今後は、すべての不動産が資産価値を維持できる時代ではないともいわれています。
例えば、
- 名駅周辺
- 栄エリア
- 再開発地域
- 投資需要がある中心部
などは比較的需要が維持されやすい一方で、
- 駅から遠い住宅地
- 古い団地エリア
- 接道条件が悪い土地
- 建替え困難物件
などは、売却が難しくなる可能性もあります。
そのため最近では、「とりあえず相続登記だけ済ませれば安心」という考え方ではなく、
- 将来売るのか
- 誰が住むのか
- 空き家管理はどうするのか
- 固定資産税を負担できるのか
まで含めて考える必要が出てきています。
しかし、こうした不動産実務や将来的リスクまでは、AIだけで正確に判断することはまだ難しい場面があります。
AIは便利なツールですが、実際には、
- 入力された情報が正しいことを前提に回答する
- 現地状況を確認できない
- 家族間の感情を把握できない
- 不動産の市場性を個別分析できない
という限界もあります。
つまり、AIは「入口としての情報収集」には非常に役立つ一方で、最終判断まで完全に任せることには慎重さも必要だということです。
最近では、相続に詳しい方ほど、
「まずAIで全体像を把握し、その後専門家へ個別相談する」
という使い方をされています。
これは、AI時代における非常に合理的な相続準備の方法といえるでしょう。
2 相続登記をAIだけに頼る場合に起こりやすいリスク
AIは、相続登記の流れや必要書類を調べるうえで非常に便利な存在です。
実際、「まず概要を知りたい」という段階では、多くの方にとって役立つツールになっています。
しかし一方で、相続登記をAIだけに頼って進める場合には、注意しなければならないリスクもあります。
なぜなら、相続登記は単純な書類作成ではなく、
- 戸籍の読み取り
- 法律判断
- 不動産調査
- 相続人間の調整
- 将来的な売却可能性
- 税務への影響
など、多くの要素が複雑に関係する手続だからです。
特に不動産が関係する相続では、「一応登記は終わったが、その後に問題が発覚した」というケースも少なくありません。
ここでは、実際に起こりやすい代表的なリスクについて整理していきます。
1 戸籍の見落としや相続人の誤認
相続登記では、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍を収集し、法定相続人を確定する必要があります。
しかし、実際の戸籍調査は、一般の方が想像する以上に複雑です。
例えば、
- 転籍を繰り返している
- 古い手書き戸籍がある
- 前妻との子どもがいる
- 認知した子がいる
- 養子縁組がある
- 代襲相続が発生している
- 相続放棄した人がいる
など、戸籍上の確認事項は非常に多くあります。
AIは、入力された情報を前提として回答します。
つまり、相談者自身が気づいていない事情については、AI側も把握できません。
例えば、
「子どもは長男だけだと思っていた」
というケースでも、実際には前婚時の子どもが存在していたということは珍しくありません。
この場合、その方も正式な相続人になります。
しかし、AIへその情報を入力していなければ、「長男だけで相続できます」という回答になってしまう可能性があります。
実務では、相続人が一人不足しているだけで登記は成立しません。
さらに問題なのは、誤った内容で遺産分割を進めてしまうと、後から手続をやり直す必要が出ることです。
特に名古屋でも、昔から土地を所有していた家系では、
- 相続登記を数十年放置している
- 名義が祖父のまま
- 相続人が全国に散らばっている
というケースが少なくありません。
こうした案件では、戸籍だけでも相当な量になることがあります。
AIは戸籍を自動的に読み取って法的判断をしてくれるわけではないため、最終的には専門的な確認が必要になる場面も多いのです。
2 不動産の「見えない問題」をAIは判断できない
相続登記で特に重要なのが、不動産の調査です。
一般の方は、「法務局で登記簿を取れば全部分かる」と思われることがあります。
しかし実際には、登記簿だけでは分からない問題が数多く存在します。
例えば、
- 未登記建物がある
- 昔の増築部分が登記されていない
- 私道持分が漏れている
- 境界が不明確
- 接道義務を満たしていない
- 農地法の問題がある
- 借地権が絡んでいる
- 建築基準法上の制限がある
などです。
名古屋市内でも、昭和40年代〜50年代頃に建築された住宅では、現況と登記内容が一致していないケースが珍しくありません。
特に昔の住宅地では、
- 建物図面が古い
- 隣地との境界確認が曖昧
- 相続のたびに権利関係が複雑化している
ことも多くあります。
AIは一般論として、
「相続登記には登記簿謄本が必要です」
と説明できますが、その不動産に潜む個別問題までは現地確認なしに把握できません。
これは非常に重要なポイントです。
実際には、
「相続登記後に売却しようとしたら、再建築不可だった」
「共有私道の承諾問題が見つかった」
「建物未登記で追加費用が発生した」
というケースもあります。
特に最近は、日本全体の人口減少や空き家増加により、不動産の資産価値が地域によって大きく分かれる時代になっています。
名古屋市中心部のように需要が強いエリアは比較的価格が維持されやすい一方で、郊外や古い住宅地では、
- 売却まで長期間かかる
- 解体費の方が高い
- 買い手が見つからない
という事例も増えています。
そのため、相続登記では単に名義変更するだけではなく、
「この不動産を将来どうするのか」
まで考えながら進めることが重要になります。
不動産売買実務まで理解している専門家が関与することで、後々の問題回避につながるケースも少なくありません。
3 AIの回答が最新法令や実務運用とズレることがある
AIは非常に優秀ですが、必ずしも最新法令や法務局運用を完全に反映しているとは限りません。
特に相続分野は、
- 相続登記義務化
- 所有者不明土地対策
- 空き家対策
- 税制改正
- 法務局運用変更
など、近年制度変更が相次いでいます。
2024年には相続登記の義務化が始まり、「正当な理由なく放置した場合は過料対象になる可能性がある」という点も大きな話題になりました。
また、現在は全国的に空き家問題が深刻化しており、自治体によっては、
- 空き家管理条例
- 特定空家対応
- 固定資産税優遇解除
などの対応も進んでいます。
しかし、AIによっては古い情報を参照していることもあり、
- 旧制度ベースで説明される
- 最新の必要書類と違う
- 税務上の扱いが古い
- 法務局実務とズレている
こともあります。
例えば、登録免許税の軽減措置や、不動産評価の扱いなどは、時期によって変更されることがあります。
さらに、法務局実務では地域ごとの運用差が出ることもあり、「AIの説明通りにやったが補正になった」というケースも実際にはあります。
特に相続不動産の売却を予定している場合には、
- 相続登記のタイミング
- 遺産分割方法
- 単独名義か共有名義か
- 売却前提の整理方法
などによって、将来の手続負担や税務面が変わる可能性もあります。
AIはあくまで“情報ツール”であり、個別案件に対する最終的な法的責任を負ってくれるわけではありません。
そのため、特に高額不動産や複雑な相続では、「AIの情報を参考にしつつ、最終確認は専門家へ行う」という考え方が、結果的に大きなトラブル防止につながるケースも多いのです。
3 AI時代だからこそ「専門家の役割」が変わってきている
近年、AIの進化によって、相続登記に関する情報収集の方法は大きく変わりました。
以前であれば、専門家しか知らなかったような知識も、現在ではAIを使ってある程度調べられる時代になっています。
例えば、
- 相続登記の基本的な流れ
- 必要書類
- 遺産分割協議書の一般的な形式
- 相続登記義務化の概要
- 法定相続分の考え方
などについては、AIでもかなり分かりやすく説明できるようになっています。
そのため、「相続登記はすべてAIで完結するのではないか」と感じる方も増えているかもしれません。
実際、簡単なケースであれば、AIを活用することで情報整理がスムーズになる場面もあります。
今後は、相続分野でもAI利用がさらに一般化していく可能性は高いでしょう。
しかし一方で、実際の相続実務に携わっていると、相続登記は単なる書類作成では終わらないケースが非常に多いことを実感します。
特に不動産相続では、
- 法律
- 登記
- 税務
- 不動産市場
- 家族関係
- 将来の資産管理
などが複雑に絡み合います。
つまり、本当に重要なのは、「書類を作ること」そのものではなく、
「その家庭にとって、どの選択が将来的に最も問題を減らせるか」
を考えることなのです。
1 相続では「感情の整理」が大きなテーマになる
AIは論理的に回答します。
しかし、実際の相続では、感情面の問題が非常に大きな割合を占めます。
例えば、
- 長男は実家を残したい
- 次男は早く売却したい
- 遠方の相続人は管理したくない
- 親の介護負担に不公平感がある
- 昔の家族関係のわだかまりがある
など、相続では単純な法律論だけでは解決できない問題が数多くあります。
名古屋でも、最近は親世代が所有していた不動産について、
「誰も住まないが、思い出があって売れない」
という相談が非常に増えています。
特に昭和期に取得した実家は、家族の歴史そのものになっているケースも多く、単純な資産価値だけでは判断できません。
一方で、
- 空き家管理の負担
- 固定資産税
- 老朽化リスク
- 解体費用
- 近隣トラブル
など、現実的な問題も発生します。
AIは一般論として、
「共有名義にする方法があります」
「売却して分配する方法があります」
と説明できます。
しかし実際には、
- 共有にした結果、将来売れなくなる
- 相続人同士の関係が悪化する
- 管理責任が曖昧になる
というケースも少なくありません。
相続では、“法律上可能か”だけではなく、“家族として将来維持できるか”まで考える必要があります。
ここは、単なる情報提供だけでは対応できない部分です。
専門家が間に入ることで、
- 家族ごとの事情整理
- 現実的な選択肢の提示
- 将来トラブルの予防
につながるケースも多くあります。
2 不動産相続は「登記後」が本当の問題になることも多い
一般の方は、「相続登記が終われば一安心」と考えがちです。
しかし実際には、相続登記はスタート地点に過ぎないことも少なくありません。
特に最近は、日本全体の人口減少や高齢化の影響によって、不動産市場が大きく変化しています。
今後は、
- すべての不動産が資産価値を維持できる時代ではない
- 地域による価格差がさらに拡大する
- 空き家増加によって供給過多が進む
とも言われています。
名古屋市内でも、
- 名駅周辺
- 栄エリア
- 再開発地域
- 投資需要が強い中心部
などは比較的需要が維持されやすい一方で、
- 郊外住宅地
- 築古戸建て
- 接道条件が悪い土地
- 古い団地エリア
などは、今後売却が難しくなる可能性もあります。
つまり、相続登記では、
「名義変更すること」
だけでなく、
「この不動産を今後どう維持・活用するか」
まで考える必要がある時代になっているのです。
例えば実際には、
- とりあえず共有名義にした
- 誰も住まないまま空き家化した
- 数年後に解体費用問題が発生した
- 売却しようとしたら買い手が見つからなかった
というケースも少なくありません。
AIは、一般的な相続手続の説明はできます。
しかし、
- 将来の不動産市場
- 売却可能性
- エリア需要
- 建築制限
- 実務上の流通性
まで含めて個別判断することは、現時点では難しい場面があります。
特に相続不動産を売却予定の場合には、登記だけでなく不動産実務も理解したうえで進めることが重要になります。
司法書士兼宅地建物取引士の立場では、
「今は問題なく見えても、5年後・10年後に困らないか」
という視点で相続を考えることが非常に重要だと感じます。
3 AI時代は「専門家不要」ではなく「専門家の役割が変わる時代」
AIの登場によって、専門家の役割そのものも変化しています。
以前は、「法律知識を持っていること」自体に大きな価値がありました。
しかし現在では、一般的な知識だけであればAIでも調べられる時代です。
そのため、今後の専門家に求められるのは、
- 個別事情を整理する力
- 家族間調整
- 不動産実務への理解
- 将来リスクの分析
- 問題の予防提案
など、“実際の現場判断”の部分になっていくと考えられます。
これは相続分野で特に顕著です。
相続は、一つとして同じ案件がありません。
例えば同じ名古屋市内でも、
- 不動産の立地
- 相続人の人数
- 家族関係
- 資産状況
- 売却意向
によって、最適な進め方は大きく変わります。
AIは便利な情報整理ツールですが、最終的に責任を持って判断してくれる存在ではありません。
また、相続では「今だけ正しければ良い」というものでもありません。
例えば、
- 安易に共有名義にした
- 将来の二次相続を考慮しなかった
- 売却しづらい状態にした
- 空き家リスクを放置した
結果、数年後に家族が困るケースもあります。
だからこそ最近では、
「AIで基礎知識を整理し、その後専門家へ個別相談する」
という使い方が非常に合理的だと考えられるようになっています。
AIと専門家は、対立する存在ではありません。
むしろこれからは、
- AIで情報収集を効率化し
- 専門家が個別判断や将来設計を行う
という形が、相続分野における現実的な活用方法になっていく可能性があります。
特に不動産相続では、単なる名義変更だけでなく、
「その資産を将来どう引き継ぐか」
まで見据えて考えることが、これからますます重要になっていくでしょう。
まとめ
近年、生成AIの急速な普及によって、相続登記についても「まずAIで調べる」という流れが一般的になってきました。
実際、AIは非常に便利な存在です。
- 相続登記の流れを知る
- 必要書類を確認する
- 専門用語を分かりやすく理解する
- 手続の全体像を整理する
といった場面では、多くの方にとって大きな助けになるでしょう。
特に、親が亡くなった直後は精神的負担も大きく、「いきなり専門家へ相談する前に、まず自分で調べたい」という方も少なくありません。
その意味では、AIは相続に対する心理的ハードルを下げる存在になっているともいえます。
一方で、実際の相続登記は、単なる書類作成だけで完結するものではありません。
実務では、
- 戸籍の読み取り
- 相続人調査
- 遺産分割の整理
- 不動産の権利関係確認
- 税務との関係
- 将来の売却可能性
- 空き家リスク
- 家族間の調整
など、多くの問題が複雑に関係しています。
特に不動産相続では、「登記だけ終われば安心」という時代ではなくなってきています。
現在の日本では、高齢化や人口減少が進み、今後さらに空き家が増えることが予想されています。
また、建築費高騰や物価上昇の影響もあり、不動産市場は大きく変化しています。
名古屋市内でも、
- 都心部の需要が強いエリア
- 再開発地域
- 投資需要のある物件
などは比較的価格が維持されやすい一方で、
- 郊外住宅地
- 古い戸建て
- 接道条件が悪い土地
- 相続後に空き家化しやすい不動産
などは、将来的に売却や管理が難しくなる可能性もあります。
そのため、最近の相続では、
「とりあえず名義変更する」
だけではなく、
- 将来誰が管理するのか
- 売却する可能性はあるのか
- 子世代が維持できるのか
- 空き家リスクはないか
- 共有名義で問題ないのか
まで含めて考えることが非常に重要になっています。
しかし、こうした個別事情や将来リスクまでは、現時点のAIだけで完全に判断することは難しい場面があります。
AIは入力された情報を前提に回答します。
つまり、
- 相続人の見落とし
- 不動産の特殊事情
- 家族関係の複雑さ
- 地域ごとの不動産事情
- 実務上のリスク
などについては、最終的に人による確認が必要になることも少なくありません。
また、AIの情報は非常に便利である一方、法改正や法務局運用変更などへの対応が完全ではない場合もあります。
特に相続登記は、2024年の義務化以降も制度運用が変化しており、今後も所有者不明土地対策や空き家政策などに関連して制度変更が続く可能性があります。
そのため、AIの回答だけをそのまま信じて進めるのではなく、
「情報収集はAI」
「最終判断は専門家」
という形で使い分けることが、これからの時代には非常に合理的だと考えられます。
実際、相続に詳しい方ほど、
- AIで基礎知識を整理し
- 自分なりに疑問点をまとめ
- そのうえで専門家へ個別相談する
という流れを取るケースが増えています。
これは、AIを否定する考え方ではありません。
むしろ、AIを上手に活用しながら、重要な部分だけ専門家の判断を取り入れるという、非常に効率的な方法だといえるでしょう。
特に不動産相続では、
- 登記
- 法律
- 不動産売買
- 税務
- 将来の資産管理
が密接に関係しています。
そのため、単なる手続代行という視点ではなく、
「将来その不動産がどうなるか」
まで含めて考えることが、これからますます重要になっていくと考えられます。
相続登記は、一度進め方を誤ると、
- 相続人同士の対立
- 売却困難
- 空き家問題
- 将来の再相続トラブル
などにつながることもあります。
だからこそ、AIを便利な情報収集ツールとして活用しながらも、最終的には個別事情に応じた判断を行うことが、後悔の少ない相続につながるのではないでしょうか。
これからの相続は、「AIか専門家か」という二択ではなく、
“AIを活用しながら、必要な場面では専門家の知見を取り入れる”
という時代に入ってきているのかもしれません。