個人間で住宅・不動産を売買するには?【登記の専門家/名古屋の司法書士が解説】

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個人間で住宅・不動産を売買するには?【登記の専門家/名古屋の司法書士が解説】

2019/12/19

仲介なし!個人同士で不動産の売買はできるの!?

買主と売主が既に決まっていているような不動産の売買では、仲介業者を入れないで不動産取引をする事があります。

不動産の個人間売買などと呼ばれます。

 

この個人間売買は、プロである仲介業者がいない分、すべて当事者で難しい不動産取引を行う必要があります。何から何まですべて当事者の自己責任になります。

一方、高額な取引となる不動産売買ではトラブルもよく起こります。知り合い同士、親族同士、親子、兄弟間など様々ケースでこの個人間売買はよく利用されます。ただし、親しい間柄だからこそ、感情的なもつれでトラブルに発展することがあります。安易に考えてしまうと思わぬ落とし穴にはまってしまう可能性があるので気をつけるようにしましょう。

 

簡単にできると思っていると、意外に考えるべきことが多くでびっくりされるかもしれません。

しかし、通常の不動産売買で行われる取引慣習に沿って行うことが実はポイントです。現在の不動産売買で行われている手法は長年の実務の積み重ねで出来上がった安心な取引方法です。特に、通常は不動産仲介会社だけではなく、司法書士も登記や売買に関与しておりかなり厳格に取引が行われています。

これらを、大変だからとか、面倒だからといって省略してしまうと不公平な不動産売買になってしまうことがあります。

 

そこで、今回は、名古屋の司法書士が、不動産の個人間売買の注意点を3つご紹介します。

1.売買契約書の作成は必須

内容はともかく、必ず不動産売買契約書を残すようにしましょう。不動産は口約束で行うような契約ではないので、契約内容を必ず書面化しておきましょう。一般的な書式やひな形を利用しても構いませんが、あくまで、一般的なものなので、自分たちの取引にはそのまま利用できない可能性が高いので注意して下さい。

売買契約の内容を決める際にも、一般的な契約がわからないとどのように定めていいのかわからないと思います。場合によっては、自己に有利な条項を入れているとして、相手方の不信感を招いてしまうこともあります。

 

不動産の売買契約書は法律文書ですので、法律上の観点から各条項をチェックする必要があります。

トラブルや裁判になれば、契約書の内容がよりどころです。法律用語の並んだ契約書ですが、その意味を理解して契約を据えるようにしょう。

 

不動産売買後、トラブルになった場合、裁判で重要なものは契約書です。

書面でどのような約束をしていたかを判断します。時の経過により人の記憶はあいまいになります。悪気があるわけではありません。誰でも同じです。
些細なことでトラブルにならないためにも、昨今は、約束事は原則書面化する傾向があります。
物件引渡し後に、土地の中からゴミが出てきたらどうしますか?また、実は隣地の境界線があいまいだったらどうなるのでしょうか?このような事態はよくあります。契約の段階でしっかり確認をしておきましょう。

通常は、契約不適合責任の問題や境界線の明示義務の部分で契約書上は書かれます。

 

2.登記手続きを忘れずに

不動産売買契約書の作成が済んでも、油断できません。登記申請の準備もしましょう。具体的には所有権移転登記です。こちらも登記原因となる売買に関する登記原因証明情報というものを作成する必要があります。

これは、法律行為である売買が成立して、所有権が移転していることを示す書面です。

 

それ以外にも、一般的は、売主の方は印鑑証明書や権利証(登記済証、登記識別情報)、買主の方は住民票が必要です。

また、登記申請には、登録免許税と言って税金を納める必要があります。こちらは、登記申請時に納めますので、準備を忘れないようにしましょう。通常は登録免許税相当の収入印紙で納めることが多いと思います。

この登録免許税は、登記申請人が根拠資料である評価証明書をつけて、計算をする必要があります。他の税金と違って、国が計算をして納付書を送ってくるような手続きではありません。自分で計算をして納めるシステムです。

 

 

この所有権移転の登記申請は、所有権が移転したら速やかに行いましょう。通常の売買では代金の支払いと同時に所有権が移転する条項が契約書に入っています。登記を忘れると、完全な所有権を主張できない場合がありますので注意しましょう。この登記申請は法律上の義務となっていませんが、自分の権利を守る手続きとして当然行うものになります。

 

登記申請は、原則、共同申請です。売主と買主が共同で申請します。もし、買主だけで申請する場合は委任状が必要です。また、登記申請書は自分で作成します。必要な添付書類を準備してホッチキスでとめて一つにまとめます。

登記申請の準備が整ったら、不動産の所在を管轄する法務局に対して所有権移転登記の申請をします。最寄りの法務局に申請をすればよいものではありません。管轄の間違いは、登記申請が却下されてしまいます。

登記が完了すれば、登記識別情報が発行されますので、買主の人は今後はこれを大切に保管することになります。

 

3.買主が融資を受ける場合は要注意!

買主の方が現金で売買代金を支払うケースは少ないかもしれません。通常は、融資を受けて不動産を購入する形が多いと思います。このように融資を受ける場合、不動産取引に銀行等が関わってきます。銀行等が融資をする場合、第三者間の売買と同じような形式の売買を好みます。

売買契約書は当然必要として、その他にも通常の売買で交付される重要事項説明書の発行も求められたり、仲介会社や司法書士等のプロが間に入ってしっかりと手続きをしていることが条件になることもあるようです。いずれにしても、個人間だからといって、緩い取引はできないということになります。

 

法律上の不備のない完璧な売買を用意する必要があるのです。

 

融資には、事前審査があります。通常は売買契約の前に事前審査を受けてある程度融資の承認が大丈夫そうなことを確認して契約をします。この場合、ご契約後に本審査の申し込みをします。そして、承認後に融資実行→売買代金支払→所有権移転登記申請といった流れになります。

 

融資の実行と同時に売買代金の支払いが行われ、また当日中に所有権移転登記と金融機関の抵当権設定登記を必ず行います。これらをすべていっぺんに行う形になるのです。これらを「売買決済」と呼びますが、通常は不動産会社や司法書士が役割分担をして作業を行うので、買主の方や売主の方は書面に記入したり押印をするだけで済みます。ただし、作成する書面は結構あります。

また契約上は、この売買決済をもって、売り主から買主への物件の引き渡しも行われることが多いでしょう。所有権の移転も売買代金全額の支払いと同時でしょうから、この日に所有権が移転します。つまり、この日で不動産売買がすべて完結します。

最後に

以上、名古屋の司法書士が、個人間での不動産売買の注意点3選をご紹介しました。

どうでしたか?

 

意外に難しくややこしいことに驚かれるかもしれません。不動産取引は、昔からトラブルが絶えません。地面師事件もそうですが、詐欺や脅迫など事件性のあるような事例もあるようです。トラブルで泣き寝入りすることのないように不動産取引のやり方をしっかりと理解したうえで、間違いのない不動産売買を行うようにしましょう。

また、不動産売買では、契約書の作成も大切ですが、それと同じくらい登記も大切です。この不動産売買の登記手続きも忘れずに準備をしておきましょう。登記手続きは、売主と買主が協力して行う必要があります。買主だけではできませんので、売買代金の支払い時には売主から所有権移転登記の必要書類を同時に預かるようにしなくてはいけません。通常は司法書士がすべて立ち会って責任をもって登記をしますが、個人間で自分たちだけで行う場合は、すべて自分たちで行う必要がありますので、注意しましょう。

 

名古屋市のごとう司法書士事務所では、司法書士が宅建の登録をして不動産売買の仲介実務を行っています。契約書チェックや登記手続きに限らず、不動産売買の実務的なご質問でもお答えすることができます。売却時の固定資産税の精算方法など、細かい点や些細なことでも大丈夫ですから、お困りの際はお気軽にご相談下さい。

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