在日韓国人の方の相続で必要な家族関係証明書とは【名古屋のごとう司法書士事務所】

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在日韓国人の方の相続で必要な家族関係証明書とは【名古屋のごとう司法書士事務所】

2020/09/05

韓国の戸籍や家族関係証明書を解説します。

韓国籍の方の相続が絡む場合、韓国の除籍謄本や新制度の家族関係証明書が相続手続きで必要になります。

しかし、韓国から発行されるこれらの除籍や家族関係証明書は、原本が韓国のハングル文字でかかれており、翻訳をしてもらわないければ読み解くこともできません。

日本の相続手続きにおいては、日本語への翻訳は必須です。
この点は、不動産の相続手続きである相続登記に限りません。預金の相続などでも同様です。

 

無事読み解けたとして、それぞれ証明書にはどのような事項が書かれており、証明されているのか。
それを理解してこそ、相続人が特定できるのです。
日本の戸籍であれば、読むだけに集中できますが、韓国のような外国の書類が必要な場合、まずは読む前の準備である外国の証明書の取得と翻訳という手間がまず発生するのです。

この段階で挫折してしまう人も多いので、頑張っていきましょう。

 

では早速一緒に見ていきましょう。

1 発行される証明書の種類は5種類

現行の制度では、戸籍に代わる親族関係等がわかる証明書として、「家族関係証明書」「基本証明書」「婚姻関係証明書」「入養関係証明書」「親養子入養関係証明書」の5種類です。

 

戸籍はこれらの情報が一つにまとまっていましたが、韓国の現行の制度では、情報が個別に交付される形です。

日本で不動産の相続登記をする場合、主に必要なものは「家族関係証明書」「基本証明書」「婚姻関係証明書」です。

 

不動産の相続登記では、家族関係証明書、基本証明書、婚姻関係証明書の3点は必ず取得、翻訳をして揃える必要があるでしょう。訳文もそろえるようにしましょう。
なお、法務局によっては、別途必要な書面を求めるところもあるようですが、基本的には不要であると思われます。

 

 

2 5種類の証明書についても、一般、詳細の区別あり

5種類の「家族関係証明書」「基本証明書」「婚姻関係証明書」「入養関係証明書」「親養子入養関係証明書」には、さらに「一般証明書」と「詳細証明書」が請求できます。

 

「一般証明書」とは、必要な情報だけが記載された証明書です。

「詳細証明書」とは、一般証明書の情報以外にも一定の情報を追加したものです。

 

不動産の相続登記においては、「詳細証明書」を選択して交付請求をするようにしましょう。証明内容の情報が足りない場合は再度取得することになってしまいます。

なお、「特定証明書」というものもありますが、ここでは割愛します。

3 交付請求ができる人は?

交付請求ができる人は限定されています。個人情報が含まれるので厳格に請求権者が決まっています。

 

交付請求ができるのは、「本人」「本人の配偶者」「直系血族」及び本人等から委任を受けた代理人です。
なお、兄弟姉妹は、昔は請求できましたが、違憲判決が出されたため、現在は請求権者から除かれています。

4 家族関係証明書以前の戸籍は日本の戸籍と同じ!?

韓国の昔の精度の戸籍は、日本の戸籍とほとんど同じです。

形式も同じですし、書いてある内容も似ています。日本の制度を当てはめたものですから、似た感じになります。

 

ただし、書いてある文字は韓国語です。通常の日本の相続手続きでは訳文をつけなくては手続きができません。不動産の相続手続きである相続登記においても同様です。

 

日本の戸籍を見慣れている方であれば、韓国の戸籍の翻訳版をみればスムーズに理解できるかもしれません。一方、日本の除籍等に見慣れていない場合は、やはり読み解くのに苦労する可能性が高いです。

 

また、日本語への翻訳の際も注意が必要です。

日本の戸籍でも同じようなことが起きますが、手書きの戸籍の場合、書いた人の癖や字の書き方によって読めない字があるのです。これは、日本の古い除籍でもよくあります。かなり癖が強い字も多く、またかすれていて読めないケースもあります。

手書きで作られている韓国の戸籍でも同様なのです。
このような場合は、翻訳者にもよりますが、推測である程度は翻訳します。また、どうしても判別つかず、読めない字がある場合、実務ではその箇所を空欄にして翻訳をしたりしています。ただし、その箇所が相続において重要な箇所である場合は別途検討が必要かもしれません。

 

もう一つの特徴は、全体的にやや雑に作成されている点です。

国民性もあるかもしれませんが、日本の戸籍はかなり高く、昔のものでも日付や記載内容がつながります。おかしな記載のある誤記などはあまりありません。
一方、韓国の戸籍は除籍同士の戸籍の日付がいまいち繋がらないことが多く、また、明らかな誤字もあります。
戸籍を読む際の大切なポイントは、その戸籍のはじまりと終わりの日付です。

戸籍がいったいつからいつまでを証明しているのか。途中で転籍や除籍などでぬけていないか。もしぬけていたり、足りない期間があれば、追加で取得する必要があります。その際、必ず転籍や除籍の理由や移る先の本籍地及び日付が書かれているのです。そのおかげで、戸籍をどんどんたどっていけます。

日本の戸籍の場合、このようにたどることが容易であり、問題にならない事でも、韓国の戸籍では問題になることがあるのです。韓国の戸籍を取得したら、翻訳をしてその点をチェックするようにしましょう。

5 請求先は?

韓国の戸籍は、外国の証明書ですから日本の行政窓口では取得できません。
日本から韓国の役所に郵送請求することもできないでしょうから、基本的には、日本にある大韓民国領事館で取得します。

 

要領は日本の戸籍を取得する時と同じですが、韓国領事館への請求ですので、なかなか気軽に行けるものではないかもしれません。実際、警備も厳重です。

日本の親切な窓口対応に慣れていると、違和感を感じる場面が多いかもしれません。

 

ちなみに名古屋の韓国領事館では、請求書は韓国語でしなくてはいけません。
※請求方法の変更があるかもしれませんから、請求時には必ず領事館に確認をするようにして下さい。

もしここで韓国の戸籍を請求する場合は、まず日本語から韓国語への翻訳をし、韓国語で請求書に書いてもらうしか難しいでしょう。実際に、韓国語ができない人に見よう見まねで請求書に翻訳されたハングル文字で書いてもらったことがありますが、請求窓口で読めないと言われて、請求書を受け取ってもらえませんでした。

 

また、韓国人の方の相続の場合、そもそも最初に死亡届を韓国領事館に対してする必要があります。そうしなければ、当然死亡の記載のある韓国の家族関係証明書等は取得できません。
しかしながら、この死亡届も、戸籍の請求と同様に、韓国語でしなくてはいけません。死亡診断書(韓国語に翻訳する必要あり)などをつけて手続きを行います。

 

かなり面倒で時間のかかる手続きになることを覚悟した方がよいかもしれません。

まとめ

以上、名古屋の司法書士が、韓国籍の方の相続手続きでは避けては通れない、韓国の戸籍制度について解説しました。

 

韓国では、家族関係証明書の制度に移行しましたが、今発生する相続では年齢的にまだまだ昔の戸籍まで出生をたどる必要がある場合が多いです。そもそも、韓国籍の方が日本で亡くなると韓国の相続法が適用されるので、その点にも注意が必要です。日本の相続法と似た部分がありますが、やはり別物と考えた方がよいでしょう。大事な判断を間違っては大変です。

 

日本でも韓国の戸籍や家族関係証明書を取得することは可能です。

ただし、取得するには、韓国領事館を利用するなど日本の市区町村で戸籍を取得するのとは取得に要する難易度や時間もずいぶん異なります。取得が難航する場合もあります。相続税の申告がある場合は、早めない準備をしないと、死亡から10カ月はすぐに経過してしまいます。気をつけるようにしましょう。

 

当事務所でも外国籍の方のご相続手続きのサポートに積極的に取り組んでいます。

わからないことがあれば、お気軽にご連絡下さい。

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