知らないと損!司法書士が行う相続手続き【相談なら名古屋の司法書士事務所】
2020/04/29
司法書士が大変そうだと感じる相続の相談事例3選
司法書士のもとにはざまざまな相続に関する相談が寄せられます。
その中でも今回は、相続を専門にしている司法書士が難しと感じる相続の相談事例を3つご紹介したいと思います。
相続の相談は、法律問題、税金の問題、相続人の間の感情的なトラブルなどいろいろな事情が入り組むことがあります。簡単そうに見えても思い通りにいかないことも多々あります。それは、相続が一人で決めることができない事が多いからです。
相続には、相続人がいます。相続人は一人のこともありますが、複数になることが多いでしょう。そうなると、相続財産という神経を使う話し合いを、相続N全員で行う必要があります。しかも、相続人同士は、交流がなく他人同然の関係性のこともあります。
つまり、当初紛争性がなくても、いつでも紛争に発展する可能性を秘めているのです。そのことを軽視してしまうと、あとでトラブルとなり、裁判をするしか相続手続きを前進させることができなくなります。
前述のとおり、場合によっては、それほど親しくもない相続人と財産について分配について話し合うのですから、腹の探り合いになることもあります。少しの感情のすれ違いで遺産分割協議書に実印をもらえず、相続手続きが凍結されてしまうケースにならないようにしなくてはいけません。
名古屋の司法書士が、相続人として知っておきたい、注意をしておきたい相続の相談事例をご紹介します。
1 相続人がたくさんいる相談事例
相続人の数は、相続によって違います。
相続人が10人以上いることも少なくありません。相続財産が現金や預金だけなら分けやすいですが、不動産などがあると簡単に分けることができません。また売却をするにも相続人全員で共有の相続登記をするのか、代表者だけで相続登記をするのか。また、その場合、法定相続分相当のお金をどのようにして渡すのか。クリアすべき問題はたくさんあります。うまくやらないと、贈与税がかかることもありますので、注意しましょう。
相続人が多くなる場合、一般的には相続人の間でもそれほど交流がなく、現在どのような生活をしているのかさえ分からない相続人がいることがあります。そのような相続人が何人もいる場合は、慎重に遺産分割協議の話を進めなくてはいけません。
例えば、先妻の子が相続人となる場合、相続とは関係なくても後妻と先妻の子では感情的にあまり良好ではないこともあります。そうなると、相続財産について話し合うのは大変です。ただでさえ、子の間では法定相続分は平等です。後妻の子が被相続人の介護やお世話をしているような場合、先妻の子は相続により何ら苦労することなく、子という身分で相続財産の主張をすることがあります。このような状態では、相続人同士の相続財産の分配に対する考え方が違うため、話がまとまらなくなります。
相続人が多くなってしまうと、相続財産についての話し合いをする人数が増えます。話し合いは、人数が増えるほどまとまりにくくなるので、必然的に遺産分割協議の難易度は上がってしまいます。相続手続きついて間違ったやり方をしてしまうと、すぐにトラブルに発展してしまうのです。
2 主な相続財産が不動産のみの相談事例
相続財産は、現預金がほとんどなく、不動産だけという相続のケースがあります。
このような相続では、注意が必要です。
不動産は分けにくい財産だからです。
現金や預金であれば、数字で分けることができます。しかし、不動産は法定相続分で現実的に切って分けることはほとんどありません。
不動産を共有で相続するとは、例えば土地であれば、法定相続分で土地に線を引いて分けることを意味しません。そのようにする場合、共有物分割の協議をしてそれぞれ土地を分筆手続きすれば、理論上は可能ですが、あまり現実的な話ではありません。分筆をするには費用がかかります。また、土地を小さく切っても、一つ一つの土地に価値が残るか疑問な場合が多いからです。
不動産を共有で相続するとは、土地であれば、土地全体を共有者全員で所有する状態です。つまり、共有者は、持分にかかわらず、土地を利用する権利があります。
これは、マンションの敷地を考えるとわかりやすいです。マンションの敷地は、通常、マンションの専有部分(マンションの各部屋)を所有している人たちで共有しています。専有部分の面積等により共有持分が違うことがありますが、敷地は共有者であれば何ら問題なく使えるはずです。
このように不動産を分ける時は、いくつか方法があります。
跡えば、相続人の1人が相続するが、その代わりに他の相続人に法定相続分相当の現金等を渡す方法があります。
その他にも、不動産を売却して受け取る売却代金を使い、相続人間で法定相続分で分ける方法があります。不動産を現金化すれば、現金や預金の相続と変わりませんから一気に相続手続きがやりやすくなります。
以上のように、さまざまなケースが考えられます。トラブルに発展しそうな要素がちりばめられていますので、この場場合もやはり、相続手続きのやり方を間違わないようにしなくてはいけません。
3 相続財産に非上場株式がある相談事例
非上場株式とは、中小企業の株式のことです。
日本の多くの企業が中小企業ですが、実は、会社の株式は社長やその家族が保有しているケースがほとんどです。
株式は、会社の経営上とても大切なものです。会社法上は、会社は株主の意見に基づいての運営を余儀なくされます。経営戦略上、保有株式の割合など重要なものです。ただし、会社の定款に工夫をすることで株式の外部への拡散を防ぐことはできます。
このような株式は上場株式のように客観的な値段があるわけではありません。つまり、相続開始時の会社の状況によって株価が異なります。会社が好調で株価が高い場合、相続税の発生の問題もありますが、誰が相続するかの問題もあるのです。
中小企業の株式は、一般的に売り買いできません。つまり、会社の関係者でもなければほとんど意味をなさないものです。現金化が気軽にできるわけでもありません。相続評価の株価で現金化ができなければ、結局、相続時の株価の価値を実際は持たないことを意味します。
しかしながら、会社を引き続く相続人などにとっては、株式はとても重要なものです。場合によっては、会社を乗っ取られます。社長や取締役の解任請求をされる可能性もあります。
このように非上場株式が相続財産にある場合は、遺産分割協議などの相続手続きのやり方を間違うと、トラブルに発展しやすい事例です。相続手続きや話し合いのやり方を間違えないようにしましょう。
最後に
名古屋の司法書士が、相続での相談で難しいと感じる事例をご紹介しました。
相続の相談は、多種多様です。その中でも、この3つの事例は典型的なトラブルに発展しやすい事例です。ただし、遺産分割協議など、相続手続きのやり方を間違えなければ、トラブルを回避できる可能性があります。どのように相続財産の話し合いを進めるのか、相続人に配慮も場合によっては必要でしょう。
相続では、専門家の実務に対する経験値が大切なことも多いと思います。ここでご紹介したような相続の相談事例の場合、相続を専門にしてやっている司法書士や弁護士などの専門家にご相談することをお勧めします。