相続した不動産を売却した時の税金(譲渡所得)【名古屋のごとう司法書士事務所】

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相続した不動産を売却した時の税金(譲渡所得)【名古屋のごとう司法書士事務所】

2020/03/21

譲渡所得税の概要

相続した不動産を売却した場合にかかる税金のお話

相続などで取得した不動産は売却するケースのお話です。

相続しても自分の自宅があったり、その他の活用方法でよいものがない場合、売ってしまうことはよくあります。不動産は保有していても、固定資産税の支払いや維持管理が必要になり負担になるからです。

 

では、実際に売る時いくらの税金がかかるのでしょうか?

売却代金からこれらの税金や諸費用を支払うことが多いと思いますから、必ず把握しておきましょう。売却諸費用の中でも最後に支払うものですし、金額も大きくなることがあります。しっかり確認するようにして下さい。売却代金を受け取った後に、残しておかないとあとから足りないといった事態になってしまうからです。

1 譲渡所得とは?

譲渡所得とは、不動産などの資産を譲渡した場合における所得です。

つまり、売却に伴い何か利益が発生していれば、それを所得として税金を支払う必要があります。

 

不動産の売却の場合で言えば、ざっくりいうと、取得時に要した金額かと売却に要した金額を比べて、利益が出ていれば、それに対して課税されます。売ったことで得をした場合ですから、購入金額より売却金額の方が高く売れた場合などです。

バブル時際には、転売が繰り返し行われていましたから、この転売益をイメージするとわかりやすいかもしれません。

2 譲渡所得の区分

土地や建物の譲渡は、その不動産の所有期間に応じて長期譲渡所得と短期譲渡所ときに分かれます。

所有期間が、譲渡した日の属する年の1月1日において、5年を超える場合は、長期譲渡所得になります。

一方、譲渡した日の属する年の1月1日において、5年以下の場合は、短期譲渡所得になります。

 

長期か短期の譲渡所得かでは、税率が異なります。

 

長期の場合は、約20%の税率ですし、短期の場合は、約40%の税率になります。

3 譲渡所得の計算方法

譲渡所得の計算式は、原則として以下のとおりです。

 

【譲渡所得の計算】

収入金額 - 必要経費(取得費 + 譲渡費用) - 特別控除 = 譲渡所得金額

 

譲渡所得の金額は、土地や建物を売却した代金そのものではありません。収入金額(土地や建物の売却代金)から、必要経費として取得費と譲渡費用を差し引いて、さらに特別控除の特例の要件等を満たし特別控除を受けられる場合はこの特別控除の金額を控除して計算をします。

(1) 取得費とは

取得費とは、譲渡した不動産の購入金額などです。ただし、建物のように期間の経過により減価するものは購入金額に減価償却費を控除して取得費を計算します。

 

なお、この取得費が不明の場合(例えば、先祖代々の土地だから取得費は不明な場合)や実際の取得費が収入金額の5%より少ない場合は、収入金額の5%を「概算取得費」として計算することができます。概算取得費で計算をする場合は、結果として譲渡益が発生し、特例等で控除がない場合は、譲渡所得税を支払う形になります。

 

また、相続財産を一定期間内に売却した場合、譲渡不動産にかかる相続税のうち一定額を取得費に加算して計算できる特例があります。

(2) 譲渡費用とは

譲渡費用とは、その不動産を売却するために必要な費用を言います。

 

譲渡費用の代表例は以下のとおりです。

① 土地や建物を売却するために支払った仲介手数料

② 売買契約書の印紙代、土地の測量費用等

③ 貸家(家を人に貸していた場合)の借家人に対して建物を明け渡すために要する費用(立退料)

④ 土地を更地で売る際、建物を解体するために要した解体費用

(3) 特別控除とは

代表的な特別控除の例として、一定の要件を満たす売却については、特例の適用を受けることで譲渡所得金額から3000万円を控除できる特例があります。

 

マイホームの特例

マイホームを売却する場合は、譲渡益から3000万円を特別控除できます。

住宅ローン控除等の特例とは選択的に適用があります。該当する方は別途確認しておきましょう。

 

【譲渡所得の計算】

収入金額 - 必要経費(取得費 + 譲渡費用) - 3000万円(特別控除) = 譲渡所得金額

空き家の譲渡所得の特例

1人暮らしの親の自宅を相続し、その後空き家になっている場合、一定期間内に売却をするとその譲渡益から3000万円を特別控除できます。

適用されるための主な要件は以下のとおりです。

 

【主な適用要件】

① 相続開始直前、被相続人が居住していた家屋であること

② 相続開始直前、被相続人以外に居住していた人がいないこと

③ 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること

④ 相続時から売却までに事業用、貸付用、居住用になっていないこと

⑤ 相続日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却であること

⑥ 売却価格が1億円以下であること

⑦ 家屋を譲渡する場合(現況有姿売買等で土地と建物をそのまま売却する場合)、売却時に現行の耐震基準を満たした家屋であること。

 

なお、マンションは適用対象外です。

 

 

まとめ

以上、名古屋の司法書士が、相続した土地や建物などの不動産を売却する際にかかる税金について解説しました。

 

この譲渡所得税は、一番最後に納めることが多いので、忘れると大変です。譲渡所得税は場合によっては、売却代金の約4割程度の負担になる可能性があるのです。うまく控除等の使えるものを使わないと、何百万単位で税金が発生するのです。

 

3000万円の特別控除の特例を受けるにしても、確定申告を行う必要があります。こちらも売却の翌年になることが多いので忘れがちです。

 

賢く確定申告をして無駄な税金を払わないように注意しましょう。

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