母国へ帰ることになったら、日本の家はどうする?~売る・貸す・持つの選び方と、海外に住んでからでは手間が増える手続きを外国籍の方向けに名古屋の司法書士が解説

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母国へ帰る前に日本の家はどうする?売る・貸す・持つを名古屋の司法書士が解説

2026/10/27

はじめに|「帰国が決まった。でも、この家はどうしよう」

家の手続きは、日本に住んでいるうちに進めるほど、早く・安く・確実に終わります。

仕事の任期が終わる、母国の親の介護が必要になった、老後は故郷で暮らしたい――日本で長く暮らしてきた外国籍の方が、母国へ帰る決断をする理由はさまざまです。そのとき多くの方が悩まれるのが、日本で買った家や、親御さんから相続した名古屋の実家をどうするか、という問題です。

「とりあえずそのままにして帰国し、あとで考えよう」と思われるかもしれません。けれども、海外に住んでからの不動産の手続きは、日本にいるうちの手続きに比べて、書類も税金も手間も大きく増えます。

この記事では、名古屋市中区のごとう司法書士事務所が、帰国前に考えたい「売る・貸す・持つ」の選び方と、帰国前に済ませておきたい手続きを、司法書士兼宅建士の立場からやさしくご説明します。

いちばん大切なこと|家の手続きは「日本に住んでいるうち」が圧倒的に楽です

出国して住民票がなくなると、印鑑証明書が取れなくなり、手続きの道具が一つずつ減っていきます。

帰国前の家の手続きで最も大切なのは、日本に住民票があるうちに動くことです。海外へ引っ越すときは、市区町村に転出届を出して住民票を消すのが原則です。住民票がなくなると、印鑑登録も消えるため、不動産の売却や名義変更で求められる印鑑証明書が取れなくなります。

印鑑証明書の代わりになるのが、署名の認証です。日本国籍の方なら現地の日本大使館で署名証明(サイン証明)を取れますが、外国籍の方は原則として日本の大使館は使えず、住んでいる国の公証人などに署名を認証してもらうことになります。国によってはアポスティーユなどの追加の証明も必要です。書類を国際郵便でやり取りする時間も加わり、日本にいれば数日で済む手続きが、数週間から数か月かかることもあります。

もう一つの大きな変化が税金です。日本に住所がなくなった人は、税金の上では原則として「非居住者」になり、家を売るときや貸すときの扱いが変わります(次の章でご説明します)。家の将来を決めるのは、住民票と印鑑証明書が使えるうち。帰国の時期が決まったら、まず家のことから考え始めるのがおすすめです。

選択肢①売る|帰国前に売るか、帰国後に売るかで手間と税金が変わります

帰国前に売れば、日本人と同じ手続きで済みます。帰国後の売却は、源泉徴収と申告の準備が必要です。

帰国前に売る場合は、日本に住む人として、通常の売却手続きで進められます。査定、売り出し、売買契約、決済・引き渡しまで、早ければ3か月、ゆとりを見て6か月ほどです。住んでいた家を売るときは、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売るなどの要件を満たせば、居住用財産の3,000万円特別控除を使える可能性があります。出国のタイミングとの関係を含め、使える特例は税理士と確認します。

帰国後に売る場合は、手間が増えます。海外に住む売主から日本の不動産を買う人は、原則として売買代金の10.21%を源泉徴収して税務署に納めることになっています(買主が個人で、自分や親族が住むために買い、代金が1億円以下の場合は対象外)。売主は翌年に日本で確定申告をして精算し、そのために日本国内の「納税管理人」を決めて税務署へ届け出る必要があります。契約書や登記の書類への署名も、現地の公証人の認証を受けて国際郵便でやり取りします。

住宅ローンが残っている場合は、売却代金でローンを完済し、抵当権を消す登記をします。売却代金で完済できないときは、銀行と相談しながら進める方法もありますので、早めにご相談ください。当事務所は司法書士と宅地建物取引士を兼ねていますので、出国日から逆算した売却スケジュールづくりから、査定、売買契約、決済と登記まで、一つの窓口でお手伝いできます。

選択肢②貸す|家賃収入と引き換えに、毎年の申告と管理が続きます

貸すなら、管理会社・納税管理人・毎年の確定申告の三つを、出国前にそろえます。

将来また日本に戻るかもしれない、子どもが日本で暮らしている――そんな方には、家を貸して持ち続ける選択肢もあります。家賃収入で固定資産税や修繕費をまかなえれば、家を手放さずに済みます。

ただし、海外から大家を続けるには準備が必要です。第一に管理会社です。入居者の募集、家賃の集金、修理の手配を、日本にいない大家が自分で行うのは現実的ではありません。第二に税金です。日本の家の家賃は日本で課税される所得なので、海外に住んでいても毎年日本で確定申告をし、そのために納税管理人を届け出ます。また、海外に住む大家に家賃を払う人は、原則として家賃の20.42%を源泉徴収します(個人が自分や親族の住まいとして借りる場合は不要)。会社の社宅として法人に貸す場合などは、源泉徴収が行われる前提で収支を考えます。

第三に住宅ローンです。住宅ローンは、契約者本人が住むことを条件にしているのが一般的です。ローンが残ったまま貸す場合は、必ず事前に銀行へ相談してください。将来戻って住む予定があるなら、期間が来れば契約が終わる定期借家契約で貸す方法もあります。

選択肢③持つ|空き家のまま持つなら、管理と名義の準備が欠かせません

持つと決めたら、管理する人、税金を払う人、連絡を受ける人を、日本の中に決めておきます。

思い出のある家を、空き家のまま持ち続けたいという方もいらっしゃいます。その場合は、建物の傷みと近所への迷惑を防ぐ管理が欠かせません。月に一度の見回りと換気・通水が最低限の目安で、空き家管理サービスや、日本に住むご家族にお願いする方法があります。手入れがされず管理不全空家と判断されると、固定資産税の住宅用地の軽減が外れ、税負担が重くなることもあります。

固定資産税は、海外にいても毎年かかります。名古屋市の家なら、名古屋市に納税管理人を届け出て、納税通知書を受け取って支払う人を決めておきます。

名義と住所の準備も大切です。2026年4月1日から、登記簿の住所や氏名が変わったら2年以内に変更登記をすることが義務になりました。海外へ引っ越して住所が変わった場合も対象で、海外に住む人は法務局が自動で住所を変えてくれる「スマート変更登記」を使えません。あわせて、日本国内の連絡先となる人の登記(国内連絡先)も検討します。日本の中に「連絡がつく人」を決めておくことが、持ち続けるための土台になります。

親から相続した家がある方へ|名義が親のままなら、帰国前に相続登記を

名義が亡くなった親のままの家は、日本にいるうちに相続登記を済ませるのがいちばんの近道です。

帰国を考えている方のなかには、親御さんから相続した名古屋の実家が、亡くなった親の名義のままになっている方も少なくありません。相続登記は、相続を知った日から3年以内、2024年4月より前の相続は2027年3月31日までにする義務があります。帰国後に手続きをしようとすると、住民票や印鑑証明書が取れず、遺産分割協議書への署名も現地の公証人の認証が必要になって、時間も費用もかさみます。

名義が親のままでは、売ることも、貸すことも、担保にすることもできません。帰国前に相続登記を済ませておけば、帰国後に売ると決めたときも、すぐに売却の手続きに入れます。外国籍の方の相続登記は本国の身分関係書類の取り寄せに2〜3か月かかることがありますので、帰国の予定が見えた時点で始めるのが安全です。

また、帰国して海外に住んだあとに日本の親御さんが亡くなり、日本の不動産を相続した場合は、相続による取得でも、外国為替及び外国貿易法にもとづいて取得から20日以内に日本銀行を通じて財務大臣へ報告する必要があります(自分や親族が住むための住まいなど、一部の例外があります)。帰国後の相続まで見すえて、親御さんに遺言を作っておいてもらうことも、ご家族の負担を減らす有力な方法です。

帰国前のチェックリスト|名義・住所・税金・ローン・口座・遺言

出国の半年前からこの順で確認すれば、帰国後に困ることはぐっと減ります。

帰国前に確認したいことを、順番に並べました。①登記事項証明書で、家の名義人と登記上の住所を確認する(名義が親のままなら相続登記から)。②売る・貸す・持つを決める。売るなら、出国日から逆算して半年前には査定を受ける。③売却や相続の書類への署名・押印は、印鑑証明書が取れる出国前に済ませる。④税務署と名古屋市に、納税管理人を届け出る。⑤住宅ローンの銀行と、火災保険の保険会社に連絡する。⑥日本の銀行口座は、海外に住むと使い方に制限がかかることがあるため、銀行に確認する。⑦遺言を作り、家族に家の資料の保管場所を伝える。⑧日本で連絡を受けてくれる人を決める。

一つひとつは難しくありませんが、帰国の準備で忙しい時期に、すべてを自分で進めるのは大変です。当事務所では、登記の確認から売却・賃貸の段取り、相続登記、遺言の作成まで、出国日に間に合うようにまとめてお手伝いします。

よくある質問|帰国と日本の家について多いご質問

Q. 帰国したあとでも、日本の家は売れますか?

はい、売れます。ただし、買主による売買代金の10.21%の源泉徴収(個人が自分や親族の住まいとして買う1億円以下の取引を除く)、翌年の日本での確定申告と納税管理人の届出、書類への署名の現地での認証が必要になり、帰国前に売るより手間と時間がかかります。

Q. 家を貸して帰国する場合、税金の申告は必要ですか?

はい、必要です。日本の家の家賃は日本で課税される所得なので、毎年日本で確定申告をし、そのために納税管理人を税務署に届け出ます。借りる人が個人で自分の住まいにする場合を除き、家賃の20.42%が源泉徴収されます。

Q. 住宅ローンが残っていても、帰国前に売れますか?

売却代金でローンを完済できれば、売れます。決済の日に代金でローンを返し、抵当権を消す登記を同時に行います。売却代金で足りない場合は、自己資金を足すか、銀行と相談しながら進める方法を検討しますので、早めにご相談ください。

Q. 帰国後に日本の親が亡くなったら、家の手続きはどうなりますか?

海外にいるまま相続の手続きを進めることになります。遺産分割協議書への署名は現地の公証人などの認証で行い、日本の不動産を相続で取得したら、20日以内に外為法の報告が必要です(住まいとして使う場合などの例外があります)。親御さんに遺言を作っておいてもらうと、手続きは大きく軽くなります。

まとめ|出国日から逆算して、半年前には動き始めましょう

売る・貸す・持つのどれを選んでも、準備は日本に住んでいるうちに。

母国へ帰る前に日本の家をどうするかは、売る・貸す・持つの三つから選びます。どの道を選んでも、出国して住民票がなくなると印鑑証明書が取れなくなり、税金の上では非居住者となって、手続きの手間が大きく増えます。帰国前に売れば通常の手続きで済み、帰国後に売ると買主による10.21%の源泉徴収と日本での確定申告・納税管理人の届出が必要になります。貸すなら管理会社・納税管理人・毎年の確定申告を、持つなら管理する人と国内の連絡先を、出国前に決めておきます。親から相続した家の名義が親のままなら、帰国前に相続登記を済ませておくのがいちばんの近道です。

名古屋のごとう司法書士事務所は、司法書士兼宅建士として、外国籍の方の帰国前の不動産の整理を、名義の確認から相続登記、売却・賃貸の段取り、遺言づくりまで、ひとつの窓口でお手伝いしています。帰国の時期が決まったら、まずは家の登記事項証明書(なければ固定資産税の納税通知書)と、出国の予定日が分かるメモを持ってご相談ください。出国日に間に合うスケジュールを、その場でお示しします。

ごとう司法書士事務所は、外国籍の方の相続手続きと相続した不動産の売却をひとつの窓口でお手伝いしている、名古屋市中区の司法書士・宅地建物取引士の事務所です(代表:後藤勝良)。所在地は名古屋市中区丸の内三丁目15番3号TCF丸の内ビル6階。地下鉄「久屋大通駅」(桜通線側1番出口)から徒歩5分、「丸の内駅」(桜通線側4番出口)から徒歩6分です。受付は平日9時から19時まで、土日祝日も事前のご予約でご相談いただけます。ご相談は基本無料です。

▶帰国前の家の売却・相続のご相談は、名古屋のごとう司法書士事務所へ。フリーダイヤル0120-290-939、またはごとう相続手続き相談センターからお気軽にお問い合わせください。


※本記事は2026年10月時点の法令・制度に基づいて作成しています。税金の特例や源泉徴収の取扱いは個別の事情によって異なりますので、実際のお手続きの際は税理士等の専門家にご確認ください。

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