【1棟マンションやアパートを相続売却する手引き】名古屋のごとう司法書士事務所

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【1棟マンションやアパートを相続売却する手引き】名古屋のごとう司法書士事務所

2025/02/09

まずはじめに

親族から1棟マンションやアパートを相続したものの、管理や維持が難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。不動産は大きな資産ですが、固定資産税や修繕費、空室リスクなど、所有し続けることで発生するコストや手間も少なくありません。そのため、売却を検討するケースも多いでしょう。

相続による不動産取得は、単なる資産継承ではなく、管理や運営、税務処理など多くの課題が伴います。特に、1棟マンションやアパートは、単独の居住用不動産とは異なり、賃貸経営という側面も持ち合わせているため、管理の負担が大きくなることが特徴です。相続人が不動産管理に慣れていない場合、適切な運営ができずに物件の価値が下がったり、空室が増えて収益が悪化したりする可能性があります。そのため、相続後の対応を早めに検討することが重要です。

また、相続した物件を所有し続けるか、それとも売却するかを決める際には、現状の不動産市場や税金の負担、相続人間での合意形成など、さまざまな要素を考慮しなければなりません。不動産の売却は、税務上の特例や優遇措置を適用することで負担を軽減できる可能性がありますが、適切な手続きを行わなければ思わぬ税負担が発生することもあります。そのため、売却を決断する際には、専門家の意見を参考にしながら進めることが賢明です。

本記事では、1棟マンションやアパートを相続した際の売却の流れ、注意点、税金について詳しく解説します。売却の判断をする際に押さえておきたいポイントを整理し、スムーズに手続きを進めるための知識を提供します。不動産の相続売却に関する不安を解消し、最適な選択をするために、ぜひ参考にしてください。

1棟マンション・アパートの相続売却の流れ

1. 不動産の評価・市場調査

まず、相続した物件の価値を把握することが重要です。不動産会社に査定を依頼することで、市場価格を把握できます。査定方法には「簡易査定」と「訪問査定」があり、正確な価格を知るには訪問査定を依頼するのが望ましいでしょう。

また、周辺の賃貸需要や売却相場を調査し、売却の適切なタイミングを見極めることも大切です。マンションやアパートの立地や築年数、管理状況によって価格が大きく変動するため、複数の査定を比較し、最も有利な条件を引き出せるよう準備を進めます。

2. 相続登記の確認・手続き

相続した不動産を売却するためには、まず相続登記が必要です。相続登記を行うことで、不動産の名義を相続人に変更できます。登記を済ませていないと売却手続きが進められないため、早めに司法書士に相談し、手続きを行いましょう。

相続登記には、被相続人の除籍謄本や相続人全員の戸籍謄本、遺産分割協議書などの書類が必要になります。これらの書類の取得には時間がかかるため、早めに準備を進めることが肝要です。

3. 売却の準備・媒介契約の締結

売却を決めたら、不動産会社と媒介契約を締結します。媒介契約には「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」の3種類があり、それぞれの特性を理解したうえで選択することが重要です。

また、売却前には物件の状態を確認し、必要に応じて修繕やリフォームを検討すると、より良い条件で売却できる可能性があります。特に築年数の経過した物件の場合は、外壁塗装や室内設備の補修を行うことで、買い手の印象を良くすることができます。

4. 売却活動・交渉

不動産会社が広告を出し、買主を募集します。購入希望者が現れたら、価格や条件の交渉を行います。売却価格は市場の状況によって変動するため、柔軟に対応することが求められます。

交渉時には、買主がローンを利用する場合の審査状況や、支払い条件、契約不適合責任(瑕疵担保責任)の範囲などを明確にしておくことが重要です。特にアパートやマンションの場合、入居者との契約内容や賃貸管理の引継ぎに関する条件を詰めておく必要があります。

5. 売買契約の締結・引渡し

買主と条件が合意できたら、売買契約を締結します。契約書には、売買価格や支払条件、引渡しの期日、契約不適合責任の範囲などを明記し、双方が納得した上で締結します。

売買契約が締結された後、残代金の受領と同時に所有権の移転登記を行い、鍵を引き渡して売却完了となります。引渡し時には、共用部分の管理会社への通知や、賃貸契約の引継ぎ手続きも忘れずに行いましょう。

相続売却の際の注意点

1. 税金の負担を把握する

相続した不動産を売却する際には、税金の負担をしっかり把握する必要があります。主に発生する税金として、譲渡所得税、住民税、相続税、不動産取得税、印紙税などが挙げられます。特に譲渡所得税は、売却価格と取得価格の差額に対して課税されるため、売却益が大きい場合は高額な税負担となることがあります。

また、相続税の申告期限は相続開始から10か月以内となっており、相続税を支払った後に売却する場合は、取得費加算の特例を適用することで税負担を軽減できる可能性があります。これらの税制優遇措置を適用するためには、事前に専門家と相談し、適切な手続きを進めることが重要です。

2. 遺産分割協議を円滑に進める

相続人が複数いる場合、不動産の売却前に遺産分割協議を行い、売却方針や利益分配について合意を得る必要があります。相続人全員の同意がないと売却ができず、意見が対立するとトラブルに発展することもあります。

遺産分割協議を円滑に進めるためには、事前に不動産の市場価値を査定し、公平な分割案を提示することが重要です。また、相続人間で意見がまとまらない場合は、司法書士や弁護士に仲介を依頼することで、スムーズな協議を進めることができます。

3. 物件の状態を確認し、適切な対応をする

売却前には、建物の状態を詳細に確認し、必要な修繕やリフォームを検討することが重要です。築年数が古い物件や、設備が老朽化している場合は、最低限の修繕を行うことで、売却価格を引き上げることが可能です。

ただし、大規模なリフォームを行うと、売却までの期間が長引いたり、費用がかかりすぎたりするリスクもあるため、事前に不動産会社や専門家と相談し、費用対効果を考慮した対応を取ることが重要です。

4. 売却のタイミングを見極める

不動産市場の動向を確認し、最適なタイミングで売却することが、利益を最大化するためのポイントです。市場価格が高騰している時期に売却すれば、高値での売却が期待できます。一方で、不動産価格が下落傾向にある場合は、早めの売却を検討することでリスクを軽減できます。

特に、賃貸中のアパートやマンションの場合、空室率が高くなると売却価格に影響を及ぼすため、売却前に賃貸状況を改善する施策を取るのも有効な戦略です。

5. 専門家のサポートを受ける

相続売却には、相続登記、税務申告、契約書作成、交渉など多くの手続きが必要となります。これらの手続きを適切に進めるためには、司法書士、税理士、不動産会社などの専門家のサポートを受けることが重要です。

特に、相続登記を行わずに長期間放置すると、売却時に手続きが複雑になり、相続人が増えることで権利関係がさらに複雑化する恐れがあります。そのため、相続が発生した段階で、早めに専門家に相談し、適切な対応を進めることが望ましいです。

1棟マンションやアパート特有の問題点

1棟マンションやアパートの相続売却には、戸建ての売却とは異なる特有の課題が存在します。そのため、これらの問題点を事前に把握し、適切に対処することが重要です。

1. 賃貸借契約の引継ぎ

マンションやアパートには既存の入居者がいることが多く、売却時にはこれらの賃貸借契約を適切に引き継ぐ必要があります。買主にとって、安定した賃貸収入が見込める物件であることが魅力となるため、契約内容の整備が求められます。一方で、契約内容が不明確だったり、滞納者が多かったりすると、売却価格に影響を与える可能性があります。事前に賃貸契約の整理や賃料滞納の解決を進めておくことが重要です。

2. 建物の維持管理と修繕の必要性

築年数が経過した物件では、建物の老朽化が進んでいる可能性があり、修繕の必要性が生じます。特に、外壁や屋根の防水工事、給排水設備の老朽化、エレベーターのメンテナンスなど、大規模な修繕が必要になる場合があります。売却前に建物診断を行い、必要な修繕の見積もりを取得することで、買主が購入後に想定外の負担を抱えないようにすることが重要です。

3. 管理会社との契約と運営状況

1棟マンションやアパートは管理会社と契約している場合が多く、売却時には管理契約の引継ぎが必要となります。管理会社との契約内容や管理状況を事前に確認し、買主にとってスムーズな運営ができる状態を整えることが求められます。管理費の未払いがないか、修繕積立金が適正に運用されているかもチェックポイントとなります。

4. 土地や建物の法的制約

1棟マンションやアパートは、都市計画法や建築基準法に基づく規制を受けるため、再建築が可能かどうか、用途地域の制限があるかを確認する必要があります。特に、古い建物の場合は現行の法律に適合していない「既存不適格建築物」となる可能性があり、建て替えや増改築が制限される場合があります。こうした法的制約を買主に明示し、トラブルを防ぐことが重要です。

5. 売却価格の適正な設定

1棟マンションやアパートは、収益物件としての価値が重要視されるため、一般的な不動産の査定とは異なる評価方法が用いられます。主に、年間の賃料収入をもとに計算する「収益還元法」によって価格が決定されることが多く、周辺の賃貸市場や利回りの相場を考慮しながら適正価格を設定することが求められます。過度に高い価格を設定すると売却が長引き、低すぎると損失が発生する可能性があるため、慎重に価格を決めることが重要です。

まとめ

1棟マンションやアパートを相続した際、売却するかどうかの判断は慎重に行う必要があります。売却を決めた場合、相続登記や税金の確認、不動産会社との契約など、多くの手続きが必要です。スムーズな売却を実現するためには、専門家に相談しながら適切な準備を進めることが大切です。

相続した不動産の売却を考える際には、まずその不動産を保有するメリットとデメリットを十分に検討することが重要です。所有し続ける場合、賃貸経営を続けることで収益を得ることが可能ですが、管理の手間や固定資産税、修繕費用などの負担も増えていきます。一方で、売却を選択することで、相続税の支払い資金を確保したり、資産を現金化して他の投資や生活資金に充てることができます。このように、相続人の状況や目的に応じた最適な選択を行うことが大切です。

また、売却を成功させるためには、事前の市場調査や物件の状態確認、適正な価格設定が不可欠です。市場の動向を見極め、売却のタイミングを慎重に判断することで、より有利な条件での取引が可能になります。特に、築年数の古い物件や空室率の高い物件は、修繕や賃貸管理の改善を行うことで、より良い価格での売却が期待できます。

さらに、売却をスムーズに進めるためには、信頼できる専門家のサポートを受けることが重要です。司法書士による相続登記の手続きや、不動産会社による売却活動、税理士による税務相談など、各分野の専門家と連携することで、手続きの煩雑さを解消し、安心して売却を進めることができます。

不動産の相続売却について不安がある方は、ぜひ当事務所までご相談ください。経験豊富な専門家が、売却の流れや税金対策などについて丁寧にサポートし、最適な解決策をご提案いたします。

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