最初に読みたい相続登記の手引き【名古屋のごとう司法書士事務所】
2020/06/19
相続開始後、相続登記をする時に最初に知っておくべきこと
相続がはじまって、不動産の相続手続きをしようとするときに、最初に確認してほしいことがいくつかあります。
不動産の相続手続きの事を相続登記と呼んでいます。
日本では、不動産を管理する国の制度があります。
これを登記制度といいます。
この登記に不動産の所有者の情報や不動産の面積などの情報を記録して、誰でも見れるようにすることで、不動産取引の安全を確保しようとするものです。不動産取引は、昔から詐欺などの事件が絶えません。最近でも、地面師による積水ハウスの事件がありました。大手の会社であっても、被害者になってしまう怖さがあるのです。
登記を理解して相続登記について正しい理解をしていきましょう。
今回は、名古屋の司法書士が、相続登記について入門的な話をしたいと思います。
1 相続登記って何?
相続登記とは、冒頭でも少しふれましたが、登記に記録されている所有者の情報を変更することです。
日本では、登記によって誰でも不動産の情報を得ることができます。所有者の住所氏名、住宅ローンなどの抵当権の有無などを簡単に調べることができるのです。「一見それって個人情報なのでは?」と思いがちですが、この情報公開によって、新たに不動産の取引に入ろうとする人に正しい情報を伝えることで、詐欺やトラブルに巻き込まれるのを防いでいます。
このような登記制度ですから、間違った情報を記録してはいけません。つまりうその登記申請や間違った登記申請は却下しなくては登記制度の信頼は保てないのです。今日、なぜ上記のような登記制度への信頼があるかといえば、登記申請が厳格に審査されており、実態に即した内容を登記が反映しているからです。
相続の場面で行う相続登記も同じく厳格に審査されます。適当に書類を作っていいかげんな申請を出しても、却下されることもあります。国の制度である登記記録にうその記載をすれば犯罪になる可能性だってあります。
相続登記の申請に添付した遺産分割協議書に他の相続人の印鑑を勝手に押して申請をすれば大問題です。相続登記に添付された書類は、一定期間法務局に保管されます。後日、争いになれば、利害関係人は添付書類を閲覧できます。裁判の証拠でも使われる可能性があるのです。
相続登記とは、登記されている不動産の所有者を、法律に従って相続で取得した相続人へ変更する手続きです。
一言で言えば、こんな感じですが、実際に相続登記が意味することは重要なことになります。相続登記後は、一般の人は、不動産の所有者が登記名義人である相続人にあると思ってくれるのです。取得した相続人は、遺産分割協議書などの証明書を示す必要はありません。
2 現時点では、相続登記を怠っても罰則はない
現時点では、相続登記をしていなくても相続人に罰金などのペナルティを与える規定はありません。
所有者不明な土地が全国で多数見つかっていたり、空き家問題もありますので、相続登記を義務化する動きはありますが、まだまだ法律で定まっているわけではありません。
しかし、いくら罰則等がなくでも、しなくてもよいもんでもありません。
不動産の相続登記はいつかは誰かがしなくてはいけなくなります。
相続不動産を売ったり、銀行の担保に入れる時はもちろんですが、人に貸したり不動産の所有者として何か契約が必要になれば、相続登記がなくてはできません。いくら相手方に遺産分割協議書や戸籍などを見せてもなかなか相手にしてもらえません。不動産を取得した相続人を特定するという法律判断をしなくてはいけませんから、相続の専門でもない一般の企業等はそのようなリスクを負いたくありません。相続の確定は、法務局が行い、取引の相手方としては相続登記後の不動産の登記記録を見て判断する方がずっと楽だし確実だからです。
3 相続登記をするなら登録免許税を納める必要がある
相続登記をするには実費がかかります。
具体的には、登録免許税という税金です。
相続登記などの登記事項の変更をする際に、登録免許税を納めます。ちなみに、登録免許税は、登記申請の内容によって異なります。一律ではありません。
また、この登録免許税は、相続登記を申請する相続人で計算をして、収入印紙などで登記申請時に納めます。あとから納付用紙が送られてきてコンビニ等で納めるような形ではありません。あくまで、相続登記を出すときには納めるものです。
登録免許税の額を左右するのは、不動産の価格です。
不動産価格に税率をかけて計算をしますので、高額な不動産では登録免許税が10万円を超えるような金額になることもめずらしくありません。名古屋市内の不動産でも相続登記で10万円を超えることはよくあります。
そして、この不動産の価格とは、固定資産税の評価額です。
固定資産税を計算するうえで、出されている不動産の評価額を相続登記の登録免許税を計算するときに使います。
4 相続登記の申請先は、不動産の所在地の管轄法務局へ
最後に、いざ相続登記を申請するときには、相続不動産の所在地を管轄している法務局に対して申請を出します。
もし管轄間違いをすると相続登記が却下される可能性もあります。却下されると添付した書類は戻ってこないので注意しましょう。
例えば、名古屋市中区であれば、名古屋法務局(本局)が管轄です。また、名古屋市名東区であれば、名古屋法務局名東出張所が管轄です。このように名古屋市内でも不動産の場所によって、管轄が異なります。名古屋市内であれは、何区にあるかで管轄を調べるようにしましょう。
まとめ
名古屋の司法書士が、相続登記の基本的なことを解説しました。
相続登記といっても、いざやろうとすると意外に奥が深く、難しいものです。一般的に相続登記は、面倒でむずかしいものとされています。添付書類を揃えるのも大変ですが、必要に応じて遺産分割協議書などの書類の作成も必要です。
相続登記の準備は、平日の昼間に動いて進めなくてはいけないことが多く、お仕事をされている方にはなかなか面倒で難しい手続きになっています。時間に余裕を持って進めるようにしましょう。スムーズに相続手続きを進めたい方は、相続登記を扱う司法書士に相談してみることをお勧めします。
ぜひご参考にしてみて下さい。