相続対策!共有関係の解消・売却について【名古屋のごとう司法書士事務所】

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相続対策!共有関係の解消・売却について【名古屋のごとう司法書士事務所】

2020/03/09

共有関係のリスクと売却の可能性

相続財産の中に共有不動産があるケースはよくあります。

昔の相続では、とりあえず、法定相続人で共有にしておくこともあったようです。

 

共有状態は、その後の共有者の相続により共有関係がさらに細分化されていきます。そのため、共有関係は早く解消をした方がよいとされています。

その方が、売却等の譲渡や将来の遺産分割がやりやすくなるからです。トラブルを回避することに繋がります。

 

生前に遺産を整理して相続人への承継をスムーズにするための対策になります。ご相続後であれば、ご自身の相続の際に配偶者や子に共有関係を引き継ぐことを避け、煩わしい問題に巻き込まないことに繋がります。

 

今回は、名古屋の司法書士が、共有不動産の解消と売却をテーマにお話しします。

 

 

1 不動産の共有関係とは

不動産の共有とは、一つの不動産を複数人で一定の割合でそれぞれ所有することを言います。

 

共有割合は、持分として登記されます。この持分は、各共有者が自由に譲渡できます。売買や贈与など自由に処分か可能です。

一方、売却などをする際には、不動産全体で売却になりますから、共有者全員の同意が必要です。これは持分割合に関係ありません。少しでも持分を持っている人がいれば、その人の同意も必要になります。ここが共有関係の煩わしいところです。
持分だけの売買は、法律上は可能ですが、実際はそのような厄介な持分を普通の人は欲しがりません。持分を専門に買い取る業者もいますが、当然、共有関係の解消にかかる経費を見込んで買い取りますので、ご希望の買取額にならないことがほとんどでしょう。無料でも引き取ってほしい気持ちがあれば別ですが、そうでない場合は、難しいかもしれません。

 

重要なことをしようとすると、自分だけで決定できません。保存行為といって、その共有不動産守るための行為は単独でも可能ですが、誰かに貸すときも他の共有者の意見を聞かないといけないのです。これは結構面倒で大変なことです。他の共有者の機嫌を損ねると、同意してもらえなくなることもあり得ますから。

2 不動産の共有関係の解消方法とは

共有関係の解消にはどのような方法あるのでしょうか?

実は、共有関係の解消はそれほど簡単ではないのです。一度共有関係を作ってしまうと、その解消に至るまでに時間を要することがあるのです。

以下、不動産の共有関係の解消法についてご説明します。

(1) 共有分割請求をする

各共有者は、原則、いつでも他の共有者に対して分割請求をすることができます。各共有者は、共有関係を解消させるために自由に分割請求をすることができるのです。

 

共有物分割請求とは、実際は話し合いです。共有者間でどのようにして共有関係を解消するか協議することになります。

この協議が整わない場合、次に説明をする裁判手続きをする必要があります。

 

任意で話し合いによる共有関係の解消の具体的な方法としては以下の方法があります。

【共有物分割の方法】
①土地を分筆して登記することで、各共有者が単独で分筆後の土地を所有する方法(現物分割)
②共有者の1人が単独所有する代わりに、他の共有者へ代金を支払う方法(価格分割)
③不動産を売却してその代金を分ける(代金で分割)

 

①は、測量費用がかかる可能性もあり、トータルで分筆登記までに至る費用がかかります。広い土地であればよいですが、そうではない場合は注意が必要です。わざわざ分筆しても、分筆後の土地がせまく、活用法がないなど資産価値を有しないときは意味がありません。

②は、共有者の1人が他の共有者の持分を買い取るイメージです。例えば、大半の持分を有する共有者が、それ以外の共有者の持分を買い取るようなケースです。

③は、共有のまま全員の同意で不動産を売却します。そして、通常は持分割合に応じて売却代金を受け取ります。

(2) 共有物分割訴訟

上記の共有物分割の協議が整わないで不調に終わった場合、強制的に解決を図る方法としては裁判です。

この裁判上での共有物分割請求を共有物分割訴訟と呼びます。

 

具体的な解決方法は上記①②③が考えられますが、裁判ですので、どのような解決になるかはわかりません。

なお、裁判の申立ては、他の共有者全員を相手に訴訟を提起する形になります。

3 共有不動産の売却

共有物分割請求でもありましたが、この共有不動産を売却するときは、共有者全員が売主になります。遠方などの理由で代理人を立てることも可能ですが、原則は、各共有者が売主になります。

 

売却代金や売買契約の内容などすべてにおいて、全員の同意が必要になります。安い代金に納得がいかずになかなか売れないこともあります。それぞれの状況により足並みがそろわないことはよくあります。各共有者でお金の必要度合いは違いますから仕方ありません。

 

売却代金は、持分割合に応じて取得することが原則だと思います。これとは異なる割合で代金を分ける場合は、贈与にならないように注意しましょう。贈与税等の余分な税金がかかっては勿体ないことです。

また、測量費用や建物解体費用、不動産売買仲介手数料、登記費用などの売却必要経費も持分割合に応じて負担をすることが原則だと思います。

 

 

4 共有と相続

これまで見てきたように、共有持分は厄介な問題です。

民法でも、共有状態を早めに解消すべく共有物分割請求など、共有関係を解消するための定めがあります。やはり、共有状態は特別な事情がない限り、解消すべきでしょう。

 

今は共有者間で平穏な関係を保てていたとしても、共有者の誰かに相続が発生してしまうと、状況が変わることがあります。共有者の相続人がどのような考えを持っているかは蓋を開けてみなければわかりません。共有とは、そういった不確実な関係なのです。

自分にも相続が発生すれば、このような共有者の負担を相続人となる、配偶者や子供たちに引き継がせることにもなりかねません。相続の場面で一番喜ばれる財産は、現金や預貯金です。やはり、相続した人が自由に使い道を決められるのでいつの時代でも現預金が一番好まれます。

 

 

まとめ

以上、名古屋の司法書士が、共有関係の解消方法と共有不動産の売却について解説しました。

 

一般的には、共有関係は望ましくないと言われています。その理由は、変更や処分などをする時に他の共有者の意見を聞かなくてはいけない点です。それぐらいと思いがちですが、意見の相違はよく起こることです。不動産は固定資産税の支払いうや維持管理をしていかなくてはいけません。共有者間でケンカになると何も決定できずに活用ができなくなります。余分な経費だけを負担していくことになりかねません。ましてや、共有者に相続が発生すれば、さらに問題を複雑化させます。自分の配偶者や子供にそのような問題を引き継がせることは心苦しい気持ちになってしまいます。

 

やはり、不動産の場合は、活用や使用を前提にする資産ですから単独所有で自由に意思決定ができるようにしておきたいものです。

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