不動産に関する相続対策を司法書士が解説します【マンションやアパートの建築編】

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不動産に関する相続対策を司法書士が解説します【マンションやアパートの建築編】

2020/03/03

借入をしてマンションやアパートを建築しても大丈夫?

不動産をめぐる相続対策には、マンションやアパート等の賃貸物件を建築する方法があります。

建築をすることでどのような効果を得て節税に繋がるのでしょうか。

 

名古屋の司法書士が、相続に関する生前対策として代表選手である賃貸物件の建築について解説します。

1 マンションやアパートを建築後の収支や管理の問題

この点、マンションやアパートなどの賃貸物件を建築すると、相続税の節税につながるケースもあります。

 

しかし、冷静になって考えてみましょう。

建築後はマンションやアパートの所有者・オーナーとなり、物件を管理していかなくてはいけません。借入をしていれば、借金を背負ったことになりますから、毎月返済のプレッシャーを感じることになります。

 

【建築後の不安材料】
①今後の建築エリアでの賃貸需要の変化
②持ち家志向の高まり
③賃料の値下げや滞納
④部屋の退去時の修繕費用の発生
⑤地価の下落
⑥定期的に発生する建物メンテナンス費用
⑦一定期間で行う必要のある外壁塗装などの大規模修繕工事

 

中には、不動産会社の営業マンを信用しきってしまい、言われるがままに契約をしてマンションを建築するも、収支が合わずに銀行への返済が苦しくなり、売却をするケースもあります。それでも、トータルで考えると損をしていなければ、良いですが、そういうケースばかりでもありません。

 

ご自身の置かれている状況によってきちんと判断をする必要があります。

 

 

2 得られる相続税の節税効果

相続税の計算上、借金などの負債を持つことは有利になります。財産から引けますので。

その点、銀行でローンを組んで負債を増やすことは相続税上のメリットはあります。

 

以下土地と建物のについてみていきます。

(1) 土地の相続税評価額

土地は、相続税を計算する時、路線価で計算をします。その際、例えば土地を更地で相続すると「自用地」として普通に評価されてしまします。

※「自用地」とは、自分で自由に利用できる土地のことです。自宅の敷地である土地も「自用地」です。

 

しかし、その土地のマンションやアパート等を建築すると、「貸家建付地」となり、相続税評価額を下げることができるのです。

 

例えば、自用地評価額が1億円の土地を持っていれば財産評価額は1億円ですが、マンションを建築すれば、土地の評価額が8000万円になる場合もあり得るのです。明らかな節税効果が期待できます。

 

(2) 建物の相続税評価額

建物の相続税上の評価額は、実際のかかった建築費用等ではありません。固定資産税の評価額です。固定資産税の評価額は、毎年送られてくる固定資産税の納付書面にかかれています。もしそれがなくても、市区町村や名古屋であれば市税事務所で「評価証明書」ととれば、評価額が書かれています。税務の証明の窓口で申請し交付を受けます。

 

この建築費用等と固定資産税の評価額を比べると、かなり固定資産税の評価額の方が低いのです。

つまり、相続財産の評価額をかなり下げることができます。

 

例えば、現金や預金で1億円持っている場合は、相続税評価額は1億円ですが、それを使ってマンションを建築すれば、固定資産税の評価額が6000万円になることもあります。相続財産が4000万円減ったことになりかなり節税効果がでてきます。

 

さらに、建物を人に貸す(貸家にする)ことでさらに評価額を下げることができるのです。

3 賃貸建物の所有者の違いによる差

建築する建物の所有者によっても、節税効果に差が生じます。

 

例えば、土地と賃貸建物共に親の場合は、土地や建物の資産は減りますが、賃料収入が増えるのでその分の資産は増加します。

逆に、親の土地に息子が建物のを建てれば、建物は関係ありませんが、土地は、無償で息子に貸していれば、自用地となり資産を減らす効果がありません。また、賃料は、建物所有者が得るため、親の資産には関係ありません。

まとめ

今回は、名古屋の司法書士が、相続対策でよく聞くマンションやアパートを建築する方法について解説しました。

 

土地を更地や自宅のままであれば、自用地として原則通りの評価額が適用されますが、その土地にマンションやアパートを建築すると貸家建付地となり、土地の評価額を下げられます。

土地にマンションやアパート等を建てれば、建築費用ではなく固定資産税の評価額で相続税は評価されます。さらに建物を人に貸せばさらに評価が下がります。

このようにうまく組み合わせると大きな節税効果が期待できます。

 

しかし、良い面ばかりではありません。

大きな金額が動く話ですから、リスクも生じます。多額のローンで借金をするかもしれませんし、建物を維持管理していく所有者としての責任や費用負担を覚悟する必要があります。将来の収益性をしっかり検討するようにしましょう。

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