兄弟姉妹が相続人になる相続手続き【名古屋のごとう司法書士事務所】
2020/12/03
兄弟姉妹が相続人になる場合の注意点
相続手続きが複雑になりやすい兄弟姉妹が相続人の場合についてしっかり解説します
1 相続人が多くなりやすい
兄弟姉妹が相続人になる場合、相続人の数が多くなるケースが多いことをご存知でしょうか?
特に今ご相続が発生する世代は、兄弟姉妹が今と違ってたくさんいる世代です。
兄弟姉妹が5~6人いるのが当たり前のような時代です。
そうなれば、当然遺産分割をする相続人の数が増える形になります。
兄弟姉妹の中の良さは家族によって異なるでしょうが、配偶者や父母がいるような場合と違って、兄弟姉妹の中で対等な関係性になりやすいことも重要な点です。兄弟姉妹は、法定相続分が平等です。上から押さえる父母もいません。そうなると、相続人である兄弟姉妹は、自由に発言をしてしまって、他の相続人とケンカになるケースもあるようです。
相続人となる人が増えれば増えるほど、上記のような懸念が増えます。
私の印象では、兄弟姉妹が相続人になるケースは、仲がよいか悪いかはっきり出やすいかなと感じています。
また、もうひとつ兄弟姉妹が相続人となる場合で感じるのは、面倒見がよい兄弟姉妹も実は多いという点です。
兄弟姉妹は、人生で最初の他人ともいわれることがあります。
しかし、今とは違い、幼い時に兄弟姉妹や家族で助け合ってきた人も多く、結婚せず子もいない兄弟姉妹の最後の面倒を他の兄弟姉妹が見るケースも比較的多いのです。面倒や世話をする人がいないから仕方ないとはいえ、自分にも家族がいる中で親でもなく兄弟姉妹の面倒見ることは言葉では言えないくらい大変で難しいことだと思います。他人ではわからない苦労も多いことでしょう。
また、兄弟姉妹が先に死亡している場合に起こる「代襲相続」にも注意が必要です。相続人となる兄弟姉妹自身も高齢なことが多く、場合によっては先に亡くなっていることもあります。そのような場合は、いわゆる「代襲相続」としてその先に亡くなった兄弟姉妹の子が相続人となります。
このようにして代襲相続の場合にもやはり、相続人が増えてしまう傾向があります。
ところで、相続手続きの途中で相続人たる兄弟姉妹が亡くなった場合はどうなるかご存知ですか?
前述の代襲相続とは亡くなる順番が異なります。この場合は、実は通常の相続の話になります。つまり、2つの相続が連続した起きた場合ですから、亡くなった兄弟姉妹に配偶者と子がいれば、配偶者と子が相続人になります。このようなケースを通常は、「数次相続」と呼びます。
したがって、この場合でもやはり相続人が増える可能性が高いのです。
いずれにしても、相続人が多くなるので、トラブル回避のためにも、司法書士などの専門家に相談して、客観的な調整役を入れて相続手続きを円滑に進めることが望ましかもしれません。通常は、司法書士などの相続手続きの報酬は、相続財産から精算することが多いでしょうから、相続人全員にとってその方が都合がよいことも多いようです。
2 各相続人が遠方にいることも多い
地方出身の方だと、就職の関係で兄弟姉妹が全国に散らばってしまうケースもあるようです。
女性であれば、嫁いだ先での事情もあるでしょう。
年賀状のやり取りや電話番号や住所は知っているけど、ここ数年は会っていないこともあります。
このような状態で相続が開始するとどうなるでしょうか?
兄弟姉妹ですから、基本的には相続手続きをする強い動機がなければ、そこまで積極的になれないこともあるようです。しかし、相続手続きは誰かが音頭を取ってやる必要があります。相続必要書類として、戸籍を集めるにしても誰かがやらなければいけません。しかし、戸籍集めは費用も時間もかかります。
さらに兄弟姉妹で遠方であれば、なかなか顔を突き合わせて話し合う機会もありません。葬儀や法要などのタイミングだけでは、なかなか相続について詳細に話し合うには至らないことも多いでしょう。故人を想う場ですから相続財産の話をためらう方もいます。
兄弟姉妹で被相続人に対する気持ちの温度差もあるかもしれません。
トラブルにならないように注意が必要といえます。
3 兄弟姉妹が互いに疎遠なことも多々ある
昔は兄弟姉妹が多い話をしました。
多い分、各兄弟姉妹間での関係性が希薄になることもあります。
また、兄弟姉妹が遠方に住んでいることも多いので、会う機会も少ないかもしれません。やはり、会わないと次第に疎遠になることは誰にでも起こり得ます。
急に役所から電話があって、兄弟姉妹の介護や世話をしてほしいと言われるかもしれません。兄弟姉妹が相続人になる場合は、通常、被相続人の方は独り身の方が多いです。最後を孤独に迎える方もいます。
また、面倒を見たくても、兄弟姉妹も高齢で誰かの世話や介護をすることが難しいこともあるでしょう。
このように相続人が疎遠な場合は、ちょっとした行き違いでトラブルになることもあります。高齢となり自分の考えに固執してしまったり、顔を見ない電話での会話では相手の表情も雰囲気もわからないので誤解も起こりやすいです。さらに慣れていない相続手続きの面倒が加われば、ストレスでイライラして他の相続人にあたってしまうこともあるでしょう。
遺産分割をする際には、単純に平等に相続する形では納得できない相続人が現れても不思議ではありません。
相続人だけで話し合うのではなく、間に客観的な立場の人を入れて間を取り持ってもらうことも有用でしょう。
まとめ
以上、名古屋の司法書士が、相続開始後、兄弟や姉妹が相続人になるケースについて解説しました。
いかがでしたか?
相続は、亡くなった人の数だけ相続の形があります。それぞれの事情に合わせて手続きをしなくてはいけません。
そんな中でも、兄弟姉妹が相続人になる場合は、注意が必要です。
相続人同士が仲が良い場合でも、相続人が多い、相続人同士が遠方などの事情により、必要書類の収集や準備に相当の時間と労力を要することも少なくありません。相続人全員がする必要はありませんが、誰かがしなくてはいけません。不動産の相続登記など、相続手続きの完了は少し時間がかかることを頭に入れておいた方がよいかもしれません。
一般的には、紛争性や緊張感のある場面では、中立な第三者が間に入ることで話し合いが円滑に進むことがあります。相続とはそういう場面です。相続財産の取得は、無償で財産を受け取ることです。誰しも多少なりとも相手の腹を探りがちです。それを相手に知られれば、関係性はギクシャクしていきます。そうやってトラブルや紛争になっていきます。
不安な方は、司法書士や弁護士など、相続に関する法律や手続きの専門家を利用して、円満な相続を実現していきましょう。