相続の途中で相続人が死亡したとき【名古屋のごとう司法書士事務所】
2020/06/24
相続手続きが完了する前に、相続人が死亡したときはどうなるの?
相続がはじまって、相続手続きが完了するまでに相続人が亡くなってしまうことがあります。
また、兄弟姉妹が相続人になる場合では、相続人となる兄弟姉妹も高齢であることがあり、その場合は相続の途中で相続人に相続がはじまってしまうことがあります。
はたして、相続人に代わり子供が代わりに遺産分割協議をするのでしょうか?
このように相続人が死亡した場合は、実は注意すべきポイントがあるのです。
被相続人より先に亡くなっているのか、被相続人の後に亡くなるかで誰が相続人になるか違う場合があるのです。
相続人を間違えば、間違った相続人でした遺産分割協議は無効になります。改めて正しい相続人全員で遺産分割協議をやり直す必要があるのです。
ここでは、名古屋の司法書士が相続人が死亡した場合について注意点を解説します。
1 相続人が、被相続人の死亡後に亡くなった場合
相続が開始して後に、相続人が死亡した場合は単純です。
2つの相続が発生したと考えればよいのです。2つ目の相続人の相続は、通常の相続の場面と同じように配偶者がいれば、必ず配偶者は相続人になりますし、その他には、子供、父母等の尊属、兄弟姉妹の順で相続人が決まってきます。
順番に相続を考えていけば、きちんと整理できます。
配偶者と子供がいる家庭では、そのまま配偶者と子供が亡くなった相続人の相続権を承継します。
つまり、当該遺産分割協議には、配偶者と子供が参加をして実印押印や印鑑証明書の提出が必要になるのです。
この場合、子供が未成年者の場合は、注意が必要です。相続人である配偶者は、相続人である子供を代理して遺産分割をすることができません。このような状態を、「利益相反」といいます。このような時には、裁判所に特別代理人を選任してもらって遺産分割協議をして相続登記等の相続手続きを進める形になります。
また、もともと亡くなった相続人が固有で持っていた財産についても上記のとおり、配偶者と子供が遺産分割協議をします。この場合でも、やはり、特別代理人の問題は同じです。
この場合の問題点は、やはり2つ目の相続の相続人が、1つ目の相続に関して何ら拘束を受けないという点です。
つまり、1つ目の相続で相続人がある程度まで話し合っていたとしても書面化することなく、口約束レベルではなかなか証拠になりません。本当に知らない場合もあるでしょうし、知らないとしらを切られてはどうしようもなくなるかもしれないのです。2つ目の相続の相続人は、自由に法定相続分を主張するケースもあります。法的には法定相続分を主張すること自体は違法でも何でもありません。ここにこの問題の難しさがあります。
2 相続人が、被相続人より先に死亡した場合
被相続人より先に相続人となるべき人が亡くなっている場合は、どうなるのでしょうか?
相続開始の時点では、相続人として存在していませんから、相続人から外れてしまうのでしょうか?
実は、この場合でも代わりに相続人になる人がいる可能性があるのです。
相続人が被相続人より先に亡くなっている場合、その相続人の子供が相続人になります。
このような相続を、「代襲相続」と呼びます。
しかし、この代襲相続の場合でも、相続人がもともと子供の立場で相続人になっているのか、兄弟姉妹の立場で相続人になっているのかで少し違ってきます。
子供の場合は、その子供に何代でも相続権が承継されていきますが、兄弟姉妹の場合は、その子供だけ、つまり一代限り相続権が承継されます。
例えば、兄弟姉妹が相続人になる場合で、被相続人より先に相続人がなくなっているとします。この場合、相続人である兄弟姉妹の子供(甥や姪)が相続人になり得ますが、その甥や姪も先に亡くなっているような場合に、その甥や姪の子供には当該相続権は承継されません。
なかなかないケースですが、理論上はこのように法律で決まっています。
このような代襲相続の場合では、代襲相続人は被相続人との関係性が薄いことが多いので、ドライな判断をすることもあります。被相続人の生前に何らの関係性もないため、他の相続人からは棚から牡丹餅のような形で相続財産をもらおうとしているように映ります。
もちろん、法定相続分は法律で認められた権利です。権利を行使しても何ら問題ではありません。
ただし、実際上は、被相続人の最後にいろいろとお世話をして尽力された方がいれば、その方の苦労分を相続分に反映させたいと思う気持ちが生まれることも普通のことかもしれません。この辺りの法律と実際上の感覚の乖離がこの問題の難しくさせてしまっています。
最後に
以上、名古屋の司法書士が相続人が死亡した場合の相続への影響について解説しました。
一見すると、相続の順番なんて間違えないように思いがちですが、交流のない相続人を戸籍で追っている時には、亡くなった情報がないことがありますので、注意が必要です。戸籍を読み解いて相続の順番を正確に把握して相続にを特定させなくてはいけません。手書きの戸籍や古い戸籍は読みにくい字や表現になっていることがあります。見慣れていない戸籍はどこに何が書いてあるのかわかりにくく、間違ってしまう可能性があるのです。
相続人となるべき、相続人の子供を外して遺産分割協議をしても無効になってしまいます。また、間違った遺産分割協議をしても相続登記などの各種相続手続きの際に必ず無効な遺産分割協議だとわかってしまいます。隠して相続手続きをすることはできません。
もし、相続人が代襲相続で子供になるのかなど、迷われるときは、相続の専門家に確認をするようにしましょう。相続人の特定で間違うと、相続手続きの根底が崩れてしまいます。
十分注意して確実な相続手続きを実践していきましょう。