名古屋の司法書士が相続を解説します【ごとう司法書士事務所】
2020/04/14
名古屋で司法書士をやっていて感じる最近の傾向とは?
司法書士の仕事をして10年以上経ちますが、司法書士試験に合格をし、司法書士登録して仕事を開始した当初に比べると世の中がずいぶん変わったなと思います。
時代の流れとともに司法書士自身の仕事も変化しますが、相続においてもそれは顕著に表れています。
私が司法書士として仕事を開始した平成16年ぐらいは、少なくとも司法書士には登記などの手続きをいかに確実にスピーディーにすることを一番に求められていた気がします。しかし、最近は様変わりしました。登記などの手続きも当然行いますが、その前提となる法律問題への言及も大切になってきています。
登記などの手続きはあくまで問題解決の最後の手続きです。その前提として何をすべきかの判断が重要になってきています。特に相続では、相談する司法書士によって受けるアドバイスが異なることも十分考えられます。
今回は、名古屋の司法書士が、個人的に感じている最近の相続の傾向についてお話しします。
1 生前対策の相談が急増!?
相続対策といっても、何も死んだ後のことだけではありません。
むしろ、相続税対策も同様ですが、遺言や家族信託契約、生前贈与などを利用してトラブルのない思い通りの遺産承継の道を作ることが大切なのです。
昨今は、終活といった言葉をよく目にします。エンディングノートも売られています。
高齢者の方も自然に終活を意識する機会が増えたのではないでしょうか。また、ご家族が相続でトラブルになることを心配して、話し合う機会も増えているようです。
昔は、「うちはもめないから」といって気楽に構えていたケースも多かったですが、最近はどうもそう簡単にはいかないようです。
まず、インターネットの世界が広がったことで、情報を誰もが気軽に得ることができようになりました。これは、最低限の相続の情報は誰でも手に入れられるということを意味します。ただし、インターネットで得られる情報はあくまで一般論としての相続の知識である点には注意が必要です。すべてのケースで掲載内容が当てはまるわけではないからです。
相続人は自分の権利や義務を知ることができます。しかも知ろうと思えば簡単に。法定相続分についてもすぐにたどり着くでしょう。ここで相続における自分の最低限の相続取得分を知るのです。そのうえで、遺産分割協議に望みますから最初から一部の意相続人が相続財産をひとり占めするような話をすれば、喧嘩になります。少なくともこの段階で多くの相続人は、ネットで調べたり、司法書士や弁護士などの相続の専門家へ相談をするケースが多いです。実際、そのような相続相談を司法書士の私自身も多く受けています。
このような現状を踏まえて、生前に本当に財産を承継させたい人に確実に渡す方法を検討すべきなのです。
相続のトラブルで困るのは、残された相続人です。場合によっては相続人同士で裁判をすることもあるでしょう。円満で公平な相続や遺産分割を目指して早めに対策をとりましょう。
2 遺言って実際はどうなの?
相続を考えるうえで、遺言は重要なものです。
一般の方も理解しやすく遺言であればすんなり作成に納得されることが多いです。
時間に余裕があるのであれば、やはり公正証書遺言の作成が一番でしょう。
ただし、本人の体調などによっては、すぐにでも遺言を作成しなくてはいけないこともあります。そのような場合は、自筆で書けるのあれば、とりあえず、自筆で遺言書を作成する自筆証書遺言を作ることが良いでしょう。司法書士や弁護士などの法律の専門家に相談をしながら作成すれば、あとから無効になることがありません。
ひとまず自筆証書遺言を作成して、落ち着いたら公正証書の遺言を作成する方法もあります。その場合は、公正証書の遺言を作成後、自筆証書遺言を破棄すればいいのです。基本的には最後にかかれたものが有効ですが、ややこしくなるので新しい遺言を作成後は、速やかに破棄しましょう。
名古屋で司法書士をやっていても、このような相談は最近多くなっています。
やはり、一般の方の権利意識の高まりがあります。相談時に相続に関して一から説明をする機会は減りました。皆さんなにがしの情報を得たうえで、その先のことに関して知りたくて相談にやってこられます。
その意味では司法書士自身にもより高度な知識や経験が必要になったと言えます。
遺言の相談に来られて、生前贈与の手続きをしたり、家族信託契約のご依頼を頂くこともあるのです。根本の悩みをお聞きすることでさまざまな角度から最適な方法をご提案するようにしています。
3 相続放棄はみんなしているの?
相続放棄の相談も増えました。
これもインターネットの影響があるのではないかと思っています。昔は、相続放棄の手段すら知らずに、親の借金を子が当然のように返済していったこともあるでしょう。相続放棄なんて方法を知りませんから、司法書士や弁護士などの相続専門家への相談も選択肢にありません。
相続と借金に関するキーワードでグーグルなどで検索をすれば、相続放棄に関する記述が載ったサイトにたどり着くでしょう。そこではじめて、法律で合法的な解決手段があることを知るのです。
相続放棄の相談では、やはり、不動産や預金などのプラスの財産がほとんどなく、借金だけがある場合が圧倒的に多いです。
「たいした財産がないが、隠れた借金がありそうで怖いから念のため相続放棄をしたい」こんな方もいました。
原則相続開始後、相続放棄は、3カ月以内に申し立てる必要があるので迷われるようならすぐにでも司法書士や弁護士などの相続の専門家へご相談されることをお勧めします。
なお、ここでいう相続放棄とは民法で定められている法律上の相続人ではなくす方法です。
たまに誤解がありますが、単に遺産分割協議において取得する財産が要らないという意味での相続放棄ではありません。
遺産分割協議で単に財産を取得しない場合は、相続人であり続けることに変わりありません。
つまり、もし、被相続人に債務があれば、当然相続することになります。仮に遺産分割協議で際の承継を特定の相続人に定めていても関係ありません。相続人の間では成立する話ですが、相続とは関係ない債権者との関係では債務は法定相続分で承継されてますから、債権者が法定相続粉で各相続人へ請求をすることは可能です。
ただし、そのような場合でも、実際は、債権者も誰かが支払ってくれればよいので、いきなり各相続人へ法定相続分の請求をすることは珍しいでしょう。まずは、相続人代表者などに対して話をして円満に支払ってもらう方法を取ってくるはずです。債権者としても手間をかけないで債権回収を図りたいでしょうから。
相続放棄には、相続放棄後、相続人がいいなくなる場合の最終的な財産管理の問題もあります。相続財産管理人を裁判所に選任してもらえばいいですが、実際は、費用の問題もあり、そう簡単にかないでしょうから注意が必要です。
まとめ
以上、名古屋の司法書士が、相続に関して自分自身の経験に基づいてお話ししました。
相続で何かお悩みの方はご参考にしてみて下さい。
相続の問題は、時に誰にも相談できないことがあります。親友や仲の良い人であっても。相続はそれだけ繊細な問題なのです。この手の相談は事情を知らない第三者の方が話しやすいこともあります。
相続は法律や手続きが複雑でとても面倒です。最初はいろいろなことにチャレンジしたが、無理だと思って相談依頼に来た方も多くお見えです。そんな時は信頼のできる専門家へ相談してみましょう。きっと解決の糸口が見つかるはずです。