え?自筆証書遺言を法務局に保管してもらえるの?【名古屋のごとう司法書士事務所】
2020/02/26
遺言書の新制度が2020年7月10日(金)からスタート!!
法務局における自筆証書遺言の保管
いよいよ2020年7月10日より自筆証書遺言の法務局保管制度がはじまります。
従来より利用しやすくなった自筆証書遺言の更なる利用促進が期待されています。
自筆証書遺言のは、作成しやすいことからお手軽に作成されてきたものですが、要件が厳しかったりしてその適法性や有効性が問題視されてきました。また、遺言の保管方法によっては、相続開始後発見がされないようなケースもありました。
遺産分割後に遺言が発見されて、遺産分割協議が無効になるなどトラブルに発展するケースもあり、相続人の間で紛争が起こり、問題を複雑化させていました。
ここでは、新法である「法務局における遺言書の保管等に関する法律」でスタートする「自筆証書遺言」の保管制度について概要をご説明いたします。
1 自筆証書遺言の保管制度とは
個人で保管するしかなかった遺言書を、国が保管してくれる制度です。
この制度を利用できる遺言書は、「自筆証書遺言」のみです。
これにより、法務局で保管された遺言書の情報に基づき、相続開始後、遺言書情報証明書を言う遺言内容の記載された証明書の交付を受けて、不動産の相続登記や預貯金の相続手続きを行います。
さらに、この制度を利用すれば、相続開始後の家庭裁判所の検認がいりません。
この制度により、従来の自筆証書遺言の簡易作成ができるメリットを残しつつ、保管方法の不安等により、さらなる利用が見込まれます。これにより、遺言書の改ざん等の紛争防止にもつながります。相続トラブルを減らすことができまます。
2 遺言書の保管申請手続きは?
詳細はまだ未確定ですが、いくつかわかる点をご紹介します。
保管対象となる遺言書は「自筆証書遺言」です。封印もされていないものです。
また、申請窓口は、全国どこの法務局でもいいわけではありません。
遺言者の住所地もしくは本籍又は遺言者が所有する不動産を管轄する法務局に対して申請を行います。
また、この申請には、遺言者から管轄法務局へ出頭しなくてはいけません。司法書士や親族などの代理人ではできません。
一度保管された遺言書は、閲覧をすることができますし、撤回することもできます。つまり、書き直しは可能です。
しかし、この場合も遺言者自身が法務局へ行く必要があります。
遺言者が生きている間は、遺言者本人以外の推定相続人等は閲覧等を行うことができません。
まとめ
以上、自筆証書遺言の保管制度の概要をお話ししました。
この他にも相続法の改正により、自筆証書遺言の作成の要件も緩和されました。この法務局への保管制度と合わせて遺言書の利用促進につなげて相続の紛争防止に役立てるものです。
自筆証書遺言の変更点や公正証書遺言との違いやメリットデメリットについては、別の機会に解説したいと思います。また是非ご覧下さい。