生命保険金は遺産の対象になるのでしょうか?【名古屋のごとう司法書士事務所】

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生命保険金は遺産の対象になるのでしょうか?【名古屋のごとう司法書士事務所】

2020/02/21

遺産分割協議に生命保険金を含めるべき!?

生命保険金とは、被保険者の死亡が発生した場合、保険会社が保険受取人に対して、約定の保険金を支払う場合のお金です。

 

会社勤めの人などは、会社に出入りしている生保レディと呼ばれた人たちの勧誘により、保険契約を結んだ人も多いのではないでしょうか。家族のためということで、念のため入った方も多いと思います。

 

この生命保険金の請求権は、被保険者の死亡により発生するため、この保険金請求権が遺産となり、遺産分割協議で話し合うような対象か否かを迷われると思います。遺言のように承継先を指定しているようなものと思えば、相続人全員で遺産分割できそうにも思えます。

 

そこで、生命保険金請求権が遺産に含まれるかが問題となります。

以下、名古屋の司法書士がこの点を解説してみたいと思います。

1 受取人が相続人のうち「特定の人」の場合

この場合、生命保険金は、相続人が、相続による承継ではなく、保険契約に基づき受領するものであるため、保険金受取人の固有の財産とされます。つまり、遺産には含まれません。

 

したがって、遺産分割の対象とはならないのです。

 

 

2 受取人が「相続人」の場合

契約上、保険金受取人が「相続人」の場合も、保険金受取人たる相続人は、相続により承継するのではなく、保険契約に基づき承継するとされています。つまり、保険金受取人が取得する固有財産となり、相続財産には含まれません。

 

よって、遺産分割の対象とはならないのです。

 

相続人が複数人いる場合の取得割合については、受取人が平等に取得するという考え方と相続分に従って取得するという考え方がありますが、最高裁は、相続分によって取得するとしています。

3 受取人が「被相続人」の場合

保険契約、保険約款、保険法等により、「遺族」又は「法定相続人」が保険金受取人になります。ただし、これらの受け取りは、保険契約に基づき保険金を受け取るため、受取人の固有財産となります。

 

つまり、遺産分割の対象にはなりません。

 

また、取得割合については、適用される法律や保険約款等により定まります。ケースごとに確認をするようにしましょう。

4 相続税における生命保険金の取り扱いは?

相続税の課税は実体を重視します。よって、往々にして法律の判断とは異なる取り扱いがなされます。今回の生命保険金についても実は同じく取り扱いが異なるのです。

 

結論としては、生命保険金は、相続税の計算における相続財産に含まれます。
※ただし、後述の保険料負担者は要確認!

 

相続税上は、法律上は固有財産とされることもあり本来の相続財産には該当しませんが、相続財産とみなされる取り扱いになっています。「みなし相続財産」と呼ばれています。

 

注意点は、「保険料の負担者」を確認することです。

保険料負担者が被相続人であれば、相続税として課税されますが、被相続人以外の人が保険料を払っていた場合、その保険料を払っていた人が受取人であれば「所得税」、保険料負担者以外が受取人であれば「贈与税」が課税されます。このように、税務署は実体を見て課税の判断をしているのです。

※相続税、所得税、贈与税が重複して課税されるわけではなく、実体をみていずれかの名目で課税するという意味です。

 

ちなみに、以下の一定額は相続税の計算の際、非課税になります。

保険金の非課税限度額=500万×法定相続人の数

 

 

まとめ

以上、名古屋の司法書士が解説しました。
結論としてはいずれの場合も、保険金受取人の固有財産とされます。つまり、遺産分割の対象にはなりません。

 

よって、遺産分割をしてしまうと、保険金受取人が受け取った保険金を別の相続人へ贈与したような形になりかねませんので、注意しましょう。

 

また、保険料の負担者が被相続人であれば、相続税における相続財産には含まれる形になります。保険金額が高額になることもあるので、思わぬ相続税が発生することがあります。相続税の申告は相続開始後10カ月以内です。相続税の納税も10カ月以内にするため、支払い原資も確保するようにしましょう。

 

相続を正しく理解し、手続きを間違えないようにしましょう。

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