相続人を排除又は相続させない手続きとは?【名古屋のごとう司法書士事務所】
2020/01/14
1.親子の縁は切れない
法律では、親不孝な息子を理由なく勝手に縁切りすることはできません。
相続放棄の手続きがありますが、こちらは被相続人が生前に行うことはできません。親がいなくなった後に、息子が選択して行う手続きです。
また、遺言書で他の相続人にすべての財産を遺贈するような遺言を作成し、その一方で、親不孝な息子には遺留分放棄手続きをとらせる場合があります。理屈では可能ですが、親不孝な息子が素直にこの手続き気に協力する可能性は低いでしょう。
2.相続人の廃除
親不孝息子が、被相続人に虐待や侮辱的な行為を繰り返している場合など、廃除事由にあたるようなことがあれば、家庭裁判所に廃除の手続きをすることができます。
ただし、廃除をしても、その廃除した子が代襲相続人として、被相続人の遺産を承継します。
民法892条(推定相続人の廃除)
「遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。」
また、この推定相続人の廃除は、遺言に書いておいてすることもできます。
民法893条(遺言による推定相続人の廃除)
「被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なくその推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。」
まとめ
以上、名古屋の司法書士が、相続人のうち、相続させたくない方がいるような場合についてお話ししました。
法律では、血のつながりをなくすことはできません。
相続などで遺産を承継させたくないという目的であれば、他の方法を検討する必要があります。ここでご紹介した相続人廃除の手続きや遺言書の作成と遺留分放棄の手続きなどです。
生前贈与などで自分の財産を生きているうちに承継させる方法もあります。いずれも財産の移転には税金が伴いますので、その点も考慮して考える必要があります。