【韓国籍のお父様が亡くなった場合の不動産相続登記と預貯金・株式相続手続きの進め方】名古屋のごとう司法書士事務所

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【韓国籍のお父様が亡くなった場合の不動産相続登記と預貯金・株式相続手続きの進め方】名古屋のごとう司法書士事務所

2024/10/10

まずはじめに

ご家族の大切な方が亡くなられるという悲しみの中で、相続に関する手続きは非常に複雑でわかりにくいものです。特に、故人が韓国籍の場合、日本の相続手続きと異なる韓国の法律や書類が関わるため、どこから手をつければよいのか分からず戸惑われる方も多いことでしょう。さらに、相続の対象が日本国内の不動産や預貯金、株式などさまざまな財産に及ぶ場合、相続人の皆様が法律や手続きに不慣れな中で、どのように手続きを進めるべきか迷われることも少なくありません。

このような状況に直面した際、専門家のアドバイスやサポートを受けることで、手続きが円滑に進むだけでなく、法的にもしっかりとした対応が可能になります。この記事では、韓国籍のお父様が亡くなられた際に、日本国内での不動産の相続登記や預貯金・株式の相続手続きをどのように進めるべきか、基本的な流れと重要なポイントについてわかりやすくご説明します。これからの相続手続きに少しでもお役立ていただければ幸いです。

1. 不動産相続登記の基本的な流れ

日本国内にある不動産を相続する場合、たとえ相続人が韓国籍であっても、日本の法律に基づいて相続手続きを行います。具体的な不動産相続登記の手続きは、次のステップで進めます。


1-1. 戸籍の収集

まず、相続手続きを進めるために必要な書類の一つが、故人の戸籍関係書類です。韓国籍の方が亡くなった場合、韓国で発行される戸籍にあたる書類、すなわち「家族関係登録簿」や「死亡証明書」を取り寄せる必要があります。これらの書類は韓国の役所から取得する必要があり、韓国語で発行されるため、相続登記手続きでは日本語への翻訳が必要になります。

また、場合によっては、故人が日本に住んでいた場合や日本人配偶者がいる場合、日本の戸籍も確認する必要があります。この段階では、戸籍を正確に収集し、全ての相続人を確認することが重要です。戸籍関係の手続きは複雑であるため、専門家に相談してスムーズに進めることをお勧めします。


1-2. 相続人の確定と法定相続分の確認

次に行うのは、相続人の確定です。日本の法律では、配偶者と子供が法定相続人として優先されるケースが多いですが、韓国の法律では若干異なることがあります。韓国法と日本法のどちらを適用するかは、通常、故人が最も深い結びつきを持つ国の法律が適用されますが、韓国法が適用される可能性が高いです。

相続人が確定したら、法定相続分を確認します。日本の法律では、配偶者が1/2、残りの1/2を子供たちが均等に分け合うのが一般的な相続割合です。しかし、韓国法ではこれとは異なる割合です。ただし、法定相続分とは異なる割合にすることにつき相続人全員の合意が得られれば、遺産分割協議を進めることができます。


1-3. 不動産の評価と遺産分割協議の進行

不動産の相続では、その不動産の価値を適切に評価することが重要です。相続する不動産が複数ある場合や、その評価額が大きい場合、相続税が発生することがあるため、不動産の評価額を把握することは、今後の税務手続きにも影響を及ぼします。

不動産の評価には、固定資産税評価額や時価など、いくつかの指標があります。不動産の正確な価値を知るためには、専門家による査定や評価を依頼することが推奨されます。また、当事務所は、宅地建物取引士としての資格も持ち合わせており、不動産の適正な評価と取引に関するアドバイスを行うことができます。

評価が完了した後、相続人間でどのように不動産を分けるかを話し合います。この「遺産分割協議」が成立すれば、その内容を文書化し、全員が署名・押印します。これが「遺産分割協議書」です。この書類を元に、相続登記の申請を行います。


1-4. 相続登記申請の提出

遺産分割協議が整ったら、いよいよ相続登記の手続きです。相続登記は、不動産の名義を亡くなった方から相続人に変更する手続きです。具体的には、法務局に次の書類を提出します。

  • 相続登記申請書
  • 遺産分割協議書
  • 被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 不動産の評価額が分かる資料(固定資産税評価証明書など)
  • その他必要な書類(住民票、印鑑証明書など)

申請後、法務局での審査が行われ、問題がなければ不動産の名義が相続人に変更されます。この手続きを円滑に進めるためには、書類に不備がないかを事前に確認することが非常に重要です。


1-5. 相続税の確認と支払い

相続した不動産の価値が一定額を超える場合、相続税が発生することがあります。相続税は、相続が発生した年の不動産の評価額や、その他の遺産額によって異なります。相続税の申告期限は相続発生から10ヶ月以内ですので、早めに税額の確認を行い、必要に応じて申告と納税を行う必要があります。

当事務所では、相続手続きだけでなく、相続税申告のサポートも提供しています。税理士と連携し、相続税の負担を最小限に抑えるための適切な対策をご提案します。


まとめ

不動産の相続登記手続きは、必要な書類の準備や、相続人間の協議、不動産の評価、登記の申請など、細かな手続きが必要です。また、韓国籍のお父様が亡くなられた場合は、韓国の戸籍関係書類を収集するなど、通常より複雑になることが多いです。専門家のサポートを受けながら進めることで、スムーズに相続手続きを完了させることができるでしょう。当事務所では、司法書士兼宅地建物取引士として、これらの手続きを丁寧にサポートいたしますので、安心してご相談ください。

2. 預貯金や株式の相続手続き

お父様が残された預貯金や株式についても、相続手続きが必要です。これらの手続きは不動産の相続登記と同様に、必要な書類の収集や相続人の確定、金融機関での手続きが必要となります。ここでは、預貯金や株式の相続手続きを順を追って詳しく説明します。


2-1. 金融機関への連絡と口座凍結

お父様が亡くなられた場合、まず最初に行うべきは、お父様の預貯金がある銀行や証券会社に、亡くなった事実を通知することです。金融機関は死亡届を受け取ると、故人名義の口座を凍結します。これは、相続手続きが完了するまで、不正な引き出しや移動が行われないようにするための措置です。

各金融機関には、以下の書類を提出する必要があります。

  • 故人の戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本(相続人の確認のため)
  • 相続人の印鑑証明書

金融機関によっては、追加の書類が必要な場合もあります。早めに各金融機関に確認し、必要な手続きを進めましょう。


2-2. 遺産分割協議書の作成

相続人全員で協議し、預貯金や株式をどのように分けるかを決めます。金融資産は不動産とは異なり、簡単に分割できることが多いですが、それでも相続人間の合意が必要です。この協議の結果を基に、遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書は、全ての相続人が署名・押印することが必要で、これによって各相続人の取得する財産の内容が法的に確定します。例えば、預貯金の一部をお母様が受け取り、株式は子供が相続するなど、自由に分配の割合を決めることができます。

ただし、相続人全員の合意が得られない場合は、家庭裁判所での調停や審判が必要になることがあります。早い段階での話し合いが重要です。


2-3. 金融機関での相続手続き

遺産分割協議書が完成したら、次に各金融機関での相続手続きに進みます。金融機関によって手続きの流れや必要書類が異なるため、事前に確認することが大切です。一般的な流れとしては、次の手順で進めます。

  1. 預貯金の手続き

    • 銀行に遺産分割協議書を提出し、相続人に預貯金を分配する手続きを行います。預金の解約や払い戻し、または相続人の名義に変更する手続きが行われます。
    • 銀行によっては、事前に相続人全員の署名や押印が必要な場合があるため、書類の準備をしっかり確認しておきましょう。
  2. 株式の手続き

    • 株式を相続する場合は、証券会社に対して名義変更の手続きを行います。この際も、遺産分割協議書や相続人の戸籍謄本、印鑑証明書などが必要となります。
    • 株式が複数の証券会社に分散している場合、それぞれの証券会社で手続きを行う必要があるため、手続きの手間を減らすためにも事前の準備が重要です。
  3. 投資信託やその他の金融資産

    • 株式以外にも、投資信託や外国債券などの金融資産がある場合は、それぞれの金融機関で相続手続きが必要です。これらの資産は金融機関ごとにルールが異なるため、個別に確認しながら進めていくことが大切です。

2-4. 相続税の確認と申告

預貯金や株式を相続する場合でも、相続税が発生する可能性があります。特に、株式などの金融資産の評価額が高額である場合、相続税の負担が大きくなることがあります。相続税は、故人の全財産(不動産、金融資産など)を合計した評価額に基づいて課税されます。

相続税の申告と納税は、相続開始後10ヶ月以内に行う必要があります。もし期限内に申告が遅れた場合、延滞税や加算税が課されることがありますので、速やかに対応することが重要です。

株式などの評価額は、相続開始時点の市場価格や取引価格を基に計算されるため、相続人にとっても大きな負担となる場合があります。当事務所では、税理士との連携を通じて、相続税の正確な計算と最適な節税方法を提案することが可能です。


2-5. 金融資産の分配と最終確認

相続手続きが全て完了したら、預貯金や株式はそれぞれの相続人に分配されます。相続した預貯金が相続人の口座に振り込まれたり、株式が相続人の名義に変更されたりします。ここで重要なのは、各金融機関から送られてくる確認書類や通知をしっかりと保管しておくことです。万が一、後で相続に関してトラブルが発生した場合に備えて、手続き完了の証拠として役立ちます。

また、相続手続きが完了しても、相続税の申告が残っている場合は、税理士との打ち合わせや税務署での申告を忘れずに行うことが大切です。


まとめ

預貯金や株式の相続手続きは、不動産に比べて手続きが比較的簡単に見えることもありますが、実際には金融機関ごとに異なる書類の準備や手続きが必要であり、注意が必要です。また、相続税の申告が必要な場合、金融資産の評価額や相続税額を正確に把握し、期限内に手続きを行うことが不可欠です。

当事務所では、金融資産の相続手続きについても、相続人の皆様がスムーズに手続きを進められるよう、細やかなサポートを提供しています。司法書士としての専門知識に加え、相続税の計算や申告についても税理士と連携しながら対応いたしますので、安心してご相談ください。

3. 韓国籍の相続に特有の手続きや注意点

  • 韓国法に基づく相続手続き
     韓国籍の場合、お父様の相続は韓国の法律に基づいて行われることが一般的です。韓国の民法では、日本と異なる相続分や手続きが定められています。特に、遺言がある場合や法定相続人の範囲に違いが生じる可能性があるため、韓国の法律に詳しい専門家との連携が必要です。

  • 韓国の役所とのやり取り
     韓国の戸籍謄本や必要書類を取り寄せるためには、韓国の役所とのやり取りが必要です。これには時間がかかることが多いため、早めに手続きを開始することが推奨されます。場合によっては、韓国に住む親族の協力を得ることが必要になることもあります。

  • 相続手続きの専門的なサポート
     相続手続き全般にわたって、複数の国の法律や手続きが絡むため、専門家のサポートが不可欠です。当事務所では、司法書士兼宅地建物取引士として、不動産の相続手続きだけでなく、韓国の相続手続きにも詳しい専門家と連携し、スムーズな手続きをお手伝いします。

まとめ

韓国籍のお父様が亡くなられた場合の相続手続きは、日本と韓国の法律が関わるため、特に戸籍の収集や相続人の確定などの段階で複雑になることがあります。また、不動産、預貯金、株式といった多岐にわたる財産の相続手続きには、それぞれ異なる手順や書類が必要です。これらの手続きを進めるには、相続人全員の合意や適切な書類の準備が不可欠ですし、場合によっては税務上の対応も必要になります。

まず、不動産の相続登記では、家族関係登録簿などの韓国の戸籍書類の取り寄せや、不動産の正確な評価が求められます。遺産分割協議を経て、相続人間での合意に基づいて不動産を適切に分配し、法務局に登記申請を行います。また、相続税が発生する可能性もあるため、その確認と申告も忘れずに行う必要があります。

次に、預貯金や株式の相続では、金融機関への連絡と口座凍結がまず行われ、遺産分割協議書を基に名義変更や解約手続きが進められます。こちらも相続税の発生がある場合、適切な評価と税務対応が求められます。金融資産の相続手続きは、各金融機関ごとに異なる手続きがあるため、注意深く進める必要があります。

相続手続きには、多くの書類や手続きが関わるだけでなく、相続人間での円滑な協議や税務対応が求められます。特に、韓国籍の相続はさらに複雑になる場合があるため、専門家のサポートを受けることが、スムーズかつ適切な手続きのための大きな助けとなるでしょう。

当事務所では、司法書士兼宅地建物取引士の立場から、不動産や金融資産に関する手続きをトータルでサポートいたします。また、相続税についても、税理士との連携により最適な対策を提案し、相続人の皆様が安心して手続きを進められるよう、親身になって対応いたします。相続に関する疑問や不安がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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