韓国籍の方の相続手続きのポイント4選【名古屋のごとう司法書士事務所】
2020/08/26
日本人ではなく韓国籍の方が亡くなった場合、相続はどうなるの?
外国籍の方の相続は難しい、めんどくさいなどの話をお聞きになったことはあるでしょうか?
日本人の相続手続きでさえ面倒だと言われているのに外国の方の場合はわからないことも多く、さらに大変そうです。
実は、その通りなのです。
日本人の相続であれば、日本の相続法である民法だけを理解すれば、相続の特定や法定相続分を知ることができます。しかし、外国籍の方の場合はどうでしょうか?外国籍の方の場合、日本の相続法を適用していい場合といけない場合があるのです。
今回は、日本で生活をされている外国籍の方でも多いとされる韓国籍の方の場合の相続に関してご紹介します。
歴史的な背景により韓国では日本と似た戸籍や住民登録制度が残っています。それにより日本人の場合の相続とある程度は似た部分もあります。外国籍の方の相続でも比較的やりやすい部類に入るかもしれません。
韓国籍の方のご相続で押さえておきたいポイントを3つご紹介します。
相続人の方はご参考にしてみて下さい。
1 適用される相続法は、日本?韓国?
日本で韓国籍の方が亡くなった場合に日本の財産について相続手続きをする際は、「韓国」の相続法を使って相続の判断をします。
これは、日本の法律では、相続に関しては本国法によるとしているところ、本国法である韓国の法律では、この場合は韓国の相続法を適用するとしているからです。諸外国の中には、本国法で亡くなった地である日本の相続法を適用するとしていることもありますが、韓国では韓国の相続法を適用することになっています。
そこで、日本の相続法である民法ではなく、韓国の相続法で相続に関して判断をします。
日本と韓国は似たような相続法になっています。ただし、微妙に違う点もあるので、違いをしっかりと把握して間違えないようにしましょう。
2 法定相続人は?
法定相続人が誰になるかですが、これも日本の相続法に似ています。
相続人の順位は以下のとおりです。
第1順位 被相続人の直系卑属(被相続人の子など)
第2順位 被相続人の直系尊属(被相続人の父母)
第3順位 被相続人の兄弟姉妹
第4順位 被相続人の4親等内の傍系血族
配偶者は、常に相続人になります。第1順位の直系卑属又は第2順位の直系尊属の場合は、これらの相続人と共に配偶者は相続人になります。
一方、第3順位の兄弟姉妹や第4順位の4親等内の傍系血族の場合は、配偶者だけが相続人になります。つまり、配偶者がいる場合は、第3順位の兄弟姉妹や第4順位の4親等内の傍系血族は相続人になりません。ここは日本の相続法とも大きく違う点ですので、相続人の判断においては気をつけましょう。
3 法定相続分は?
2で確認した相続順位に沿って相続人を特定した結果、同順位の相続人は均等な割合での相続分になります。
ただし、配偶者は、直系卑属又は直系尊属の1.5倍の相続分です。なお、配偶者がいる場合は、第3順位の兄弟姉妹や第4順位の4親等内の傍系血族は相続人にはならないのでご注意下さい。
具体的な例は、以下のとおりです。
例1)
相続人 配偶者、子A、子Bの場合
法定相続分 配偶者:子A:子B=3:2:2
※配偶者の法定相続分は、「7分の3」です。
例2)
相続人 配偶者、子A、子B、子Cの場合
法定相続分 配偶者:子A:子B:子C=3:2:2:2
※配偶者の法定相続分は、「9分の3」です。
このように、配偶者の法定相続分は、他の相続人の数(子の数など)により異なってきますので注意しましょう。日本の相続法ではそのようなことはありません。
4 必要書類の集め方は?
必要書類では、やはり「韓国除籍」や「家族関係証明書」の取得が一番重要であり、大変です。
韓国では、日本と同じような戸籍制度を2008年から廃止しました。新たに家族関係証明書というものが発行されるようになったのです。
相続手続きでは、韓国籍の方の生まれてから死亡するまでの証明が必要ですので、韓国除籍と家族関係証明書を取得する形が多いでしょう。
家族関係証明書は以下の5種類に分かれています。
1 家族関係証明書
2 基本証明書
3 婚姻関係証明書
4 入養関係証明書
5 親養子入養関係証明書
戸籍の内容を5種類の証明書に分けた感じです。必要な情報を取得できるようになりました。
これらの証明書は、日本の役所では発行できませんから、韓国の役所などに発行をしてもらう必要があります。韓国へ郵送で請求するのはかなりハードルが高いので、通常は、日本にある韓国領事館に対して請求をします。
韓国領事館は、全国に何か所かありますが、大きくは東京、大阪、福岡になります。その他名古屋などにも領事館はありますが、この領事館では即日、証明書を発行してくれません。また、各領事館によって申請の方法は異なります。やりやすい領事館を使うことがよいでしょう。
その際には、韓国籍の被相続人の氏名、生年月日、本籍地(登録基準地)が必ず必要になります。
ここで問題なのは、「本籍地(登録基準地)」です。
韓国の本籍地がわからない相続のケースは結構あります。どうしても情報がない場合は、日本の法務省へ「外国人登録原票」を請求して、そこに本籍地(登録基準地)の記載がないかをチェックします。外国人登録原票の制度は現在は亡くなりましたが、記録が残っている場合は、相続人から被相続人に関する外国人登録原票の写しを発行してもらえます。
まとめ
以上、名古屋の司法書士が韓国籍の方の相続手続きについて解説しました。
いかがでしたか?
通常の日本人の相続でも大変ですが、韓国籍の方など外国籍の方が亡くなった場合の日本における財産の相続手続きはさらに難易度が増します。そもそもどの国の相続法を適用するのかの判断に始まり、本国の相続を証明する書類を取り寄せなくてはいけないのです。
また、このような韓国籍の方の相続では、必要書類が揃わないことも多く、代わりの書類を用意しなくてはいけない場合もあります。
つまり、一律に必要書類が決まっているわけではなく、相続の形によってケースバイケースで書類を揃えて相続手続きをしなくてはいけないのです。
このように難解な相続手続きですから、一般的な相続の専門家(司法書士や行政書士など)でも韓国籍の方の相続や外国籍の方の相続は取り扱っていないことがあります。それだけ専門性が強いということでしょう。
名古屋のごとう司法書士事務所では、韓国除籍や家族関係証明書の取得代行からすべて日本国籍の方の相続手続きと同様にお任せ、丸投げしていただけます。煩わしい思いはさせません。相続人の特定や法定相続分などご不明な点等がございましたらお気軽にご相談下さい。