相続手続きを司法書士へ依頼をする理由3選【名古屋のごとう司法書士事務所】
2020/04/22
これまでの相続依頼者から聞いた理由をこっそり教えます。
なぜ司法書士にわざわざ相続手続きを依頼するのか?
相続が起こると、先ずは火葬許可、葬儀の手配などバタバタとあっという間に時間が過ぎていきます。故人を想う暇もなく過ごした方も多いのではないでしょうか。
少し落ち着くと、遺品の整理などをして、財産の承継をすると思います。でも、相続の承継、つまり、相続手続きはどのようにするのでしょうか。また、自分でできる手続きなのでしょうか。
相続手続きを日々行っている司法書士の立場では、「その人次第」ということになります。わかりにくい答えで申し訳ない部分ですが、これがこれまでの経験上から言える正直な感想です。
以下でご紹介する3つの理由のどれかに当てはまれば、司法書士へ依頼をする流れになるかもしれませんし、どれにも該当しなくて、やれる方も中にはお見えです。
しかし、一つこの場合でも、注意点があります。それは、相続人が複数いる場合です。自分だけなら自分ができると判断をしてやれることもあるでしょう。しかし、他の相続人がそれに追いついていけない場合は、トラブルになることもあります。
例えば、他の相続人に相続に関する知識がない、又は誤解があるなどの場合、いくら一人の相続人が正しい相続手続きができても、それは、他の相続人の目には自己の利益になるように相続手続きをしていると映る可能性があるのです。
相続トラブルとは、多くの場合、そのようにして些細なことから始まり、些細なことが積み重なりどこかの時点で、中心となり動いている相続人を拒否しだすのです。その段階で司法書士へ相談をして解決することもありますが、裁判になってしまうケースもあります。
公平で円満な宗族手続きをするにはどうすればいよいのか。
今回は、名古屋の司法書士が、これまでの依頼者の方の言葉を参考にして、「相続において手続きを司法書士に依頼する理由」を3つご紹介します。
ご相続の参考にしてみて下さい。
理由1 相続手続きに必要な書類の収集や作成が大変でめんどくさい
相続手続きに必要なものは何でしょうか?
個別の相続により正確に必要となるものは異なりますが、原則的に必要なものとして戸籍があります。
この戸籍は、相続手続きをする相続人で収集しなくてはいけないのです。不動産の相続手続きである相続登記をする時に、申請先となる法務局(国)が市区町村と連携をして調べてくれるわけではないのです。
戸籍も亡くなった被相続人の出生から死亡記載までの戸籍一式が必要です。わかっている本籍地をたどって次々に市区両村に請求をかけていきます。遠方の市区町村の場合は、郵送で戸籍は請求できますが、発行手数料として小為替を郵便局の窓口で買って同封する必要があります。返信用封筒も切手を貼って同封します。
どうでしょうか?
これだけでも結構大変な気がします。さらに戸籍の内容を読み解く必要もあります。読んだことがある人ならわかると思いますが、相続で必要となる昔の戸籍は今の電子化された戸籍のように読みやすくありません。癖のある手書きで書かれ、独特の表現方法で記載されています。読み慣れていないと何が書いてあるのかさっぱりわからないこともあります。
相続で作成する書類としては、遺産分割協議書があります。
遺産分割協議書は、単純どの遺産をどの相続人がもらうかを書くばかりではありません。必要に応じて、他の相続人が立て替えた被相続人の医療費や葬儀代などの精算条項を入れて、相続人間で公平を図ることもあります。また、あとから隠れた財産が見つかった場合の条項を入れたりします。
このように遺産分割協議書は、相続人全員で作成する相続財産に関する法的な合意文書です。
相続人全員にとって公平で円満な相続にするためには、きちんとした遺産分割協議書を作成した方が良いでしょう。
以上のとおり、相続の手続きに必要な書類を集めたり、相続に関する書類を作成することは、慣れていないと大変で面倒なことになります。
ここでご紹介した相続に必要な書類と作成すべき書面はほんの一例です。その他にも必要な書類はありますので、ご注意下さい。
当事務所にご依頼を頂く方の中で一番多い依頼をする理由です。少し自分でやろうとしたが、すぐに断念したという方も結構お見えです。「中途半端に努力して無駄な時間を過ごすぐらいなら最初の段階でお願いしようと思った」という方もいました。
理由2 相続手続きに時間がとれない
理由1では、相続手続きに必要な書類の話をしましたが、用意する時間も慣れていない場合はかかるのです。戸籍集めにしても、返信用封筒や小為替を準備して郵送の手配をいくつもの市区町村にするだけでも結構時間がかかります。
また、必要書類を集めてもいざ相続手続きをするには、手続きのやり方を調べなくてはいけません。例えば、不動産を相続した場合の相続手続きである相続登記をしようとしても、慣れていない方はまずは申請書の書き方から準備をしなくてはいけません。どこかで調べて一回で相続登記の申請まで持っていける人は稀だと思います。
大抵は、一度は不動産を管轄する法務局に登記相談をしなくては登記申請まで持っていけないのではないかと思います。相談は予約制ですから電話で予約をして、法務局まで交通費と時間をかけていかなくてはいけません。法務局は役所ですから平日の昼間の時間しかやっていません。2~3回ぐらいは相談にいかなくてはいけないことも多いでしょうから、結構な労力になります。
相続登記は、いきなり窓口に行って、その日のうちにできる感じの簡単な手続きではないので注意しましょう。相続の名義変更である登記は、対抗要件といって、法律上の自分の権利を守るためのものです。結婚や引っ越しをしたので、名字や住所の変更を届け出る役所での手続きとは、まったく性質が異なるものです。自己責任で行う手続きであり、場合によっては相続登記の申請後、申請が却下されることもあります。
このようにまずは、相続手続きや必要書類を調べて準備をして、いざ相続手続きでも相談に行くということになれば、相当の時間と労力が必要になります。会社員の方など仕事をしている方は、昼間動けなければまず難しくなります。その代わり、時間に余裕おある方であれば、本人次第でやれなくはない手続きと言えるでしょう。
ただし、その場合でも、後述する理由3のトラブルには気をつけるようにしましょう。相続は権利関係が錯綜する場面です。法的な争いになる要素を含んでいますので、きちんと正しいプロセスを踏んで相続手続きは進める必要があると言えるでしょう。
理由3 相続人でもめたくない
なぜ相続の時に相続人同士でもめてしまうのか。
理由はいろいろと考えられますが、「相続人である当事者だけで法律に沿って適正な手続きがされない」そのように感じて他の相続人の話に耳を傾けなくなることがあります。
(1) 相続人以外の人が遺産分割に口を出してしまう
相続においては、相続人の配偶者がついつい口を出してしまうことがあります。
これは、夫、妻の用法のケースがあります。
相続人が家族ぐるみで付き合いがあってそれでもうまくいくこともありますが、正直、内心はどのように思っているのかはわかりません。冷静に考えると、やはり、当事者ではない相続人の配偶者が相手の家庭の財産について意見をすることは特別な事情でもない限り気持ちのいいものではないでしょう。
(2) 法定相続分で分けるのが公平でない事情がある
また、生前に亡くなった被相続人に対して、特定の相続人が費用を立て替えていたり、介護等をするために交通費等の費用を負担していたり、葬儀代を負担していたりすると、その精算や取り扱いをどうするかでトラブルになることもあります。法定相続分で遺産を分けると、子が相続人であればみな平等です。被相続人への実際の貢献度や生前の被相続人との関係性、被相続人から各相続人への援助の度合いなどによってそれぞれの相続人の言い分があることがあります。
そのような場合、法律で権利関係を整理する必要がありますが、一般の相続人の方ではなかなか調整ができない事が多いかもしれません。場合によっては、他の相続人が自分の利益に誘導していると不信感を抱くこともあり、誤解を受けるケースもあるようです。
このような場合でも、司法書士などの法律の専門家が間に入ることで法定相続分の相続で落ち着くこともあれば、ある程度、事情に応じた相続分で分ける遺産分割協議になることもあります。いずれにしても裁判を回避することはできますので、相続人全員にとってはメリットがあるのではないでしょうか。
(3) まとめ
以上のような場合、相続の専門家に客観的に説明をしてもらい、公平で妥当な遺産分割をしたいと考えている方は多くお見えです。そのような場合、相続の法律と手続きに詳しい司法書士がお役に立つことができます。
今の時代は、ネットなどで相続に関する基本的な情報を手軽に得ることができます。一般的な内容であれば、どの相続人も知っている前提で遺産分割の話し合いをする方が良いでしょう。下手に自己に有利に話を持っていこうとすると、トラブルになります。それまでは普通であった相続人が、突然そのように態度を豹変させることもあります。
そうならないためには、最初から専門家に相談をして公平で円満な相続手続きを進めるようにしましょう。
もし、相続で裁判になってしまったら・・・
裁判は、神様の目から見た正しさを明らかにする場ではない
裁判をすると、当事者は「裁判官なら本当のことをきちんと判断してくれる」と思いがちです。テレビや映画で本当の正しさが明らかになる爽快な場面を思い描くと実際とのギャップを感じてしまうかもしれません。
実は、実際はすべてのケースでそのような結論になるとは限らないのです。
裁判官も人間です。過去にタイムスリップして現場をみれるわけではありません。裁判官は法の番人ですが、裁判では、裁判上で明らかになる証拠とお互いの主張を突き合わせて何が正しいかを判断します。
つまり、証拠がなければ、単純に一方当事者の言い分だけを信じて有利な判決を出すことはありません。
その意味で、「裁判は、神様の目から見正しさを明らかにする場ではない」のです。
では、裁判では何が1番重要なのでしょうか?
やはり、証拠です。
証拠の王様は書証である、契約書や遺産分割協議書などです。これらの書面は、相続の裁判で相続人などの当事者の意思や内心を可視化して誰の目にも見える形にしたものです。いくら裁判の証人尋問で本当のことを訴えても、相続での遺産分割協議書などの書面の証拠や状況証拠などもなければ、主張が通る可能性は低いと言えます。
ここでも、遺産分割協議書の重要性を再認識できると思います。また、実際の裁判の難しさも理解しておきましょう。裁判では、とても緻密な作業で事実関係の認定と法律の解釈を行います。裁判になってしまった場合でも、自分の主張に耐えられる遺産分割協議書を作成する必要があるのです。
この点、相続手続きに第三者の専門家が入っていれば、相続人の間での法律の交通整理は行われます。最後にそれを証拠として遺産分割協議書にまとめます。これで、そもそもトラブルの防止になるばかりでなく、遺産分割協議の後で、相続人が遺産分割協議とは違う内容を主張して裁判になっても、その主張は認められなくなります。
司法書士などの相続の専門家に相続手続きを依頼するメリットは、実はこの点が1番大きいのかもしれません。
最後に
名古屋の司法書士が、これまで受けた相続相談等からひもとく「相続手続きを司法書士へ頼む理由ベスト3」をご紹介しました。
相続はほんとに事情によって異なります。すぐに急いで相続手続きをしなくてはいけないこともあれば、時間をかけてでも相続人で納得する答えを出して手続きをしたいなど、ご事情に応じた対応が必要です。
司法書士が相続の場面でお役に立てることはたくさんあります。公平で円満な相続手続きをしていきましょう。