相続が開始後の相続登記について【名古屋のごとう司法書士事務所】
2020/03/25
1 隠れた相続登記をしない理由
冒頭で、相続登記は難しくで面倒だから敬遠されていると言いました。
しかし、実は、それ以外に本音の部分での理由もあるのです。これまで司法書士として相続手続きや相続登記のご相談を多数受けてきました。その中で実は、みなさんが心配をしている点があることに気がつきました。
「相続登記をすると、不動産を管理したり、税金を払う必要が出てくるのではないか」という点です。
このような背景もあり、名古屋でも相続登記は進んでいないところがあります。所有者が判明しなくて、わからなければ何かあっても所有者としての責任を負わずに済むのではないか。税金も課税されないのではないか。そのようにお考えの方は結構お見えです。
しかし、それは間違っています。昔の役所は、実務上相続調査などをして固定資産税などの課税を積極的にはやってこなかったのかもしれません。しかし、現在は、法務局が主体となり、所有者不明の土地につき、戸籍調査などをして職権で登記名義を相続人へ変更してしまう可能性があるのです。
それ以外にも、相続登記を促す施策として、次に解説していく「法定相続情報証明制度」があります。
2 法定相続証明情報制度とは
法定相続情報証明制度とは、相続人が法務局に対して被相続人の出生から死亡までの戸籍書類等を提出し、国である法務局が相続関係の一覧図に認証を与えて証明書として交付する制度です。
この法定相続情報一覧図は、相続登記の手続きに使えます。また、不動産の相続手続きである相続登記の添付書類としてだけでなく、預金、株式や投資信託等の金融機関での相続の手続きでも使用できます。さらに、相続税の申告の際にも戸籍の代わりに使用できるのです。相続税の申告の際は戸籍の原本の提出が求められていたので代わりに法定相続情報一覧図の提出ができるようになり結構便利になりました。法務局のアナウンスもあり、民間に広く周知が進み、ほとんどの相続に関する手続きで使えると思われます。
相続が開始したら、被相続人の出生から死亡までの戸籍を集める作業は変わりませんが、一度戸籍類を1セット揃えれば、法定相続情報一覧図の交付を受けることで法定相続情報一覧図の1通を提出すれば、各種の相続に関する手続きができるのです。
当事務所でも、名古屋の法務局に対して、相続登記と同時又は単独で法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出に関する手続きを行ってきています。この法定相続情報一覧図は、相続登記に限らず、預金などの相続手続きでも使用可能です。相続の際は、法定相続情報一覧図に関する手続きも司法書士に依頼をすることが可能です。
名古屋市中区にあるごとう司法書士事務所でも、随時ご相談をお受けしておりますので、お気軽にご相談下さい。当事務所は名古屋に限らず全国の法務局に対する相続登記や法定相続情報一覧図の手続きに対応しています。
3 法定相続情報の活用法
法定相続情報は、どのような相続でも必要というわけでもないと思います。
法定相続情報を取得する手間や費用を考えると、必要なケースで利用すべき制度でしょう。
例えば、相続財産が多く、相続手続きをする窓口がたくさんになるときは、戸籍類をいくつもの窓口に提出するよりは、法定相続情報が1通あれば楽ちんです。
また、相続人に相続関係図を示すこともできます。交流のない相続人に相続手続きを説明する際には、公的な書面である法定相続情報は信頼できるので説得力が出てきます。一般の人が戸籍を読んで相続人を解く手する作業は大変ですから、その意味では、法定相続人を一覧図で見やすく確認できる法定相続情報は役立ちます。
このように、すべての相続のケースで必ず必要というわけではありませんが、使い方によっては相続手続きを円滑にスピーディーに進めることができます。うまく使い分けるようにしましょう。
まとめ
以上、不動産の相続登記や各相続に関する役立つ情報を、名古屋に事務所を置く司法書士が解説しました。
ただでさえ、相続登記はめんどくさいと思います。相続に関する手続きを少しでも負担を軽く、スピーディに進めるために法定相続情報一覧図の活用をお勧めします。
相続登記には今のところ期限を定めた罰則はありません。しかし、相続に関する手続きには期限の定められている手続きがあります。例えば、相続税の申告手続きは相続開始後10カ月以内ですし、被相続人の方の準確定申告は相続開始後4カ月以内に手続きをする必要があります。
相続登記などの相続に関する手続きは効率よく、かつ、賢く手続きを進めることが大切です。
法定相続情報は、ご相続の形によっては、有効で効率的に相続手続きを進める手助けになります。必要に応じて利用を考えてみてはいかがでしょうか。
ご参考にしてみて下さい。
相続や相続登記に関する相談なら名古屋のごとう司法書士事務所まで