こんな相続の対策はどうですか?【ご相談は名古屋のごとう司法書士事務所】
2020/03/19
信託と相続時精算課税制度を利用する方法をご紹介します。
収入を確保しながら、子に生前相続させる方法
高齢になり、そろそろ自分も相続の対策を何かしておいた方がよいのではないか。そのようにお考えの方も多いと思います。
相続とは自分が亡くなった後のことです。遺言書の作成が良くある対策ですが、それ以外にも、良い方法がいくつかあります。
例えば、生前にやれることです。
元気なうちに対策をすることで、自分でも状況を確認しながら進められるので安心できます。もし、修正すべき点が出てきても、自分がしっかりしていれば、その時また別の方法をとることもできるのです。
例えば、もし、自分の老後の生活費となる収入を確保しながら、かつ、子に財産を相続させることができたらどうでしょうか。このような場合にどのような方法があるのか。
以下を参考にして、みなさまの相続対策に生かしてみて下さい。
1 民亊信託を利用する
信託という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
最近は、銀行や司法書士・税理士などの専門家による「民事信託セミナー」が各所で開催されています。どこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか。
信託とは、自分の財産を信頼する誰かに任せることです。信じて託すということになります。中世ヨーロッパの十字軍遠征の際に残された家族のために信託が利用されたそうです。
これを使えば、自分の持っている賃貸マンションの管理を長男に任せることも可能です。登記上の所有者も長男に移ります。しかし、賃料収入は自分が受け取り続けることができるのです。贈与にもなりません。
このように便利そうな制度ですが、デメリットもあります。
信託は簡単に言えば上記のとおりですが、深く理解をしようとすると大変難しい内容です。説明を受けてもわかったようなわからないような感じになるのではないかと思います。しかし、それは皆同じで仕方ないのです。実際に内容はとても難しいものですから。
しかし、信託の仕組みを十分理解して進めないとトラブルのもとですから避けては通れません。逆にこの辺りをいい加減に説明して強引に進めるような専門家は信頼がおけないと思います。
また、最近になって盛んに信託が利用されるようになったばかりで、紛争になった場合の裁判例の蓄積がない部分もあり、手探りで運用をしていくこともあります。
個人的には、信託は未承認の新薬のようなものですから、かなり効果が期待できる部分もありますが、慎重に検討をすべきかと思っています。通常は、専門家への報酬も高額になります。わざわざ高額で複雑な方法を好んで利用する必要はないかと思います。トラブルのもとです。
ただし、信託には、信託でしか実現できない効果もありますので、本当に必要なケースでは信託を検討すべきでしょう。
つまり、他に代替できる方法があるのであれば、そちらを採用し、信託でしかできない場合には信託を利用することをお勧めしています。実は、ご希望の内容は信託でなくでもほぼ同様の効果が期待できる場合もあるのです。その辺りは、ご相談をされる専門家の考え方次第でしょう。
2 相続時精算課税制度を利用した生前贈与
相続時精算課税制度とは、65歳以上の親から20歳以上の子への贈与に可能な制度です。
生前贈与の際の特例になります。
2500万円までは非課税になります。これを超える部分は一律20%の税率で贈与税がかかります。これをすると、相続時に贈与した価格を相続財産に加えます。この財産移転に関する税金の計算は、相続時にする感じです。この際、贈与税を払っている場合は、相続税から差し引くことができます。
一般的には、価値が上昇する財産に関してこれをすると有効だと言われています。贈与時の財産価格で相続税の計算ができますので。
また一度この相続時精算課税制度を利用すると、通常の暦年贈与には戻れません。
例えば、駐車場である土地を相続時精算課税制度を利用して親から子へ生前贈与するとします。本人の賃料収入は減りますが、所得税は下がります。一方、子は、賃料収入を得て、相続税対策等にそれを自由に利用することができます。親と子の全体の税金の額が得するケースであれば、とても有効な対策です。
まとめ
以上、相続の対策の具体例として、収入を確保しながら生前に相続させる方法をご紹介しました。
ここでご紹介した相続対策がすべてではありません。ほんの一例です。
このように相続の対策はたくさんあります。たくさんすぎて普通はなかなか選択できないのではないかと思います。また、実は相続対策は、個人的にはその人に合ったカスタマイズされたものが必要だと考えています。一般的なものを何となく当てはめても最適な方法とは限りません。実はトラブルに巻き込まれるリスクのある相続対策の可能性だってあります。
一見簡単なようで奥が深い。それが相続対策だと思います。
参考にしてみて下さい。