期限はあるの?公平で円満な遺産分割をするために【名古屋のごとう司法書士事務所】

お問い合わせはこちら

ブログ

期限はあるの?公平で円満な遺産分割をするために【名古屋のごとう司法書士事務所】

2020/03/18

遺産分割はいつまでにするのか?また、遺産分割を円滑に進めるコツとは?

親が亡くなる数年間寝たきりになり、長男夫婦が自宅に引き取り面倒を見ていたとします。自分たちの生活がある中、親の面倒とはいえ、介護に相当の時間と労力を使っていると思います。

そのおかげで親は安心して最後を迎えることができました。

 

このような場合、いざ相続が開始して、遺産分割の際にみなさんならどうされますか?

子には法定相続分として均等に権利があります。みんなで均等に分けますか?

 

長男にとっては、それは納得のいくものではない可能性があります。親の面倒を見て親に尽くしてきたのに、親に貢献していない他の兄弟姉妹と同じ相続分では不公平と感じるのではないでしょうか?

 

ここでは、公平で円満な遺産分割を進めるコツをお教えします。また、遺産分割の期限についても触れてみたいと思います。

1 遺産分割をする時期

遺産分割協議をしなければいけないわけではありません。遺産分割協議は義務ではないのです。何もしなければ、法定相続分で相続している状態です。しかし、普通は、法定相続分で各財産を共有していても意味がありません。不動産などの各財産を単独所有にして活用する方が現実的です。また、預金であれば、法定相続分の金額で分けることが可能です。

 

このように遺産分割協議には、相続放棄の3か月のような期限はありません。

 

遺言等で禁止されていない限り、自由にいつでも遺産分割協議が可能です。相続税が発生する場合は、相続開始後10ヶ月に間に合わない場合でも大丈夫ですが、別途手続きが必要ですから確認するようにしましょう。

 

法律で期限がないということで、ずっと何年も相続手続きをしないケースもあるようです。
預金などの何かの相続手続きが必要となれば、遺産分割協議書を作成しますので、ついでに不動産などのほかの財産の分配についても定めておくと便利でしょう。

また、相続手続きがすぐに必要ではない場合でも、不動産が相続財産に含まれる場合は、いつかはどこかの代で過去にさかのぼって相続や遺産分割協議をする必要が出てくるかもしれません。その点は注意しておきましょう。

2 相続人の間で公平を図るためにある制度

冒頭の例のように、親の面倒を見てきた長男夫婦と何もしてこなかった他の兄弟姉妹を同じ相続分と考えるのはやはり公平性に欠けるように思います。しかし、法律では、家族の状況に応じて公平性を保つ制度があります。

 

被相続人から前渡しとして、生前贈与を受けている場合や被相続人の財産の維持や増加に貢献したり、介護等の療養看護に努めた者がいる場合には、次のような制度も用意されています。

 

全て簡単に認められるものではありませんが、話し合いの材料にはなると思われます。
仮に法律の要件を満たしていなかった場合でも、相続人の話し合いでその分を含んだ内容で遺産分割協議をすることはよくあります。その辺りは、相続人の常識の判断になろうかと思います。法律は、あくまでは相続人の話し合いが合意に至らない場合に行う強制的な最終判断として考えて下さい。

(1) 特別受益

相続人の中に、婚姻費用や生計のための贈与等を受けている場合、被相続人が生前に遺産分けをしているのと同じことになります。

そこで、このような贈与等を相続財産とみなして加えます。そしてそこに法定相続分をかけた額からこれらの贈与等を受けた価格を引いたものを当該相続人の取得分と計算します。そうすると、相続時にある財産は、他の相続人で分けることができるのです。

 

ただし、被相続人がこれらを特別受益として扱わない意思表示をしている場合はそれに従います。

(2) 寄与分

相続人の中で、被相続人のために貢献した人がいる場合、その貢献を寄与分として金額で定めて、相続財産から差し引いて当該相続人がもらうようにすることができます。

 

具体的には、被相続人が自営業や会社を経営している場合、無償で働いて会社や事務所を支えていた場合や親を療養看護している場合が該当します。

 

ここで注意すべきは、あくまで無償がそれに準ずる行為をしている場合である点です。対価をもらっていれば、行ったことに対する清算は終わっていますので。

また、この際の寄与は、特別な寄与である必要があります。通常の扶養義務の範囲内であるような親子のやり取りでは難しいでしょう。例えば、単に親の介護をしている場合は難しい可能性が高いと思われます。通常の介護の状況を超えた状態が必要になります。

 

これまでは、寄与分は相続人しか請求をできませんでした。しかし、法改正により、長男の妻も特別な寄与があれば、その請求をすることができるようになります。相続人以外の親族には朗報です。

3 では、実際どうやって遺産分割を進めればよいか?

これまで話した通り、相続人間の公平を図るものとして寄与分と特別受益があります。

これらは、最初はあくまで相続人の間で話し合いで決めます。法律上の寄与分や特別受益は前述のとおりですが、遺産分割では、もっと柔軟に自由に決められます。通常の介護は、寄与分とは認められないですが、他の兄弟姉妹が長男の実際の貢献度を理解し、寄与分がある前提で多く取得させる又はすべて取得させることも可能です。

大学の費用や留学費用を特別受益として認めて他の相続人に遺産を譲ることも考えられます。これまでに自分は親から援助を十分受けたから、他の兄弟姉妹に財産は譲るという選択もあるのです。

 

話し合いがうまくいかない段階で初めて法律を持ち出すべきでしょう。

法律上の権利を整理し手話し合いで解決できないようなら、最後は家庭裁判所へ申立てをして解決を図るしかありません。

 

裁判所での解決はだれも望みません。時間も費用もかかります。何より、自分が裁判の当事者になるというのは総統のストレスを抱えることになると思います。これは、弁護士に依頼をしても同様でしょう。

 

相続人になる人は成人の方が多いでしょう。しかも、社会で既に働いている方が多いと思います。家庭を持っているケースもあるでしょう。ある程度年齢を重ねて、社会的な立場や環境もイッカで一緒に暮らしていた時は違っていると思います。そんな時は、やはりお互いに口には出さないくても相手に対して敬意を示し、目配せをしてもいいのかなと思います。みんな何かを背負って生きています。自分だけという考え方は控えた方が良いのかもしれません。

これまで私が見てきたうまくいっている遺産分割では、その辺りをよく理解している相続人の方がいるケースが多い気がします。

 

まとめ

以上、遺産分割の期限や遺産分割協議をうまく進めるヒントをお話しました。

何かヒントになるものがあれば、ぜひ参考にしてみて下さい。

 

面白いもので相続はみんな同じようで結構それぞれ違います。司法書士をしているといろいろな家族の相続に立ち会う機会があります。家族の歴史や人間関係の相談も受けます。

そんな中で私から言えることは、みんな同じような悩みを抱えているということです。

自分たちだけではありません。よその家でも同じようなトラブルはあるのです。しかしそれは誰も外には言わないのであまり漏れ伝わってこないだけです。

 

遺産分割について悩まれるようであれば、専門家の意見も参考にしてみて下さい。相続をやっている司法書士や弁護士であれば、これまでの経験上のアドバイスもお伝えできると思います。ぜひご利用下さい。

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。