空き家の活用を事例で見てみましょう【名古屋のごとう司法書士事務所】
2020/02/17
空き家・空き地問題の解決策はあるの!?
1 空き家は何がいけないのか?
人の住んでいない家は、急速に傷みます。最近の自然災害は予測できません。壊れた壁や屋根が修理されていない状態でああれば、台風や大雨、地震等により建物が倒壊する危険が高まります。
また、庭の草や木が生い茂り、夏に蚊が発生したり、害虫が繁殖することがあります。また草木の種が飛散して近所に雑草が生えやすくなりことも考えられます。木の枝が伸びて隣地や道路面の塀を越境することもあり、とても危険です。
空き家は、所有者である管理者がそこにいないので、すぐに対処できません。そればかりか、どうなったかを知らずに過ごして言えるケースもあり得るです。
不審者のたまり場や、若者のたまり場など、犯罪の温床となる可能性もあります。また、敷地に家庭ごみや家電製品などごみを捨てられてしまうこともあります。放火の危険も高まり、地域の防犯上もよくありません。ネズミや猫の繁殖も考えられ、不衛生な状態が生まれやすくなります。
結果として、地域の景観の悪化等により周辺不動産の価値が下がることも考えられます。
2.空き地は何がいけないの?
空き地は年々増えています。
みなさんのご近所にも理由はわからないけど、空き地のままになっている土地はないでしょうか?
中には、相続や遺産分割で争いになっていて、不動産を動かせなくなっているようなケースもあります。
空き地の問題点は、空き家の敷地で起こる問題と同様です。草木が生い茂ることによるトラブル、害虫、動物などの繁殖による不衛生な状況の発生、ごみの不法投棄等により、治安の悪化や防犯面で問題が起こります。周辺不動産の価値を下げることにもなりかねず、周辺住民とのトラブルにも発展することもあります。
地方では、田や畑などの農地を相続しても使い道がない都会の相続人が農地を持て余してしまうケースが多いです。固定資産税が発生していなければ、まだよいですが、税金が発生するようなら負の遺産になってしまいます。これを自分の子供の世代に承継させることを考えると何とかしなくてはいけません。
荒れた農地は草木が生い茂るので害虫の発生など、周辺の農業を営んでいる田畑にも影響を出します。そのような場合では、仕方なく隣地の農家の人たちが草刈などをせざるを得ない場合もあるようです。これは多大な労力を強いることになるのでトラブルになりがちです。
3 空き家の活用事例とは
空き家の活用方法としては、一般的に次のようなものが考えられます。
① 自分で住む
賃貸で住んでいるのであれば、いっそのこと住んでしまうのもよいかもしれません。家賃より固定資産税等を払った方が安いこともあるでしょう。また、既に家を購入している方は、立地が良ければ、家を売って空き家に住んでしまうこともあり得るかもしれません。
居住不動産の売買には税務上の優遇もあるので、税金の面はそれほど心配しなくてもよいことがあります。
② 人に貸す(貸家)
家をそのまま貸せる場合は良いですが、多くの場合は何らかのリフォーム等が必要になると思います。自分で使うのと他人に貸すのでは感覚が違うため、メンテナンスをする必要があることが多いでしょう。その場合は初期費用がかかります。台所やお風呂といった水廻りはまとまった費用がかかることも多いので、費用をかけて不動産を生かすかを検討する形になります。
すぐに思いつく活用方法ですが、費用がかかりそうなこともあり、スムーズにはいかないかもしれません。人に貸すとなると賃貸の募集も業者にお願いしたり、管理も依頼をする必要があるかもしれません。
③ 建物を壊して駐車場にする
家をそのまま生かすことは現実的に難しそうなので、建物を解体して駐車場にしてしまう方法もあります。対象不動産のエリアによっては駐車場ニーズが十分見込めることもあります。昨今は、駐車違反等も厳しいですので、駐車場ニーズは案があるのです。
また、コインパーキングのような形であれば、業者に貸してしまうことも考えられます。そうなれば、毎月賃料を受け取るだけですから楽ちんです。契約期間等には注意してうまく活用をすれば、有効な方法になります。
④ 建物を壊してマンションやアパートを建てる(収益物件として活用する)
建物を壊すだけでなく、更地になった土地を使って積極的に利益を生む方法を考えるなら、マンション経営も一つの方法です。
マンションの建築費用は銀行融資を受けるでしょうが、費用の負担は間違いなく一番かかります。一番リスクが高い活用法ともいえます。その分ハイリターンも見込めるのが魅力です。
ただし、この活用法を利用する場合、必ず自分で収支の計画を立てるようにしましょう。大手の不動産会社の営業マンの説明をそのまま鵜呑みにすることは避けましょう。嘘はないかもしれませんが、話半分で聞いて、自分で大丈夫かを検討しましょう。建築予定地の賃貸需要、競合マンションや新築物件との比較、町の今後の発展性、周辺施設の今後の動向など自分の目と耳で調べることを忘れないで下さい。
業者に丸投げをして、結局収支が合わずに、赤字続きで売却せざるを得ないといった相談をよく受けます。
4 活用法がない場合
上記の活用方法のどれも当てはまらないなどの理由で、活用法がない場合どうしたらよいのでしょうか?
不動産は、そのままにしておいても利益を生みません。そればかりか、固定資産税の支払いなどローンのように毎年支払いが発生するのです。そこで、活用しない場合は、売却をすることも一つです。先祖代々の土地などの理由で保有することに意味がある場合は別ですが、そうではない場合は、負の遺産となってしまう前に処分した方が賢いかもしれません。
では、実際に売れるのでしょうか?
空き家のままでも売れます。マンションやアパート1棟の売却もそのままの状態で可能です。
買取業者に買い取ってもらう方法があります。
もちろん、通常の売却をすることも可能です。ただし、その場合は、ある程度売り主サイドで不動産を整備する必要があることが多いです。建物を解体して更地にする、測量をして境界線をはっきりさせるなどです。
いずれにしても、現状のまま売ることが良いのかは、ケースバイケースです。
税金も考慮して、賢い売却をするようにしましょう。また、買取業者の選定も重要です。最初の買取査定の金額だけを鵜呑みにして買取金額の前提の契約条件のチェックを忘れないようにしましょう。この条件だからこの金額で買うというわけですから、買取金額を比較する場合は、買取条件も同じにしなくては比較しても意味がありません。
例えば、測量は売主負担だとか、売買契約での瑕疵担保責任の有無などきちんと契約条件はチェックしなくてはいけません。プロを相手に一般の方が交渉するのは大変ですから、お困りであれば、専門家へ相談しましょう。相手に悪気がなくても、こちらの理解不足により、後日、こんなはずではなかったとトラブルになることがあります。十分注意しましょう。
最後に
以上、名古屋の司法書士が、空き家や空き地の活用事例をご紹介しました。
どの活用が良いかは所有者の方の置かれた状況や対象不動産によって異なります。一律に最良の活用法等が決まるわけではないので、個別的な検討が必要になります。
せっかくの不動産ですから、みんながハッピーになれるような方法を考えましょう。