相続人が相続放棄をしないまま亡くなった時【名古屋のごとう司法書士事務所】
2020/02/06
1.相続の放棄とは
相続人は、相続を承認するか放棄するか自由に選択することができます。
自己のために相続開始があったことを知った時から、3ヶ月以内に放棄等をしなければ、単純承認といって、相続を承認したとみなされます。
この3ヶ月は、相続人が検討すべき熟慮期間とされています。被相続人の借金の債権者にしてみれば、早く債務者を確定させて請求したいと考えるでしょう、一方、相続人は、財産調査等をして相続すべきか放棄すべきかを検討しなくてはいけません。この両者の利益を考慮して、3ヶ月に設定されています。
相続放棄をすれば、相続開始から相続人とはなりませんから、借金を承継することはありません。一方、不動産や預貯金などのプラスの財産も承継しません。つまり、一切の承継をしなくなります。
なお、ここでいう「相続放棄」とは、家庭裁判所に申し立てをする手続きのことです。遺産分割などで財産が要らないという意味での放棄とは全く異なりますので、注意しましょう。
2.相続放棄をしようと思っていた相続人が、放棄せずに亡くなってしまったら
被相続人Aが、多額の借金を残して亡くなったとします。その相続人であるBは、当然相続放棄をしようと考えていました。しかし、不幸にもその手続きをする前に亡くなりました。この場合、相続人Bの相続人CがAの相続を承継します。
A→B→C
このような時、相続人Cはどうすべきでしょうか?
被相続人Aの借金を承継してしまうのでしょうか?
Aの相続を放棄すると、Aを承継していたB自身の固有の相続も放棄することになるのでしょうか?Bは借金もなく、自宅や預貯金を残しているので、Cはこちらは相続したいと考えています。
このような場合を「再転相続」と呼んだりします。
このような場合、Cは、被相続人Aの相続につき承認または放棄する地位をBより承継し、被相続人Bの相続についても同様の地位を承継します。つまり、2個の相続につき、3ヶ月の熟慮期間内であれば、それぞれ相続放棄をすることができるのです。ただし、Cは、Bの相続について相続放棄をしてAの相続について承認をすることはできません。Bが有するAの相続に関する選択権もなくなるからです。
なお、この場合の3カ月の熟慮期間ですが、被相続人Aの相続については、CがBの死亡により自分が相続人になったことを知ったときであり、Aの死亡の死亡については直接関係はありません。
3.代襲相続の場合はどうなるか?
亡くなる順序が異なり、Aより先にBがなくなっている場合です。
このような場合で、CがBの相続について相続放棄をして、その後、Aが亡くなったとします。このような場合、CはAの相続に関して承認することができるのでしょうか?
結論としては、CはAの相続を承認して相続できます。
この場合、Cは、Bの相続放棄の時点では、Aの相続が発生していないので、Aの相続に関しての選択権を行使できません。つまり、Aの相続が開始した後に、Cは、Aの相続につき承認するか放棄するかを改めて選択することになります。
最後に
以上、名古屋の司法書士が、やや複雑な相続放棄のケースについて解説しました。
このようなケースも起こり得ると思います。ただし、この辺りまでくると相続人の方は、専門家へ意見を求めた方が良いでしょう。
相続放棄は、原則相続開始後3カ月以内にしなくてはいけません。短い期間での検討になるので、早めに準備をするようにしましょう。家庭裁判所への申立て準備にも時間がかかります。
名古屋のごとう司法書士事務所でも随時相続放棄に関する相談をお受けしております。また、不動産の相続登記、預金の相続手続きや相続不動産の売却など、相続に関して総合的にサポートできる体制を整えているのでご安心下さい。