自分で不動産の相続の登記をする場合【名古屋のごとう司法書士事務所】
2020/02/01
自分で相続登記をする際に気をつけたいこと3選
1.登記申請人は不動産を取得した相続人
遺産分割などで不動産を取得することになった相続人が相続登記を行います。他の相続人は、相続登記の添付書類となる遺産分割協議書への実印押印と印鑑証明書の提供という点では、登記申請に関与します。
しかし、相続登記の申請人はあくまで不動産を取得した相続人です。
登記申請時に納める登録免許税も当然、申請人が負担します。
また、不動産を取得した相続人が、相続登記に必要になる添付書類もそろえる必要があります。
費用や手間をすべて相続した者が行う形になります。
2.法定相続で登記する際の注意点
これは、一般の方が相続登記をする場合に限らず、たまに弁護士の方が登記をしている場合でも深く考えずに登記してしまい、あとからトラブルになっているのをたまに目にします。
法定相続分で相続をする場合、複数人いる相続人のうち一人が登記申請人となり相続登記をすることができます。
他の相続人と何らかの理由で、一緒に協力をして登記申請することができない場合などは、保存行為としてとりあえず、相続登記を法定相続分でする場合もあり得るのです。法律上はそれで正解ですが、登記手続きにおいては必ずしも正解ではないのです。
ただし、これには落とし穴があります。
登記申請人ではない、他の相続人には登記識別情報が発行されないという点です。
登記識別情報とは、昔でいう権利証です。所有者であることを確認するための書類のひとつです。将来、売却をしたり、担保権を設定したりする際には、登記手続きにおいて必要になります。これを紛失又は今回のように不発行ということでも、登記申請をする方法はありますが、通常は司法書士の本人確認等の方法を利用しますので、手間と費用がかかってしまうのです。
勝手に相続登記をされて自分のだけ登記識別情報がないわけですから、当然トラブルになるのです。
上記の登記識別情報がない場合の費用を誰が負担するのかなどでもめるのです。
無用なトラブルに巻き込まれないように注意しましょう。
3.相談は不動産を管轄する法務局へ
自分で不動産の相続の登記をする場合、本やインターネットで調べるだけでは難しいと思います。
そこで、何度か法務局へ相談をしに行く必要があるのが一般的です。
相談する法務局は、どこでもいいわけではありません。
相続をする対象となる法務局へ相談をします。登記手続きは全国一律ルールが決まっていますが、相続登記でも一部ローカルルールのようなものがあり、必要書類に違いがあることがあります。私たち司法書士でも微妙なケースでは念のため登記申請前に法務局に照会をかけたりします。
登記手続きは、各法務局の登記官が決定権を持っています。
その意味では各法務局が独立した立場で審査をしているのです。そのため、管轄外の最寄りの法務局に行っても必ず管轄法務局で確認をして下さいと言われることが多いのが現状です。
管轄法務局が遠方などで相談が現実的ではない場合は、やはり司法書士へ相談をされた方が良いかもしれません。交通費や手間を考えるとずいぶん楽になると思います。
なお、法務局の相談は、あくまで登記手続きの相談です。
相続人調査、相続財産調査、遺産分割協議などすべて終えている状態で、不動産を取得した相続人が相続登記のやり方を聞くための相談です。
遺産分割の内容や進め方など、法律相談のような中身に触れるような相談を受けることはできません。
ある程度相続の内容を相談してから、どのように遺産分割をして手続きするかを決めていきたい場合は、専門家への相談が必要になります。実際は、節税やトラブルの内容に相続を進めたいことが多いので、やはり司法書士や税理士などの意見を聞いて決める方が多いようです。
まとめ
以上、名古屋の司法書士が、自分で不動産の相続の登記をする場合の注意点をご紹介しました。
相続登記は複雑でめんどくさいと言われます。登記の前提となる遺産分割など法律問題も絡んできます。単なる手続きに終始しないのが相続登記といえます。
相続登記とは、相続という法律問題をクリアし、登記手続きで確実に権利を保全するものなのです。
間違いのない手続きを行うようにしましょう。