【名古屋の相続登記】外国籍の被相続人の場合はどうなる?手続き・必要書類・不動産売却まで専門家が解説
2026/03/02
1 相続に適用される法律はどこの国?―国際私法の基本
外国籍の被相続人の場合、まず問題となるのが「どの国の法律が適用されるのか」という点です。
日本では、相続の準拠法は原則として被相続人の本国法によると定められています(法の適用に関する通則法36条)。
たとえば、
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韓国籍の方 → 原則として韓国法
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中国籍の方 → 原則として中国法(ただし、不動産は反致規定により日本法の適用の可能性あり)
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アメリカ国籍の方 → 原則としてアメリカ法(州法)
が適用されます。
ただし、アメリカのように州ごとに相続法が異なる国では、どの州法が適用されるのかという問題が生じます。居住地やドミサイル(生活の本拠)によって判断されることが多く、ここは慎重な検討が必要です。
■ 名古屋で実際にあったケース
名東区にマンションを所有していた中国籍の男性が亡くなった事例では、
日本に永住していましたが、中国法に基づき相続人を確定する必要がありました。
日本の戸籍がないため、
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本国の親族関係証明書
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出生証明書
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婚姻証明書
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相続関係証明書
などを取得し、日本語訳を添付して登記申請を行いました。
このように、日本人の相続とは手続きの性質が大きく異なります。
2 外国籍の被相続人の相続登記に必要な書類
(1)戸籍の代わりになる書類
日本人の場合は戸籍謄本一式で相続関係を証明しますが、外国籍の方には戸籍制度がない国もあります。
そのため、
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本国政府発行の身分関係証明書
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公証書
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宣誓供述書(Affidavit)
などを組み合わせて相続関係を証明します。
さらに、
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日本語訳の添付
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翻訳者の記名
も必要です。
国によっては書類取得に数か月かかることもあり、時間的余裕が重要です。
(2)2024年4月からの相続登記義務化との関係
2024年4月1日から、相続登記は義務化されました。
正当な理由なく3年以内に登記をしない場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
外国籍の被相続人であっても例外ではありません。
むしろ、書類収集に時間がかかる分、早期の準備が必要です。
(3)遺産分割協議は有効か?
本国法によっては、日本のような「遺産分割協議」という制度が存在しない場合もあります。
その場合、
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法定相続分どおりでしか登記できない
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家庭裁判所の関与が必要
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公証手続が必要
など、日本人相続とは異なる対応が求められます。
ここは単なる書類作成ではなく、法律判断そのものが必要な場面です。
3 名古屋の相続不動産は売却すべきか?今後の市場動向
相続登記後、「売却するべきか、それとも保有すべきか」という相談も多くあります。
名古屋市内では、栄・名駅周辺の投資用物件は一定の需要がありますが、郊外エリアでは空き家増加が進んでいます。
今後の日本は、
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団塊世代の高齢化による不動産供給増
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若年層人口減少による実需縮小
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建築資材高騰による新築価格上昇
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所得二極化
という構造的変化の中にあります。
特に地方部では、資産価値を維持できないエリアが増加する可能性も否定できません。
■ 実際のご相談例
守山区の戸建を相続された方は、
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空き家管理費
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固定資産税
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将来の価格下落
を考慮し、早期売却を選択されました。
一方、東区の区分マンションを相続された方は、
海外在住の相続人であったため、賃貸運用を選択し、将来的な売却タイミングを見極める方針としました。
重要なのは、「感情」ではなく、市場動向と税務・法務を総合的に判断することです。
司法書士兼宅地建物取引士として、
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登記
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相続法
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不動産価格動向
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売買実務
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税務リスク
を一体で検討できる点が、単なる登記代行との大きな違いです。