相続人に帰化した方がいる場合の相続登記と不動産売却 ― 名古屋でのご相続手続きに迷われている方へ ―
2026/02/25
まずはじめに
「相続人の一人が、もともと韓国籍だったが日本に帰化している」
このようなケースで、相続登記や不動産の売却手続きが止まってしまうことは少なくありません。
名古屋市内でも、在日韓国人のご家庭や、帰化を経たご家族を含む相続案件は年々増えています。高齢化の進行とともに、団塊世代の相続が本格化し、空き家問題も社会課題となるなか、「相続登記をしないまま放置できない」というご相談が非常に多くなりました。
私は司法書士・宅地建物取引士として、不動産登記と売買実務の両面から相続をサポートしています。本記事では、相続人に帰化した方がいる場合の相続登記のポイントと、不動産売却までを見据えた対応策を、名古屋の実情に即してわかりやすく解説いたします。
1 帰化した相続人がいる場合の戸籍と身分関係の整理
― 「つながり」を証明することが最初の壁 ―
帰化とは、外国籍の方が日本国籍を取得する手続きです。たとえば、韓国籍から日本国籍へ帰化した場合、日本の戸籍が新たに編製されます。
ここで問題となるのが、帰化前と帰化後の同一人物性の証明です。
相続登記では、被相続人と相続人との身分関係を戸籍で証明しなければなりません。しかし、
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帰化前の氏名(韓国名)
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帰化後の氏名(日本名)
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本籍地の変遷
が絡むと、戸籍の収集と読み解きが一気に難しくなります。
特に、韓国籍であった時代の身分関係は、韓国の「家族関係登録簿」等によって確認することがあります。
また、在日韓国人の相続法適用関係については歴史的経緯も踏まえた検討が必要となる場合があります 。
もっとも、帰化後に被相続人が亡くなっている場合は、日本法が適用されるのが通常です(法の適用に関する通則法)。ただし、事案によっては個別判断が必要ですので注意が必要です。
2 名古屋の不動産を相続する場合の実務的注意点
― 登記を放置すると売却もできません ―
2024年4月から、相続登記は義務化されました。
相続を知った日から3年以内に登記をしなければ、過料の対象となる可能性があります(現行法に基づく)。
名古屋市、とりわけ昭和区・瑞穂区・天白区などの住宅地では、
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親世代が取得した戸建て住宅
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団塊世代が所有していたマンション
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古い借地権付建物
の相続が急増しています。
しかし、帰化した相続人がいるケースでは、
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氏名変更の履歴が登記簿と一致しない
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旧氏名での権利証が残っている
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印鑑証明書の氏名が異なる
といった問題が発生します。
実際に、名東区のあるご家庭では、帰化前の氏名で登記されていた不動産を売却しようとしたところ、登記名義人表示の変更を先に行う必要があり、売却が3か月以上遅れました。
不動産価格は、
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投資用物件(海外投資家向け)
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実需用住宅
で動きが異なります。名古屋中心部の一部投資用物件は底堅い一方、郊外の住宅地は今後、人口減少と空き家増加により価格維持が難しい地域も出てくると予測されています。
相続登記を整えたうえで、売却時期を見極めることが資産防衛の第一歩です。
3 帰化・国籍問題とこれからの相続環境
― 在日韓国人の動向と日本社会の変化 ―
近年、在日韓国人の方の帰化申請は一定数続いています。
日本での生活基盤の安定や、相続・不動産取得の円滑化を理由とするケースも少なくありません。
一方で、国際結婚や海外居住者が相続人となるケースも増え、相続は「国内だけの問題」ではなくなっています。
法務局への登記申請では、
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帰化許可年月日の確認
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国籍喪失の事実
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氏名変更証明
など、専門的な確認が求められます。
特に高齢のご相談者様からは、
「難しい書類はもう読みたくない」
「どこまで集めればよいのかわからない」
というお声をよく伺います。
相続は法律問題であると同時に、ご家族の歴史の整理でもあります。
丁寧に一つずつ紐解くことが大切です。