【名古屋で相続】一代で財を成した韓国籍の父が亡くなった場合の相続登記と不動産売却の実務
2026/02/18
まずはじめに
「父は裸一貫で来日し、会社を興し、不動産もいくつか取得しました。けれど、相続のことは何も聞いていなくて……。」
名古屋市内で実際にご相談を受けたご家族の一言です。
被相続人が韓国籍であり、しかも一代で財を築かれた方の場合、相続人の皆様は誇らしさと同時に、複雑な法的手続きという大きな壁に直面します。
特に名古屋は、製造業や不動産賃貸業で成功された在日韓国人経営者の方も多く、
・韓国籍のまま不動産を取得
・一部は日本国籍へ帰化
・会社名義と個人名義が混在
といった事例が少なくありません。
本稿では、名古屋で不動産を所有していた韓国籍の父が亡くなったケースを想定し、司法書士兼宅地建物取引士の立場から、相続登記と売却の実務上のポイントをわかりやすく解説いたします。
1 韓国籍の父が亡くなった場合に適用される法律とは
― 準拠法の判断が最初の分岐点 ―
相続で最も重要なのは、「どの国の法律が適用されるのか」という点です。
日本では、相続の準拠法は被相続人の本国法によるとされています(法の適用に関する通則法)。
つまり、韓国籍のまま亡くなった場合、原則として韓国法が適用されます。
韓国の相続法は日本法と似ていますが、
・法定相続分
・代襲相続の範囲
・遺留分制度
など細かな点で差異があります。
在日韓国人の相続実務については、専門的検討が必要であり、実務では戸籍(家族関係登録簿)の取得や翻訳が不可欠です。
帰化していた場合はどうなるか
もし生前に日本へ帰化していた場合は、日本法が適用されます。
近年、在日韓国人の帰化申請は一定数あり、特に事業承継や不動産管理を見据えて国籍を変更される方も増えています。
ただし、
・帰化前に取得した不動産
・韓国に残る財産
がある場合、慎重な法的整理が必要になります。
2 名古屋の不動産を相続登記する際の実務上の注意点
― 2024年義務化後の相続登記 ―
令和6年4月1日より、相続登記は義務化されました。
相続開始を知った日から3年以内に申請が必要です。
韓国籍の被相続人の場合、通常の相続登記よりも手続きは複雑になります。
① 必要書類が日本の戸籍と異なる
韓国の「家族関係証明書」等を取得し、日本語翻訳を添付します。
内容確認には韓国法の理解が不可欠であり、渉外登記の専門的知識が求められます()。
② 名古屋特有の不動産事情
名古屋市内でも、
・東区・千種区などの住宅地
・中区の収益ビル
・郊外の駐車場用地
では価格動向が大きく異なります。
現在、日本は
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団塊世代の高齢化による相続件数増加
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地方エリアでの空き家増加
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建築資材高騰による新築価格上昇
という構造的変化の中にあります。
投資用不動産(国内外投資家向け)と、実需用住宅の価格は明確に分けて考える必要があります。
名古屋中心部は比較的堅調ですが、郊外では将来的に資産価値を維持できないエリアも想定されます。
実例(仮想事例)
中区で賃貸ビルを所有していた韓国籍の父。
相続人は名古屋在住の長女(日本国籍)と、韓国在住の長男(韓国籍)。
・韓国法適用
・海外在住相続人の署名証明
・賃貸借契約の承継整理
これらを一つずつ整え、無事に相続登記を完了しました。
もし専門家が介入せずに進めていた場合、法務局で何度も補正になる可能性が高い事案でした。
3 相続不動産を売却すべきか、それとも保有すべきか
― 司法書士兼宅建士としての視点 ―
相続した不動産を「売るべきか」「持つべきか」。
これは単なる登記の問題ではなく、資産戦略の問題です。
今後の名古屋不動産市場をどう見るか
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若年人口減少による住宅需要の減少
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高齢者死亡増加による供給増
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世界的インフレと建築費高騰
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富裕層向け物件と一般住宅の価格二極化
これらを総合すると、
「すべての不動産が将来も値上がりする」とは考えにくいのが現実です。
特に郊外の戸建や古いアパートは、早期売却の方が合理的なケースもあります。
税務面の確認
・取得費加算の特例
・相続空き家の3,000万円特別控除
など、税制は頻繁に改正されます。
具体的適用の可否は個別判断が必要であり、最新情報に基づく確認が不可欠です。