【司法書士ならやらない個人間売買 〜安心・安全な不動産取引のために知っておきたいこと〜】名古屋のごとうし司法書士事務所

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【司法書士ならやらない不動産の個人間売買 〜安心・安全な不動産取引のために知っておきたいこと〜】名古屋のごとう司法書士事務所

2025/12/02

まずはじめに

「昔から付き合いのある人に土地を譲ってあげたいと言われた」「親が亡くなり、兄弟で話し合って、実家を兄が買い取ることになった」「近所の方から直接、家を売ってほしいと頼まれた」——不動産の売買を不動産会社を介さずに、当事者同士だけで取り決める、いわゆる「個人間売買」は、年々増えてきています。

特に最近では、インターネットの普及により、自分で調べれば不動産取引の知識がある程度手に入るようになりました。SNSや個人間の掲示板、口コミなどを通じて物件の売買が成立することもあります。また、不動産会社に仲介を依頼すると、仲介手数料がかかるため、それを節約しようとする目的で個人間売買を検討される方も少なくありません。

「知り合い同士だから大丈夫」「家族間の取引なので安心」「難しいことはなく、契約書を交わせば問題ないだろう」——こうした思い込みから、専門家の介入なしに取引を進めてしまうケースがよくあります。しかし、司法書士の立場から言えば、不動産の個人間売買こそ慎重に進めなければならない取引であり、場合によっては、「これは関与できません」とお断りするような事例も少なくないのが現実です。

不動産の取引は、金額の大きさだけでなく、手続きの複雑さ、関係者の多さ、そして何より、法的なリスクが高いことが特徴です。特に個人間売買の場合、その多くが不動産の専門知識に乏しいまま進められてしまうため、「知らなかった」「思い込みがあった」「確認していなかった」ことが後々重大なトラブルを招くことになります。

たとえば、登記上の名義と実際の所有関係に食い違いがあったり、境界が未確定なまま取引がなされていたり、売却しようとしている不動産に抵当権や差押えが付いていたりすることもあります。そうした状況を事前に精査せずに契約を交わしてしまえば、売主にも買主にも大きな不利益が生じる可能性があるのです。

司法書士は、不動産登記の専門家であると同時に、売買契約の背後にある権利関係やリスクの有無を、客観的かつ法的にチェックする立場にあります。さらに宅地建物取引士の資格を併せ持っている司法書士であれば、実務的な不動産取引の実態を踏まえながら、法律と現場の両面からリスクを見抜き、取引全体を安全に進めるためのサポートが可能です。

本記事では、そうした司法書士の視点から、「司法書士ならやらない個人間売買」について、なぜそれが危険なのか、どんなトラブルが起きやすいのか、そして、どうすれば安心・安全な不動産取引ができるのかを、具体的なポイントに絞ってわかりやすくご紹介します。

もし今、個人間で不動産の売買をしようと考えている方がいらっしゃれば、この記事を一度読んでいただき、「知ってから動く」ことの大切さを感じていただければ幸いです。

1 個人間売買に潜む「見えないリスク」

「個人同士で不動産を売買するなんて、特別なことではない」と思われる方は少なくありません。身近な人同士であれば、信頼関係もありますし、話し合いもスムーズに進むことが多いでしょう。さらに、不動産会社を通さないことで仲介手数料がかからず、コストを抑えられると考えがちです。

しかし、不動産というのは、たとえ1坪、1部屋であっても、「権利」と「法的な手続き」が複雑に絡み合う資産です。そのため、目に見えない部分で思わぬ落とし穴が潜んでいます。そして、それが発覚するのは、取引が終わった後、つまり**「もう取り返しがつかないタイミング」**であることが多いのです。

「境界があいまい」というだけで、取引が成立しないことも

個人間での土地売買でもっとも多いトラブルの一つが、「境界がはっきりしていない土地」の問題です。住宅地にある土地の多くは、昔ながらのまま使われてきたものが多く、法的な境界が明確に確定されていないことがあります。

たとえば、ブロック塀やフェンスが境界だと思っていても、実際には隣地との所有境界とずれていた、ということは珍しくありません。売買の後に隣人から「うちの土地に建物がはみ出している」と指摘され、トラブルになるケースもあります。場合によっては裁判にまで発展し、数年かけて争うこともあります。

司法書士は、不動産登記の現状と測量図、必要に応じて公図や筆界確認書なども確認しながら、境界に問題がないか、事前にしっかり調査します。もし境界が不明確な場合は、土地家屋調査士と連携し、必要な測量や確定作業を行うようご提案します。こうした事前の一手間が、後々の重大トラブルを未然に防ぐのです。

抵当権・差押え・未登記の建物…「見えない」からこそ危険

登記簿を見ないまま個人間売買を進めてしまうと、「そもそも売れない不動産を買ってしまった」ということになりかねません。

たとえば、売主が住宅ローンを完済しておらず、不動産に抵当権(金融機関の担保)が残ったままになっていることがあります。この状態で売買しても、抵当権が残っていれば、万一売主が他の債務を滞納した場合、その不動産は差押えの対象になります。買主が代金を支払って所有者になったつもりでも、実際には安心して住むことができないのです。

また、地方によくあるのが「未登記の建物」です。父母が建てた古い家が登記されていないまま使われていたり、増築部分が未登記であったりするケースです。未登記建物は、法的には「ないもの」として扱われ、後に売買した買主が正しく登記しようとしても、多くの手間や追加費用がかかってしまいます。

司法書士であれば、登記簿を取得・精査し、権利関係や法的リスクを事前に把握したうえで、必要に応じて「このままでは売買できません」と率直に助言することができます。個人間では見逃しがちな重要なチェックポイントを網羅的に確認できるのが、専門家である司法書士の強みです。

買主が損をする取引を「成立させてしまう」怖さ

個人間売買で特に注意すべきなのは、買主が圧倒的に弱い立場になりがちだということです。売主が不動産の知識に長けていたり、過去にも売買の経験がある場合、初心者の買主は「言われるがまま」に話を進めてしまうこともあります。

たとえば、重要な瑕疵(かし=欠陥や不具合)があることを知らされないまま契約が結ばれることがあります。雨漏り、シロアリ被害、地盤沈下、過去の事故物件など、本来であれば契約前に説明すべき情報を知らされないまま購入してしまい、後から「聞いていなかった」と争いになるのです。

また、不動産売買においては、契約書の内容次第で、どちらが責任を負うかが大きく変わります。「契約自由の原則」があるため、不利な内容でも当事者が合意すれば成立してしまうのです。司法書士は、法的に問題のある契約条項がないかを確認し、必要であれば修正や助言を行います。こうしたプロの目によるチェックを怠ることが、思わぬ損害を生むのです。

2 「契約書を作れば大丈夫」は大きな誤解

不動産の個人間売買に関するご相談の中で、しばしば耳にする言葉があります。

「契約書さえ作れば大丈夫でしょう?」
「ネットにテンプレートがあるから、それを使えば問題ないですよね?」

確かに、「契約書」がなければ、何を約束したのかが不明確になり、後々トラブルに発展することもあるため、書面を交わすこと自体は非常に重要です。ですが、「契約書を交わせばそれで安心」ではないという点に、大きな落とし穴があります。

契約書の内容が曖昧だったり、法律的に無効な条項が含まれていたりする場合、それが原因で大きな損害やトラブルが生じることもあります。そして、多くの方が知らずにやってしまっているのが、「ネットのテンプレートをコピーして使う」ことによる落とし穴なのです。

テンプレート契約書ではカバーできない「具体的な事情」

市販の書式やネット上の契約書テンプレートは、あくまで「汎用的な形式」に過ぎません。不動産の売買は一つとして同じ条件のものはなく、それぞれ異なる事情を抱えています。

たとえば以下のような事情がある場合、テンプレートでは到底対応しきれません。

  • 不動産に未登記部分がある

  • 売買の一部代金が将来支払われる予定(分割払い)になっている

  • 建物に借主(賃借人)がいる状態での売買

  • 親族間での特別な取り決め(将来的な使用条件や建て替え制限など)

  • 名義が共有になっているが、一人だけが売却を希望している

こうした「個別の事情」を正確に契約書に反映させないまま取引を進めると、後で**「そんな約束はしていない」「書面に書いてないから無効だ」**という争いになることがあります。司法書士は、売買の背景や登記の内容をしっかりと把握し、必要に応じて契約内容を法律的に整合性のある形に整理します。

口約束と違約条項の不備が生むトラブル

個人間の取引では、どうしても「信頼関係」を前提に話が進みがちです。「あとで振り込むよ」「細かいことは大丈夫」といった口約束に頼ってしまい、契約書には重要な点が明記されていないということがよくあります。

特に問題になるのが、**代金の支払い時期と方法、そして万が一支払いが滞った場合の対応(違約条項)**です。これらがあいまいなままだと、トラブルが起きたときに買主・売主双方の責任の所在が不明確になります。

たとえば、「手付金を支払った後にキャンセルしたらどうなるか?」という場面。契約書に具体的な取り決めがなければ、「返金してもらえると思っていた」「違約金として没収する約束だった」と、双方が自分に有利な主張をしてしまい、感情的な争いになります。

こうした事態を避けるためには、司法書士が間に入り、取引の流れとリスクを想定したうえで、「もしも」の場面に備えた条項を契約書に盛り込む必要があります。プロの目でリスクを想定し、万が一のときに備えたルールを決めておくことこそが、契約書の本来の目的なのです。

登記に使えない契約書は、意味がない

不動産売買のゴールは、「登記」が無事に完了することです。つまり、契約書がどんなにきれいに作られていても、それが登記申請に適さない内容だった場合、そのままでは法務局で登記が通らないということもあり得ます。

登記申請に必要な契約書には、「物件の特定」「当事者の確認」「権利移転の時期」「売買の合意」など、一定の要件が必要です。これらを満たしていない場合、法務局から「補正通知」が届き、修正や再提出を求められたり、最悪の場合、登記申請が却下されることもあります。

また、不動産の登記は税金とも密接に関係しています。契約書の記載によっては、想定以上の登録免許税や不動産取得税が発生する可能性もあります。税務の観点からも、契約内容を精査する必要があるのです(※税額の確定は税理士の領域ですが、登記に関連する部分については司法書士も重要なアドバイスを行います)。

司法書士は、登記申請を見据えた実務経験をもとに、**「登記が通る契約書かどうか」「法務局が求める要件を満たしているか」**を正確に判断します。こうした視点は、一般の方や行政書士、他の士業には持ちにくい司法書士特有の専門性です。


以上のように、契約書があれば安心という考え方は、不動産取引の世界では非常に危ういものです。契約書とは、あくまでも双方が「何を」「どのように」約束したのかを明確にするためのツールであり、それが適切に機能するためには、内容の正確さと法的な整合性が必要不可欠です。

その意味でも、契約書作成を自己流やテンプレートに頼るのではなく、登記・契約・法的チェックに長けた司法書士に相談することが、安心できる取引への第一歩になります。

3 「専門家を介さない」ことが最大のコストになる

不動産の個人間売買を検討する方の多くは、「できるだけ費用をかけたくない」「仲介手数料や専門家の報酬がもったいない」と考えていらっしゃるのではないでしょうか。確かに、不動産会社に仲介を依頼すれば、物件価格の3%+6万円(税別)という仲介手数料が発生しますし、司法書士に依頼すれば報酬がかかります。

しかし、こうした**「表に見えるコスト」を節約しようとして、もっと大きな「見えない損失」を被ってしまう**というケースが後を絶ちません。実は、不動産取引においては、専門家を介さないこと自体が、最大のリスクであり、最大のコストになり得るのです。

表面上の節約が、数倍の損失になる現実

たとえば、個人間で売買契約を結び、登記申請も自分でやってみようと考える方がいます。インターネットで「登記申請のやり方」と検索すれば、手順を説明している記事や動画が出てきますし、市販の書籍もあります。

しかし、不動産の登記は「決まった型」にはまるものばかりではありません。むしろ、登記簿の状況や権利関係、税金の影響など、個別の事情によって柔軟に対応しなければならないことが多く、マニュアル通りには進まないのです。

自己判断で書類を作成し、法務局に提出しても、補正(修正)の連絡が来て何度も出直しになったり、最終的に登記が却下されてしまうこともあります。最悪の場合、「登記が完了していない間に、第三者に権利が移ってしまった」「期限内に登記が完了せず、税務上の特例が受けられなくなった」という事態すら起こり得ます。

わずかな報酬を惜しんで専門家を介さなかった結果、数十万円、場合によっては数百万円単位の損失を出してしまう――これは決して珍しいことではありません。

買主が一方的に不利になる構造を見抜けない

個人間売買では、どうしても情報の非対称性が生じます。つまり、一方の当事者(特に売主)が不動産や法律に関する知識を持っていて、もう一方(特に買主)が素人である場合、買主が不利な契約内容に気づかないまま契約を締結してしまうことがよくあります。

たとえば、「現況有姿(げんきょうゆうし)」という言葉をご存じでしょうか? これは「現状のままで引き渡す」という意味で、不動産業界では頻繁に使われる契約条件です。売主としては、「今あるままを引き渡すので、後で文句は言わないでくださいね」という意味合いです。

しかし、買主がこの意味を正確に理解していない場合、「見た目はきれいだったけれど、実は配管が老朽化していてすぐに使えなくなった」「地盤に問題があり、建て替えできない土地だった」などのトラブルに遭っても、原則として補償を受けられないという事態になります。

こうした専門的な契約条件やリスクを、素人が見抜くことは極めて困難です。司法書士であれば、契約書の中に潜む不利益な条項を読み取り、「このままでは買主に不利です」「この点は補足説明が必要です」といった、契約の中身を読み解くプロの視点で助言することができます。

また、当事務所のように宅地建物取引士の資格も持つ司法書士であれば、不動産取引全体のリスク分析と調整が可能です。契約、登記、権利関係、将来の相続や売却まで含めた総合的なアドバイスを提供できるのが特徴です。

専門家の存在が「心理的安心」になる

取引金額が数百万円から数千万円に及ぶ不動産売買において、「これで本当に間違っていないだろうか」「相手は信頼していいだろうか」「書類に不備はないか」など、多くの不安を抱えるのは当然のことです。

専門家を介さない場合、これらの不安を自分だけで抱え込むことになります。そして、誰にも相談できないまま、なんとなく進めてしまった結果、取り返しのつかないミスや、関係者との信頼関係の破綻を招いてしまうこともあります。

一方、司法書士が関与している場合、第三者の目によって冷静に状況を確認し、当事者双方の間に立って法的な中立性を保つことで、安心して取引を進めることができます。また、万が一のときにも、「まずは司法書士に相談すればいい」と思えるだけで、心理的な負担が大きく軽減されるでしょう。

この安心感こそ、専門家を介在させることの真の価値であり、「手数料」という名の出費以上に大きなリターンがあるといえるのです。


まとめとして

不動産の個人間売買は、一見すると自由でコストも安く済むように見えます。しかし、法律・登記・税務が複雑に絡む不動産取引において、「素人判断」や「ネットの知識だけ」で進めることは、非常にリスクが高く、かえって高くつく結果になりがちです。

専門家を介さないという判断が、将来の安心や安全を犠牲にしてしまうことがあるということを、ぜひ知っておいていただきたいと思います。
司法書士は、「登記の専門家」であると同時に、法律・契約・権利関係のプロとして、あなたの大切な資産を守る存在です。

まとめ:不動産取引の「安心」は、専門家とともに築くもの

不動産の個人間売買は、「信頼している相手との取引だから」「費用を抑えたいから」「不動産会社に頼らずに進めたいから」といった理由から、近年、選択肢として考えられることが増えてきました。

しかし、本記事で見てきたとおり、不動産は単なるモノの売買ではありません。土地や建物は「権利」として法的に保護された資産であり、その取引には、複雑な法律・登記・税務の知識が必要不可欠です。

境界があいまいだった、抵当権が残っていた、未登記の建物だった、あるいは契約書の条項が適切でなかった——これらは、実際に個人間売買でよく起こるトラブルの一例です。そして、そうした問題が発覚するのは、多くの場合「取引が終わった後」、つまり取り返しのつかないタイミングです。

「契約書があれば大丈夫」という誤解も、多くの人が抱えがちな落とし穴の一つです。書面が存在すればそれで安心、と思いたくなるのは自然なことですが、契約書の中身が法的に正しくなければ、逆に自分を不利な立場に追い込むことにもなりかねません。

そして何より、「専門家を介さないこと」自体が、最も大きなコストとなる可能性があるということを、ぜひ心に留めていただきたいと思います。

目先の費用を節約するために、数千円、数万円を削った結果、数十万円、場合によっては数百万円の損害が生まれてしまう。それだけではなく、家族や親族、近隣の人との信頼関係が壊れてしまうこともある——それが不動産の取引です。

だからこそ、私たち司法書士のような専門家が存在しています。
司法書士は、不動産登記のプロであり、また、法律の立場から取引の全体像を見渡すことができる、数少ない国家資格者です。特に、宅地建物取引士の資格も持つ司法書士であれば、売買の流れ、契約の内容、税務との関係、相続や贈与への影響など、幅広い観点からアドバイスすることが可能です。

私たちの事務所では、単に手続きを代行するだけではなく、お一人おひとりの事情に合わせた「オーダーメイド対応」でご相談に乗っています。
ご家族の思いを大切にしたい方、自分の財産を将来の安心につなげたいと考えている方、誰かに迷惑をかけずに円満に話を進めたい方——そうした方こそ、ぜひ一度、専門家に相談してみてください。

情報があふれる時代だからこそ、「正しい判断」と「確かな手続き」を支える専門家の存在が、これまで以上に大切になっています。

不動産取引は、人生で何度も経験することではありません。だからこそ、失敗できない、大切な一歩です。
信頼できる専門家とともに、安心と納得のいく不動産取引を実現していただけることを、心から願っております。

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