【失敗した人がやっている相続登記の進め方 ~あとで後悔しないために知っておきたい注意点~】名古屋のごとう司法書士事務所

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【失敗した人がやっている相続登記の進め方 ~あとで後悔しないために知っておきたい注意点~】名古屋のごとう司法書士事務所

2025/09/30

まずはじめに

相続登記――この言葉を聞いて、すぐに「やらなければ」と思う方は、実はあまり多くありません。
なかには、「うちは家族仲もいいし、大きな財産もないから大丈夫」「そのうちやればいい」と軽く考えてしまっている方もいるかもしれません。

しかし、相続登記は、相続財産の中に不動産がある場合に避けては通れない大切な手続きです。そして、近年の法改正により、相続登記の放置が「法律違反」となる時代がすでに始まっています。
令和6年(2024年)4月からは、相続登記の義務化が始まり、相続によって不動産を取得した人は、相続を知った日から3年以内に相続登記を行わなければならないと定められました。
違反すると10万円以下の過料が科される可能性もあります。

ところが、こうした法改正の重要性が十分に知られていないこと、また手続きが煩雑であることから、多くの方が間違った進め方をしてしまい、かえってトラブルや手間を増やしてしまっているのが実情です。
中には、「費用を節約したい」とご自身で何とかしようとした結果、法務局から補正を求められ、何度も足を運ぶ羽目になったり、相続人同士の話し合いが曖昧なまま進めてしまったことで後々深刻な親族間トラブルへと発展してしまったりといったケースも少なくありません。

また、実際に相続登記を後回しにしてしまったことで、不動産が“名義変更できない状態”となり、売却や活用ができなくなってしまったというご相談もよくあります。
特に地方の不動産では、需要の低下や空き家の増加が進み、「早めに処分しておけばよかった」と後悔する方も多いのが現状です。

本記事では、そうした“失敗してしまった方”が実際にやってしまっていた相続登記の進め方を具体的にご紹介します。
「自分は大丈夫」と思っている方こそ、今一度立ち止まって、適切な進め方を知っていただきたいと思います。
この記事を通じて、相続登記で陥りやすい落とし穴を知り、今からでも間に合う正しい選択をしていただけることを願っています。

1.手続きを先延ばしにしてしまう

相続登記で最も多く見られる失敗の一つが、「手続きを後回しにしてしまうこと」です。
相続が発生した直後は、喪失感や日常生活の変化、葬儀や各種手続きなどに追われて、相続登記のことまで意識が回らないという方が少なくありません。「今はまだ必要ない」「急いで登記する意味が分からない」と思ってしまい、結果として何年も放置してしまうこともよくあります。

しかし、相続登記の先延ばしには、見落とされがちな重大なリスクがいくつも潜んでいます。特に、2024年(令和6年)4月に施行された相続登記の義務化によって、その重要性は格段に増しています。
新制度では、相続が発生し、不動産を取得した人は、相続を知った日から3年以内に登記しなければならないと法律で定められました。正当な理由なくこの期限を超えて放置した場合、**10万円以下の過料(罰金)**を科される可能性があります。

時間が経つほど、手続きは複雑になる

「とりあえず今は困っていないから、いつか時間があるときに」と考える方が多いのですが、相続登記は時間をかければかけるほど、手続きが複雑になる傾向があります。

例えば、相続人の一人が亡くなってしまった場合、その方の相続人(つまり次の世代)が新たに関与することになり、手続きが一気にややこしくなります。これを「数次相続」といいますが、場合によってはまったく面識のない遠縁の親族が登場したり、意思確認が取れずに話し合いが頓挫するケースも出てきます。

また、相続人が高齢化すると、認知症などの問題も出てきます。意思能力が不十分と判断された場合には、家庭裁判所で「成年後見人」を選任してもらう必要が生じることもあり、そうなると相続登記に関係する手続きだけで半年以上かかることも珍しくありません。

登記をしていない不動産は“使えない財産”になる

相続登記をしていない不動産は、いわば「名義が誰のものか法的に確定していない状態」です。そのため、売却・贈与・担保設定・建て替え・融資の申し込みなど、一切の法律行為が行えません。たとえ長年住み続けていた家であっても、登記がされていない限りは自分の名義にはなっておらず、法的には亡くなった方の所有物のままなのです。

たとえば、急に施設への入所が必要になった高齢者が、自宅を売却して入所費用に充てようとしたとします。しかしその家が亡くなった親名義のままになっていた場合、相続登記を完了しなければ売却できず、手続きに数ヶ月かかることもあります。その間に入所のタイミングを逃してしまったり、希望する施設に入れなくなってしまうリスクも考えられます。

空き家問題にもつながる放置リスク

また、不動産を放置して相続登記をしないままでいると、空き家問題にも発展します。今後、日本では高齢化の進行とともに、相続による不動産の移転がますます増えていきます。その一方で、地方の住宅地などでは、利用されないまま放置された空き家が増え続けており、社会的な問題となっています。

空き家を放置すると、老朽化により周囲の住民に迷惑をかけるだけでなく、自治体から指導や勧告を受けることもあります。中には、「特定空き家」として固定資産税が減免されず6倍の課税対象になるケースもあります。こうした事態を防ぐためにも、相続が発生した段階で早めに登記を済ませ、管理・売却・有効活用の選択肢を自由に持てる状態にしておくことが重要です。

2.自分でなんとかしようとして途中で挫折

相続登記の手続きを自分で行おうと考える方は、年々増えています。
インターネットで検索すれば、「相続登記を自分でやる方法」「費用を安く済ませるコツ」といった記事や動画が数多く見つかり、一見すると簡単にできそうに思えるかもしれません。特に、「費用を節約したい」「専門家に頼むのは気が引ける」といった理由から、自力で登記を進めようと決断する方も多いようです。

たしかに、相続人が1人であったり、相続財産が不動産1つだけであったり、争いのないシンプルなケースであれば、ご自身で申請書を作成し、必要書類を揃えて法務局に提出することも不可能ではありません。
しかし、実際には途中で手が止まってしまい、結局プロに依頼し直すケースが非常に多いのが実情です。

自分で進める場合の“見えにくい壁”

相続登記には、いくつものハードルがあります。代表的なものを挙げてみましょう。

① 戸籍の収集が困難

まず、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までのすべての戸籍を揃える必要があります。戸籍の様式は時代によって変わっており、古い戸籍は手書きやくずし字で読みにくいことも多く、どこに請求すればよいのかすら分からない場合もあります。

さらに、転籍を繰り返していると、全国の市区町村役場に請求しなければならないこともあり、そのやりとりだけで数週間から1か月以上かかることもあります。

② 遺産分割協議書の作成に不備

相続人が複数いる場合は、誰がどの財産を相続するかを記した遺産分割協議書を作成し、全員の署名・実印による押印と印鑑証明書の添付が必要です。

この書類には法的な形式が求められ、内容に不備があると登記が受理されません。特に、「書式をネットで見よう見まねで作った」「必要な事項が抜けていた」などの理由で、法務局から補正を求められるケースが多数報告されています。

③ 登記申請書の作成が難しい

登記申請書も一見すると単なる書類のようですが、法務省の様式を正しく理解して作成しなければならず、初心者には非常に分かりづらいのが実情です。

登記原因や登記の目的の書き方、登録免許税の計算、課税標準額の確認など、専門的な知識が必要です。間違った情報で提出してしまうと、再提出を求められたり、受付が却下されることもあります。

④ 書類不備・不足で法務局に何度も通う羽目に

不備のある書類を提出すると、法務局から「補正通知」が届き、修正または追加書類の提出を求められます。
補正のたびに役所に行き、印鑑証明や住民票を取り直し、再度法務局に足を運ぶ必要があり、これを何度も繰り返しているうちに心が折れてしまう方も少なくありません。

さらに、法務局は平日昼間しか開いていないため、仕事をしている方にとっては通うこと自体が大きな負担になります。

自分での申請が“高くつく”ことも

「費用を節約しよう」として自力で始めた手続きが、結果として多くの時間と労力を消費し、精神的にも疲弊してしまうというケースは少なくありません。
しかも、税金の面でも注意が必要です。たとえば、相続人以外に名義を移すつもりで登記すると、「贈与」とみなされて多額の贈与税が発生するリスクもあります。

また、不動産の評価額を誤って入力したことで、登録免許税を過剰に支払ってしまうようなケースも実際にあります。これらは正しい知識があれば防げるミスですが、専門的な判断が求められるため、自己判断には限界があるのです。

3.家族との話し合いを曖昧にする

相続登記において、もう一つよくある失敗が、「相続人同士の話し合いを曖昧なまま進めてしまうこと」です。
法律的には、遺言書が存在しない場合、相続人全員の同意のもとで財産をどのように分けるかを決める必要があります。これを「遺産分割協議」といいます。

一見、家族間での話し合いはスムーズに進むように思えるかもしれません。「うちは揉めごとなんて起きない」「兄弟仲は良いから問題ない」と考える方も多いのですが、現実はその逆です。“うちは大丈夫”と思っていた人ほど、話し合いの甘さが原因で後にトラブルへと発展してしまうことが少なくありません。

曖昧な話し合いがもたらす深刻な結果

家族・親族の間で十分な話し合いをしないまま、相続登記を進めてしまった場合、以下のような問題が起こる可能性があります。

■ 口約束だけで進めてしまう

「とりあえず長男の名義で登記しておこう」「あとでちゃんと話し合えばいいから、今は仮で登記だけしておこう」といった口約束で済ませてしまうケースがあります。
しかし、相続登記が一度完了してしまうと、その不動産は登記名義人の所有物として法的に確定します。後になって他の相続人が「話が違う」と主張しても、登記を変更するには新たな合意が必要となり、一方的な修正は不可能です。

場合によっては、名義変更を争点にして訴訟に発展することもあり、こうなると家族関係に深刻な亀裂が入るおそれがあります。

■ 相続人の誰かが不満を抱えたまま沈黙

表向きは合意しているように見えても、内心では「本当は納得していない」「不公平だと思っている」と感じている相続人がいることも少なくありません。
特に、遠方に住んでいる相続人や、親の介護に関わっていなかった兄弟姉妹などが、積極的に意見を言わず、後から不満を爆発させるケースが見受けられます。

こうした不満が表面化すると、登記済みの不動産について異議申し立てがあったり、他の財産について新たな紛争が生じたりと、相続全体に悪影響が及びます。

■ 話し合いの証拠が残っていない

仮に遺産分割について全員が納得していたとしても、その内容を文書にしっかり残していないと、後日「言った・言わない」の争いが起こることがあります。
相続登記を行うには、正式な「遺産分割協議書」の作成が必須です。この書類は、法律に則った形式で作成され、全員の実印による押印印鑑証明書の添付が求められます。

この過程を省略し、「覚書程度のメモ」や「メールのやり取り」だけで済ませてしまうと、法務局では受け付けられませんし、後になって誰かが異議を唱えれば、それを覆す法的根拠がなくなってしまいます。

家族間の感情にも配慮した手続きが重要

相続は、お金や不動産といった“モノ”の分け方だけではなく、家族の感情や歴史も交差する非常にデリケートな問題です。
たとえば、長年親と同居してきた子が「自分がこの家を相続するのは当然だ」と思っていたとしても、他の兄弟姉妹からは「不公平だ」と見られることもあります。

また、親の介護や家業の手伝いをしていたかどうかなど、それぞれの立場で“正しさ”が異なるため、一方的な判断は反発を招きやすいのです。
このような場面では、第三者である司法書士が冷静・中立な立場で介入することで、感情的な対立を避けながら、客観的かつ法的に適正な解決を導くことが可能になります。

早い段階からの対話が“争族”を防ぐカギ

相続トラブルを避ける最大のポイントは、相続が発生する前から家族間での情報共有と対話を意識することです。
財産の内容や親の希望を家族全員がある程度把握していれば、いざというときにもスムーズに対応できます。
また、相続が発生した後であっても、できるだけ早い段階で相続人全員が集まり、司法書士などの専門家のサポートを受けながら、文書化と合意形成を丁寧に行うことが重要です。

まとめ

相続登記は、一見すると「書類を揃えて名義を変えるだけの手続き」のように思えるかもしれません。
しかし、実際には法律、税務、不動産の知識が求められる複雑な作業であり、さらにその裏側には家族や親族の感情、価値観、人生観が深く関わってくる非常にデリケートな問題でもあります。

今回ご紹介したように、相続登記で失敗してしまった方々の多くは、以下のような共通点を抱えていました。

  • 忙しさや不安から、登記の手続きを後回しにしてしまった

  • 「自分でやれば安く済む」と思って手をつけたものの、途中で複雑さに気づき挫折してしまった

  • 家族との話し合いを十分に行わず、曖昧な合意のまま登記を進めてしまった

これらはいずれも、「よかれと思ってやったこと」が、結果としてトラブルや後悔、あるいは予想外のコストにつながってしまった例です。
特に相続登記は、2024年から義務化され、法律上の期限や罰則も明確に設けられるようになりました。これまでのように「何となく放置しておく」ことは、今後ますます許されない時代になっていきます。

また、不動産は単なる「財産」ではなく、人生の舞台であり、家族の思い出が詰まった大切な空間です。だからこそ、誰がどのように所有し、どう活用していくのかという判断には、法的な正しさだけでなく、感情的なケアや配慮が欠かせません。

司法書士は、不動産の名義変更や相続登記において、単に書類を作るだけでなく、相続人全員にとって納得のいく形をつくり、トラブルの芽を未然に防ぐ調整役としての役割を果たします。さらに、宅地建物取引士の資格を持つ司法書士であれば、登記に加えて不動産の価値や今後の活用方法についても具体的なアドバイスが可能です。

相続登記を「いつかやればいいこと」として先送りにするのではなく、「今、正しい形で進めておくべき手続き」として捉えなおすことが、財産を守り、家族の絆を大切にする第一歩です。
後悔のない相続を実現するためにも、ぜひ早めに信頼できる専門家へ相談し、安心できる形で未来を整えておきましょう。

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