【もう迷わない、収益物件の相続 ~相続・登記・管理まで、不動産の専門家がやさしく解説~】名古屋のごとう司法書士事務所
2025/09/17
まずはじめに
「親が生前に持っていたアパートを相続することになったけれど、どうしたらいいのかわからない」「突然収益物件を相続して、名義変更や家賃の管理、税金のことなど考えることが多すぎて不安…」「専門家に相談したいけれど、誰に何を相談すればいいの?」——こうしたご相談をいただくことが、近年とても増えています。
特に、相続する不動産が自宅や空き地ではなく、**収益物件(=家賃収入のある不動産)**である場合、法律上・登記上・税務上の問題だけでなく、実際の管理運営にも注意が必要です。
「不動産」と一口に言っても、収益物件にはアパートやマンション、テナントビル、貸駐車場、倉庫などさまざまな形態がありますが、共通して言えるのは、「相続したあと、その物件をどう扱っていくか」が非常に重要だということです。
収益物件の相続は、財産を「受け取って終わり」ではありません。実際には、相続登記を行い、家賃収入を得ながら維持管理を続けるか、売却して現金化するかといった判断をしていく必要があります。そしてその判断には、「法的な正しさ」「税務上の影響」「不動産市況の動向」など、多角的な視点が求められます。
たとえば、相続した物件に既に賃借人(入居者)が住んでいる場合、賃貸契約は当然引き継がれます。家賃の請求や修繕対応、更新手続きなどは、これまでの所有者に代わって、新たな所有者である相続人が責任を持って行う必要があります。また、物件にローンや抵当権が付いている場合には、その負債の扱いや債権者との調整も視野に入れて動かなくてはなりません。
さらに、2024年の法改正により、相続登記は義務化され、3年以内に名義変更しなければ過料(罰金)の対象になります。相続人が複数いるケースでは、「誰が相続するのか」「共有にするか単独にするか」などの取り決めが必要で、遺産分割協議や遺言書の確認が必要になるケースも多くあります。
そしてもう一つ忘れてはならないのが、税金の問題です。収益物件は固定資産税や都市計画税だけでなく、相続税、譲渡所得税、さらには相続後の家賃収入に対する所得税の問題も発生します。何も知らずに進めてしまうと、後から多額の税金を請求されることもあり得ます。
つまり、収益物件の相続は、登記や法律だけでなく、税務、賃貸管理、今後の活用方法までを視野に入れて考える必要があるという、非常に専門性の高い分野なのです。
本記事では、司法書士であり、同時に宅地建物取引士として不動産取引や不動産相続の現場に精通した筆者が、収益物件を相続された方に向けて、**「何を最初にすればよいのか」「手続きや法律のポイント」「管理・活用・売却の選択肢」**などをわかりやすく解説していきます。
ご自身がこれから物件を管理していく立場になる方、ご家族で今後の相続に備えて準備を進めている方、また、すでに相続したものの判断に迷われている方にとって、少しでも不安や疑問が解消されるよう、専門家の視点からお手伝いできればと思います。
「収益物件の相続」という人生でも数少ない経験を、安心して前向きに進められるように——まずは正しい知識を知ることから始めてみましょう。
1 収益物件を相続したとき、まず確認すべき3つのこと
収益物件を相続するというのは、自宅や空き地の相続とはまったく違った難しさがあります。というのも、単に不動産を「所有する」ことに加えて、「管理運営」「家賃収入」「借入金の引継ぎ」など、継続的な責任や判断が伴うからです。
たとえば、「家賃が毎月振り込まれているから大丈夫」と思っていたら、名義変更がなされていなかったために家賃が凍結されたり、管理会社との契約が切れていてトラブルに発展したりすることも。収益物件は“動いている財産”である以上、相続のタイミングで早めに現状を把握し、整理することがとても重要なのです。
ここでは、収益物件を相続した際にまず確認すべき3つのポイントを、専門家の視点から詳しくご説明します。
1.法的な所有関係と遺産分割の状況を確認する
最初に確認すべきは、その収益物件が「誰に相続されるのか」という法的な所有権の帰属関係です。
■ 遺言書がある場合
被相続人が公正証書遺言などで、「この物件は長男に相続させる」と明示している場合、その内容が優先されます。ただし、遺言がある場合でも、他の相続人が納得していないと遺留分侵害請求(最低限の取り分を主張できる権利)を受ける可能性があるため、確認が必要です。
■ 遺言書がない場合(法定相続)
この場合は相続人全員で遺産分割協議を行い、誰が相続するのかを合意する必要があります。収益物件を複数人で共有名義にすると、将来的にトラブルになる可能性があるため、可能であれば1人が単独で相続し、他の相続人には代償金を支払うなどの調整を行うことが望ましいとされています。
■ 法的な注意点
収益物件には、賃貸借契約が付随している場合がほとんどです。つまり、「所有者が変わったから契約を白紙にする」ということはできません。新たな所有者は原則として賃貸借契約も承継しなければならないため、「誰が大家になるのか」は非常に大事なポイントです。
2.現在の契約内容・入居状況・管理体制を正確に把握する
次に大切なのが、現在の物件の運営状況を把握することです。以下のような点を確認しましょう。
■ 入居者情報の把握
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何戸中何戸が入居中か
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入居者の契約期間はいつまでか
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家賃の振込状況(滞納はないか)
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敷金・礼金・更新料などの契約内容
入居者がいる場合、原則として現行の賃貸借契約がそのまま引き継がれます。契約書が古くなっていたり、口約束だけで契約していたりする場合は、後々トラブルの火種になる可能性があります。
■ 管理会社との契約確認
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管理委託契約書の有無と内容
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管理手数料や業務範囲(募集、修繕、家賃回収など)
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管理会社への連絡ルートと担当者情報
相続を機に、管理会社との契約が自動更新されずに失効してしまうケースもあります。特に、被相続人が個人で管理していた場合には、引き継いで管理できるのか、それとも外部委託すべきかを早急に判断する必要があります。
■ 物件の修繕履歴と将来のメンテナンス計画
築年数が古い物件では、定期的な修繕が必要になります。
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過去の修繕記録(屋上防水・外壁塗装・給排水設備など)
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大規模修繕の予定や積立金の有無
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建築基準法への適合状況(旧耐震基準など)
これらは、物件の資産価値を維持するために不可欠な情報です。必要があれば、建築士や施工業者に現地調査を依頼して、現状を把握しておくと安心です。
3.借入金や担保の有無、負債の内容を把握する
収益物件を相続する場合、見落とされがちなのが「借金(負債)」の引継ぎです。
■ 住宅ローンや事業用融資の残債
金融機関からの借入が残っている場合、原則としてその債務も相続人が引き継ぐことになります。相続放棄や限定承認の選択肢も視野に入れる必要があります。
■ 担保・抵当権の有無
法務局で登記事項証明書(登記簿)を取得し、物件に抵当権や根抵当権が付いていないか確認しましょう。担保がついたままでは、将来的に売却や融資が受けられない可能性があります。
■ 連帯保証人や債務保証の履歴
被相続人が第三者の債務の連帯保証人になっていた場合、その責任が相続人に及ぶケースもあります。これらは、見落とされがちなリスクですので、信用情報機関への照会や通帳・書類の確認を通じてチェックすることが重要です。
これら3つの確認を怠ると、後々思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
たとえば、「兄弟で共有名義にしたら売却時に意見が割れて進まなくなった」「古い契約書のせいで入居者と揉めた」「借金の存在を知らずに引き継いでしまい、売却してもマイナスだった」など、実際のご相談ではさまざまな事例があります。
収益物件の相続は、**早い段階で専門家に相談することで、不要なリスクを避け、最適な判断を下すことができます。**次章では、実際に行う登記手続きと税務対応について、具体的に解説していきます。
2 収益物件の相続登記と税務の注意点
収益物件を相続したときに避けて通れないのが、登記と税務の手続きです。「名義変更をするだけ」「税金は後から考えればいい」――そう思っている方も多いのですが、実際には期限や法令に従った適切な手続きが必要となります。
特に、令和6年(2024年)4月からは「相続登記の義務化」がスタートし、3年以内に名義変更をしないと過料(罰金)の対象になるため、これまでのように「何年も放置していた」ということが許されなくなっています。
また、相続税だけでなく、相続後に得られる家賃収入に対しても所得税の申告義務が発生します。税金の知識がなければ、「せっかく収入があっても、税金で思ったより手元に残らなかった」ということにもなりかねません。
ここでは、収益物件の相続にあたって特に重要な、登記と税務のポイントを詳しく見ていきましょう。
1.相続登記は“義務”です。放置すると罰則の対象になります
これまでの日本では、不動産を相続しても「名義変更をしないまま」所有しているケースが少なくありませんでした。しかし、それでは法務局の登記簿と実際の所有者が一致せず、トラブルや空き家問題の一因になっていました。
そのため、2024年4月1日からは、相続による不動産の名義変更(相続登記)が義務化されました。具体的には、以下の内容が法律で定められています。
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相続登記の義務化:不動産を相続した人は、相続があったことを知った日から3年以内に、名義変更の登記を行わなければならない。
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違反した場合の過料:正当な理由なく登記を怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
したがって、「収益物件の家賃収入はもらっているけれど、名義変更していない」という状態は、今後は法令違反になるリスクを抱えることになります。
なお、登記の手続きには専門知識が必要であり、誤った内容で申請すると、法務局から補正を求められ、手続きが大幅に遅れることもあります。特に収益物件は、抵当権などの担保がついている場合も多いため、司法書士への依頼が強く推奨されます。
2.相続登記に必要な書類と流れを確認しましょう
収益物件の相続登記を行うには、以下のような書類が必要です。
■ 登記に必要な基本書類
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被相続人の出生から死亡までの戸籍一式
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相続人全員の戸籍謄本と住民票
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固定資産評価証明書(課税明細書で代用可)
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遺言書(ある場合)または遺産分割協議書
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相続人全員の実印および印鑑証明書(協議書がある場合)
■ 登記の流れ(簡略)
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相続人の調査(戸籍の収集と確認)
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遺産分割協議(または遺言書の確認)
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登記申請書の作成
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管轄の法務局へ提出
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登記完了(通常は1~2週間程度)
収益物件の場合、入居者との契約状況や、管理会社との契約内容によっても添付資料が必要になることがあります。また、土地と建物で別々の登記が必要な場合や、共有名義だった場合などは、手続きがさらに複雑になるため注意が必要です。
3.税務面のポイントと注意すべき落とし穴
相続における税金は「相続税」だけではありません。収益物件を相続したことで発生する主な税務項目は、以下のとおりです。
■ 相続税の申告(10か月以内)
相続が発生した日(被相続人の死亡日)から10か月以内に、所定の書式で税務署に相続税の申告・納税を行う必要があります。
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収益物件の評価方法:通常、路線価方式や固定資産評価額をもとに評価されますが、実際の賃貸状況により「貸家建付地」や「借家権」などの補正が入り、評価が下がる場合もあります。
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配偶者控除・小規模宅地等の特例:適用できるかどうかで納税額が大きく変わります。専門家の判断が不可欠です。
■ 所得税の申告(相続後の家賃収入)
収益物件は相続後も毎月家賃が発生します。これらは相続人の不動産所得となり、確定申告が必要です。
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入居者が複数人いた場合でも、所有者(相続人)で按分して申告します
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必要経費として、管理費、固定資産税、修繕費、減価償却費などを計上できます
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共用名義の場合、相続人全員がそれぞれ申告が必要になります
税務署は金融機関や法務局の情報と連携しており、申告漏れがあると後日税務調査の対象になることもあります。
■ 譲渡所得税(売却を検討する場合)
将来的に物件を売却する場合には、「譲渡所得税」が課されます。
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相続で取得した不動産を売却した場合でも、「被相続人が取得した時点」からの保有期間を引き継げるため、5年を超えていれば長期譲渡所得として扱われ、税率が軽減されます。
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一定の条件を満たせば、「取得費加算の特例」や「空き家の3000万円控除」なども使えることがあります。
4.税務と登記は別物。両方を正確に処理する必要があります
「税務署に申告したから登記も終わったと思っていた」という方が意外に多いのですが、登記と税務申告は別の手続きであり、それぞれ異なる役所に対して行います。
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相続登記 → 法務局(名義変更)
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相続税・所得税 → 税務署(納税)
この2つを混同すると、「登記だけ終わっていて税務申告を忘れていた」「税金だけ納めて名義変更し忘れていた」といった事態が起こり得ます。
さらに、収益物件の場合は不動産所得の処理や減価償却など、継続的な税務処理が必要となるため、税理士との連携も非常に重要です。
相続という出来事は突然訪れることが多く、気持ちの整理もつかないまま、複雑な手続きを進めなければならないこともあるでしょう。しかし、手続きを先送りにしてしまうと、過料や税務上の不利益、相続人間のトラブルを招く可能性があります。
収益物件という“動いている財産”をスムーズに引き継ぐためには、司法書士(登記)と税理士(税務)を中心に、状況に応じた専門家のサポートを得ることが、最善の方法です。
次章では、相続後に収益物件をどう活用するか――「保有か売却か」の判断ポイントについて、実務と将来の資産価値を見据えて詳しくご紹介します。
3 相続後の活用方針をどう決める?保有・売却の判断基準
収益物件を相続したあと、相続人として真っ先に問われるのが、
**「この不動産をこれからどうするか?」**という活用方針の決定です。
家賃収入が入ってくるという点で、魅力的な資産に見える収益物件ですが、維持には管理の手間や費用もかかりますし、将来的な空室リスクや資産価値の下落といった問題もあります。
そのため、相続したすべての方が「とりあえず持っておく」ことがベストとは限りません。
また、相続人の年齢、家族構成、収入、居住地、生活スタイルなどによって、最適な選択肢は人それぞれ異なります。
この章では、**「保有すべきか、売却すべきかを判断するための視点」**を、不動産の専門家としての立場から、実務的・法的・経済的観点を交えて解説します。
1.保有する場合のメリット・デメリットと検討ポイント
収益物件を「そのまま保有する」選択は、家賃収入を継続的に得られるという点で、非常に魅力的に見えることがあります。
しかし、不労所得と思っていたら、想像以上に“手間とコストがかかる資産”だったという声も少なくありません。
■ 保有のメリット
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安定した家賃収入が得られる
入居者がいれば毎月の家賃収入があり、年金とは別の「生活の支え」になる -
土地・建物を現物資産として保有できる
インフレや貨幣価値の変動リスクに対して、「モノ」としての強みがある -
長期的な相続対策になる
将来的にお子様に引き継ぐことを前提に、資産形成・資産移転の選択肢となる
■ 保有のデメリット
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空室・家賃滞納リスクがある
入居者がいなければ収入はゼロに。高齢化地域では空室率が上がる傾向も -
老朽化と修繕費の負担が重い
築年数が古くなるほど修繕・改修の費用が増え、キャッシュフローが悪化する -
相続人間の共有でトラブルが起こる
兄弟姉妹で共有名義にした場合、管理・収益分配・売却判断が一致せず揉めやすい
■ 検討すべき主な項目
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物件の築年数と今後10年の維持コスト
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家賃収入とローン返済・管理費・税金を差し引いた実質の利益
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地域の不動産需要(入居者の募集難易度)
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自分自身または家族が管理を続けられるかどうか
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相続人間で物件をどう分けるのか、合意はとれているか
“持っていても収益にならない収益物件”は、むしろ負債になりうるということを、ぜひ念頭において判断しましょう。
2.売却を検討するなら知っておきたい実務上のポイント
収益物件の売却は、相続後の整理として非常に有効な選択肢です。
特に、以下のようなケースでは「早めに売却した方がいい」と判断されることも少なくありません。
■ 売却を検討すべきケース
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相続人全員が遠方に住んでおり、物件の管理が難しい
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物件の老朽化が進んでおり、大規模修繕の費用がかかる
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入居率が低下しており、収益が見込めない
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相続人の間で共有名義による活用方針がまとまらない
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今後の不動産価格が下落する地域に位置している
■ 売却の流れと実務上の留意点
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相続登記を済ませる(名義変更)
名義が被相続人のままでは売却できません -
不動産会社に査定を依頼する
複数の会社に依頼して、適正な価格帯を把握します -
入居者付きか、空室にしてから売るかを検討する
収益物件として売る場合、賃貸契約の状況が価格に大きく影響します -
譲渡所得税や登録免許税の計算
売却益に対する税金、仲介手数料などの費用も考慮する必要があります
■ 売却時に気をつけたい税務上のポイント
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相続で取得した物件でも、被相続人の取得日を引き継ぐため、所有期間が5年を超えていれば**長期譲渡所得(税率20.315%)**が適用されます
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取得費加算の特例(相続税の一部を取得費に加算できる)を使えば、譲渡所得を圧縮できる場合があります
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3000万円の特別控除や、空き家の特例も、要件を満たせば使えることがありますが、使えないこともあるため、専門家による判断が重要です
3.中長期的な視点と“地域の将来性”も忘れずに
収益物件の価値は、建物自体の状態だけでなく、立地する地域の人口動態や経済状況にも大きく左右されます。
特に地方都市や郊外のエリアでは、以下のようなリスクが現実味を帯びています。
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人口減少による賃貸需要の低下
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高齢化により地域の空き家率が上昇
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将来的な再開発の見込みが乏しい
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公共交通機関やインフラの整備状況が悪化
こうした地域では、家賃を下げても入居者が集まらない、修繕に費用をかけても利回りが悪化するなど、資産価値が年々目減りしていく可能性が高いのです。
一方で、都心や再開発地域、大学・病院の多いエリアなどは、今後も安定した需要が見込まれる可能性があります。
将来の相続(二次相続)や、次世代に引き継ぐ可能性も視野に入れ、目先の収益だけでなく、「10年後・20年後の価値」を見据えた判断が求められます。
おわりに
「相続した収益物件を、今後どうしていくか」――これは、登記や税務の問題をクリアした後、必ず向き合うべき重要なテーマです。
保有か売却かという二択だけでなく、「一部を売却し、一部を残す」「数年間だけ賃貸し、その後に売却する」「リフォームして価値を上げてから売る」といった柔軟な選択肢も存在します。
その判断を誤らないためには、法律・税務・不動産実務の3つの視点を総合的に踏まえたうえで、専門家と一緒に考えることが大切です。
当事務所では、司法書士としての法的知見と、宅地建物取引士としての市場動向の両面から、オーダーメイドのご相談をお受けしております。
「どの選択が自分と家族にとって最も安心で、負担が少なく、将来に悔いの残らない判断なのか」――迷われている方は、ぜひ一度、専門家のアドバイスを受けてみてください。
まとめ
収益物件の相続は、単に「不動産を受け継ぐ」というだけではなく、その後の管理・運用、そして将来の資産形成や処分の方針まで、非常に幅広い視点からの判断が求められる複雑なプロセスです。
相続によって不動産を取得すること自体は、一見するとプラスのように思えるかもしれません。
たしかに、家賃収入がある物件であれば、定期的な収益を得られるというメリットがありますし、「資産を継承した」という実感も強くなります。
しかし、実際にはその裏側に、名義変更の登記手続きや、複数の相続人との遺産分割、入居者との契約の引き継ぎ、将来的な修繕や管理、そして税金の問題など、専門的な対応が必要な要素が数多く潜んでいます。
特に、2024年から義務化された「相続登記の申請」については、これまでのように放置しておくことができなくなり、相続人としての法的責任が問われる時代に入っています。
「何から手をつけていいかわからない」「期限があるのに気づかなかった」ということが、そのまま過料や税務リスクにつながる可能性もあるのです。
また、相続した収益物件を今後どう扱うかという判断も、単純ではありません。
保有し続ければ、家賃収入を得ることができますが、空室リスクや修繕費、管理の手間が発生し、相続人の高齢化や遠方居住などの事情によっては、資産が「負担」へと変わってしまうこともあり得ます。
一方で、売却を選択すれば、その資産を早期に現金化し、他の相続人との分配もスムーズに進めることができますが、税金や売却時期、地域の不動産需要などを正しく把握しないまま進めてしまうと、後悔につながる恐れもあります。
つまり、収益物件の相続は、「受け取って終わり」ではなく、受け取ってからが本当のスタートです。
今後の運用や方針をどうするのか、法的な手続きや税務処理をどう進めるのか、必要に応じて誰に相談すればよいのか――こうしたことを一つずつ丁寧に考えていく必要があります。
本記事では、相続発生時にまず確認すべきことから、登記と税務の基礎知識、そして物件の将来的な活用方針までを、司法書士かつ宅地建物取引士という立場から整理してお伝えしました。
収益物件の相続には、「法律」「登記」「税務」「不動産実務」といった専門性が求められます。
しかし、だからこそ一人で抱え込むのではなく、それぞれの分野に精通した専門家と連携しながら、安心して進めていただくことが大切です。
当事務所では、単なる登記手続きにとどまらず、相続不動産の活用・整理・売却の方針決定まで、オーダーメイドのサポートを提供しています。
「何から始めたらよいかわからない」という状態でも構いません。まずは今の状況を整理し、ご家族にとって最も負担の少ない方法を一緒に見つけていきましょう。
将来にわたって後悔のない相続と資産管理のために――
収益物件の相続で迷ったときは、信頼できる専門家に、ぜひ一度ご相談ください。