【実は知らない相続登記で一番困ること3選】名古屋のごとう司法書士事務所

お問い合わせはこちら

ブログ

【実は知らない相続登記で一番困ること3選】名古屋のごとう司法書士事務所

2024/12/16

まずはじめに

大切な家族が亡くなった後、その不動産を相続するために必要となるのが「相続登記」です。不動産の名義を新しい所有者に変更するこの手続きは、法律上の権利を守るために欠かせないものです。しかし、初めて手続きを進める方にとっては、その複雑さや手間に戸惑うことが少なくありません。

相続登記は「早めに済ませておくべき」と言われるものの、何を準備すれば良いのか、どのような手順を踏めば良いのか分からないまま手を付けられない方も多いようです。また、相続人が複数いる場合や、不動産の評価や税金が絡む場合にはさらに困難を伴います。このような状況に直面したとき、どう対処すれば良いのか知識がないと、手続きが滞るだけでなく、将来的なトラブルの原因にもなりかねません。

この記事では、相続登記の中でも多くの方が「困る」と感じる場面を3つに分けてご紹介し、それぞれの解決策を分かりやすく解説します。不安を解消し、安心して手続きを進められるようになるための一助となれば幸いです。

1. 【戸籍収集が予想以上に大変!】

相続登記の手続きにおいて最初の大きな壁となるのが「戸籍収集」です。相続登記を進めるためには、亡くなった方(被相続人)の戸籍を出生から死亡まで連続して揃える必要があります。この作業は、相続人の関係性を証明するために必須ですが、多くの方にとってその複雑さと手間の多さが予想以上の負担となります。

【戸籍収集の基本的な流れ】

  1. 被相続人の死亡時点の戸籍を取得する。
  2. 死亡時の戸籍からさらにさかのぼり、出生時までのすべての戸籍を取得する。
  3. 相続人全員の戸籍(現在のもの)を取得する。

一見すると簡単なように思えますが、実際には以下のような理由で多くの人がつまずくことがあります。

【つまずきやすいポイント】

  1. 本籍地が複数にわたる場合
    被相続人が生涯の中で転居を繰り返している場合、本籍地もその都度変更されていることがあります。それぞれの本籍地ごとに戸籍を請求する必要があり、役所が遠方の場合は郵送でのやり取りが必要になるため、時間がかかります。

  2. 改製原戸籍や除籍謄本の取得
    日本では法律の改正により、古い形式の戸籍が新しい形式に改製されていることがあります。そのため、過去の戸籍(改製原戸籍や除籍謄本)を取得する必要がありますが、これらの存在を知らないまま途中で手続きを止めてしまう方も少なくありません。

  3. 読みづらい古い戸籍
    戦前の戸籍や手書きの記載が残っている戸籍は、文字が読みにくく、解釈に苦労することもあります。特に、昭和初期や大正時代の戸籍では旧字体や独特の表記が使われているため、内容を正確に理解するのが難しい場合があります。

  4. 時間と労力がかかる
    複数の自治体に戸籍を請求する場合、書類の準備や郵送の手配に時間がかかります。また、役所の窓口では本人確認書類や委任状が必要になることもあり、初めての方には非常に煩雑です。

【戸籍収集をスムーズに進めるためのポイント】

  • 事前に本籍地を調べる
    被相続人の住所の変遷を家族で確認し、可能な限り本籍地を特定しておくと効率よく収集が進められます。

  • 戸籍の種類を確認する
    役所に請求する際には、「出生から死亡までの連続した戸籍が必要」と明確に伝えることで、不要な手戻りを防ぐことができます。

  • 専門家に依頼する
    司法書士に依頼すると、煩雑な戸籍収集を代行してもらえるため、時間と労力を大幅に削減できます。また、専門家ならではのノウハウで、手続きのミスを防ぎ、スムーズに進めることが可能です。


戸籍収集は相続登記の第一歩ですが、そこでつまずいてしまうと後の手続きにも影響が出てしまいます。効率よく戸籍を揃えるためにも、早めの準備と適切なサポートを受けることが重要です。

2. 【相続人間で意見がまとまらない】

相続登記を進める際、相続人全員が合意して遺産分割協議を行うことが求められます。しかし、相続人が複数いる場合、意見の不一致や感情的な衝突が生じることが少なくありません。このような場合、話し合いが長引き、結果として相続登記手続きが進まなくなるケースがよく見られます。

【なぜ意見がまとまらないのか?】

  1. 遺産分割方法への不満

    • 各相続人の希望する取り分が異なるため、合意に至らないことがあります。不動産は現金のように分割が容易でないため、「誰が不動産を相続するのか」「他の相続人にはどのように代償するのか」という点で揉めることが多いです。
    • 「自分が相続したい」「売却して現金で分けたい」など、相続人ごとの事情や希望が対立する場合、話し合いが膠着状態に陥ることもあります。
  2. 感情的な対立

    • 長年の家族間の関係性や感情的なしこりが表面化し、理性的な話し合いが難しくなるケースがあります。「昔から不公平に扱われてきた」「親の介護をしたのに相応の見返りがない」といった感情が遺産分割協議に影響を与えることがあります。
  3. 連絡が取れない相続人がいる

    • 相続人の中に遠方に住んでいる方や疎遠になっている方がいると、協議自体が進まない場合があります。特に相続人の中に失踪している方や所在不明の方がいる場合は、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てる必要があるため、時間と手間がかかります。

【相続人間の意見がまとまらない場合の対策】

  1. 遺産分割協議書を作成する

    • 全相続人が合意した内容を明文化し、署名・押印を行うことで法的に有効な協議書を作成します。この協議書がないと相続登記は進められません。司法書士がサポートすることで、適切な書式と内容で協議書を作成できます。
  2. 専門家を介入させる

    • 話し合いが感情的に難航する場合、司法書士などの専門家を介入させることで、中立的な立場から法的なアドバイスを受けることができます。専門家の助言を受けながら話し合いを進めることで、感情的な対立を緩和し、冷静な協議が可能になります。
  3. 家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる

    • どうしても話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所での調停を検討することができます。調停委員が仲介役となり、公平な観点から話し合いを進めてくれるため、合意が成立しやすくなります。
  4. 失踪者や行方不明者、未成年相続人への対応

    • 所在が分からない相続人がいる場合は、家庭裁判所に失踪宣告の申し立てや特別代理人の選任を依頼することが必要です。これにより、法的に適切な形で協議を進めることが可能になります。

【円滑な話し合いを進めるためのポイント】

  • 感情に配慮しつつ話し合いを進める
    遺産分割協議は法律的な問題だけでなく、感情的な側面も含むため、相手の気持ちに寄り添う姿勢が大切です。

  • 専門家に早めに相談する
    問題が長引く前に、司法書士や弁護士などの専門家に相談することで、早期解決が可能になります。

  • 手続きを急がない
    焦りは余計なトラブルを招く原因になります。冷静な話し合いを心がけることが重要です。


相続人間で意見がまとまらないことは、相続登記を進めるうえで避けられない課題となることもあります。しかし、適切な手続きや専門家のサポートを受けることで、スムーズに解決することができます。冷静かつ公平な視点で話し合いを進めることを心がけましょう。

3. 【不動産の評価や税金が分からない】

相続登記を進める際、不動産の評価額や税金について正確に把握することが必要です。しかし、この分野は専門的な知識が求められるため、多くの方が混乱しやすいポイントです。不動産の評価額や税金は登記手続きだけでなく、相続人間での遺産分割や将来的な活用計画にも影響を及ぼすため、正確な情報に基づいた対応が求められます。


【不動産評価に関する課題】

  1. 固定資産税評価額の把握が難しい

    • 相続登記に必要な登録免許税は、固定資産税評価額を基に計算されます。この評価額は、市町村が毎年発行する「固定資産税納税通知書」や「評価証明書」に記載されています。しかし、納税通知書を相続人全員が共有していなかったり、そもそも所在が分からない場合、手続きが滞る原因となります。
  2. 市場価値と評価額の混同

    • 固定資産税評価額は市場での取引価格(いわゆる時価)とは異なります。そのため、「自分の不動産が実際にはいくらの価値があるのか」が分からず、相続人間で不公平感が生じることがあります。
  3. 土地と建物の評価が別々に必要

    • 一つの不動産であっても、土地部分と建物部分の評価額が異なるため、それぞれ別々に確認しなければなりません。この点も初心者にはわかりづらい部分です。

【税金に関する課題】

  1. 登録免許税の計算が複雑

    • 登録免許税は、固定資産税評価額に一定の税率を掛け合わせて計算します。不動産の種類や地域によって税率が異なる場合があり、間違った計算をしてしまうと手続きが受理されないこともあります。
  2. 相続税との混同

    • 相続登記自体には相続税の納税義務はありませんが、一定の金額を超える遺産には相続税が課される可能性があります。相続登記の費用と相続税の負担を混同してしまい、金銭的な不安が生じる方も多いです。
  3. 不動産譲渡の際の税金の見落とし

    • 将来的に不動産を売却する場合、譲渡所得税が発生します。被相続人が不動産を取得した時点での価格と売却時の価格がその計算基準に関わるため、適切に評価しておかないと損をする可能性があります。

【不動産評価や税金の課題を解決する方法】

  1. 固定資産税評価証明書を取得する

    • 固定資産税評価額は、市町村役場で「固定資産税評価証明書」を取得することで確認できます。必要書類や手続き方法は自治体によって異なるため、事前に確認しておくとスムーズです。
  2. 専門家のサポートを受ける

    • 登録免許税や相続税の計算、評価額の確認などは司法書士や税理士に相談することで正確に行えます。特に、不動産に詳しい司法書士兼宅地建物取引士であれば、不動産評価や税務面のアドバイスを包括的に受けることができます。
  3. 税務署や市町村役場で相談する

    • 税金についての基本的な質問は、税務署や市町村役場で無料で相談できる場合があります。まずは公的機関に問い合わせることで、手続きの概要を把握することができます。
  4. 複数の不動産の評価を整理する

    • 複数の不動産を相続する場合、それぞれの評価額を一覧にして整理すると全体像が見えやすくなります。専門家のアドバイスを受けながら、不動産ごとの特徴や税金の負担を比較検討することが大切です。

【ポイント】

不動産の評価や税金は、相続登記を進める上で避けられない重要なテーマです。専門知識が必要な分野だからこそ、専門家のサポートを受けることで手続きをスムーズに進めることができます。また、評価額や税金について正確に把握することで、相続人間のトラブルを未然に防ぎ、将来の計画を立てやすくなるでしょう。

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。